植物目線1 夕顔の植え替え
夕顔の苗が傘家ベランダのプランターに植えられた日。隣で先にしぼんでいたチューリップが頭を落とされた。
まだ苗だった夕顔は湿った土に根を伸ばしながら、チューリップの瑞々しい茎を見ていた。シャキシャキした断面はうっすらと露を乗せて、今も生きている細胞から涙を流していた。
夕顔の苗は、自分が連れて来られた時から、立派に茎をのばすチューリップの姿を見ていた。花を落としながら若い茎も花も、大きな厚みのあるしわくちゃなものに掴まれるまでは生きる意思に満ち満ちて涼やかだった。
厚みのあるものは、二枚の薄くて硬い銀色の葉を重ねた何かで、チューリップを折った。切られる瞬間のチューリップのむせびは、硬いものに折られて聞こえない。
夕顔はそれだから、まず厚みのあるしわくちゃと、硬い二枚重ねを警戒することにした。
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