気持ち悪い
「ここで何してんだ?」
イケメンはそう言うと私の横にしゃがんで
寝ている私を見つめた
「……迷子か?」
先程の警戒の目からから優しい目に変わる
「……い、家…出?」
「なぜ、疑問系?」
だって、家出か分からないんだもん
帰れないし
「……あなたこそ、こんなところで何を?」
よく考えたらこんな時間に山奥とか怪しい
…私が言えたことじゃないけど
「俺は仕事だよ。」
「仕事?…山菜採りとか?」
夜に?こんなところで?
「あぁ~…秘密。」
……え、なに?怖いこの人
優しそうな顔して怖いんだけど
まさか、ヤバイ人?
イケメンと初めてがいいとは考えたけど…
……まぁ、いっか。
「それより、ほら警察行くぞ」
…え?
「な、なんで?」
「何でじゃ無いだろ?女の子が山奥でぶっ倒れてんだ。当たり前の選択だと思うが?」
確かに。
でも……
「いやだ。」
「は?」
「警察は嫌だ。家に帰りたくない。」
「……なんだそりゃ、ダメだ帰る家があるなら
家に帰す。」
そう言うとイケメンは私を起こすと
手を引き森を歩き始めた。
「ちょ、ちょっと!何するのよ!」
「森を抜けた先に交番があるそこで…」
イケメンが何かを言いかけた
でも、私の頭には入らない
入る隙間はない。
逃げなければと頭が叫ぶ
思考が回転する
……あ、来る
「じゃま…しないで」
「ん?何か言っt…「邪魔すんな!!」!?」
私が叫ぶとまたあの感覚
内側から外に何かが出る感覚
「なっ!!?」
彼は私の手を離し近くの木に叩き付けられた。
「いぎっ!!?」
情けない声。
顔がよくても叩き付ければこんなに情けないんだ。
私は感じたことのない感情を抱いていた。
ゾクゾクする。
私より力の強い男を簡単に悶絶させた。
気持ちいい~気持ちいい!!!
………気持ち悪い
やっぱり私はアレの娘だ。
アレの血が私の中に流れている
アレがまだ生きている
私の中で……殺さなきゃ
アレをこの世から殺さなきゃ
私は彼を見に行くことにした。
ごめんを言いたい訳じゃない
死んでるかの確認でもない
ただ、私が人生で最後にしたことをきちんと
見ておきたいと思った。
奪った人生を感じておきたいと思った。
「うわっ……」
頭から叩き付けられてる…
フード被ってるから傷とか見えないけど…
すごい血の匂い…
うなだれてる顔に血が流れてる…
「痛そう」
私は他人事のように呟き
手を合わせた。
「ナンマイダ~ナンマイダ~」
適当に拝んだ
「オイ…」
「ハンニャハラミタ~」
「オイ…」
「…ハンニャ~シンギョォ~」
「分からないからって終わらすな!!」
よく分かったわね
……って
「え?いき…え?」
「くそ!いきなり吹き飛ばしやがって!
俺じゃなきゃヤバかったぞ!気を付けろ!」
怒鳴りながら…元気に!怒鳴りながら
彼は勢いよく立ち上がり私を指差して
怒鳴り始めた
「生きてるの?」
「悪いか!!」
バサッとフードが脱げると綺麗な白髪が
現れ…綺麗な白髪?
「あなた…血は?傷は?」
「あ?…あぁ…これか…まぁ、何だその…」
彼は頭をかきながら
ため息をつき私を見つめて口を開いた
「俺もお前側だってことだよ。」
彼は真っ直ぐこちらを見つめた
同情も哀れみも怒りもない
そんな眼で
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