第2話 死因について

 一時期祖父母の家に居候していたのだが、ある日祖父が「今夜は知り合いの葬式だから留守は頼んだ」と言ってきた。

「死因は?」

「タバコが好きなやつだったから、肺を悪くしてな。」

「じゃあ自殺と同じだね。」

「いや、自殺とは違う。病死だよ。」

 この時、私に電流が走った。

 身体に良くないことと知りながらタバコを吸い続け、案の定肺を悪くして死亡した人は『病死』となり、死ぬことがわかっていてビルから飛び降り死亡した人は『自殺』として扱われる。どちらも自らの死が予想できる行動を自ら進んでとって死亡しているという事実は変わらないのにも関わらず、一方は『病死』、もう一方は『自殺』。

 一体何が違うのか。病気か否かか?それならば、わざと病気になって死ねば良いのでは?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る