植物目線2(発掘分) 夕顔とアケビと向日葵

 向日葵は大分、背丈を育んだ。

 夕顔自身も蔦を網目にからめて、そろそろ空との境まで半分の所に来た。めっきりと暑くなってから、厚ぼったいのはたまにしか来なくなった。雨のあった日には来ないのだとアケビはさやめいた。

 明るいか暗いかは、確かに重要なことではあるが、どうして雨のあるなしで来なくなるのか、夕顔には理解がいかなかった。


 外は相変わらず騒がしい。

 先だってなど、鳥が群れを成してここら一帯に住み着いた。

 住み着くのは構わないのだが、たまに細くのを咥えているのだから不気味だ。いつ自分たちがああなるのかと、日々根がむずついて仕方がない。

 こと、あれらに関してはアケビも黙して、葉の一枚もそよがせなかった。

 食われるのだという。

 今こそあの厚ぼったいのの出番ではないかと聞けば、アケビは手頃の葉をゆすった。

 曰く、あの厚ぼったいのは非常な気分屋だから、例え目の前で獅子唐の子がさらわれても平気らしい。かと思えば、ある時はことさら大きな音で脅かして、あれらを追い払う。

 つまりは、アテにならないそうだ。

 夕顔の葉は項垂れた。

 情けのないと雫が落ちた。

 するとつまりは、あの厚ぼったいのは自分たちの悲劇を未然に防ぐ方法を持ちながら、気分屋であるために放っておくというのだろうか。

 乾く日の朝、垂らされる冷水は恵みだった。己が伸びるために降ろされた階段はしごは楽しみでもある。一方で、向日葵に今日となっても癒えない傷を与え、チューリップの頭を断った。

 そのすべてがただの気まぐれなのだとすれば、ここまで残酷なことがあるだろうか。

 葉先から垂れる雫を見ていると、ひらひらした葉か花だけのようなものがそばを飛んでいった。食料を探しているらしい。

 しかし残念ながら、今は渡せるものがない。時が来て、花が咲いたらまた来てくれと言うと、ひらひらは少し残念そうにして、青の境界へと飛んでいった。

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