事件簿1 気づけば始まっているカウントダウン

 今日も学校かと思うと気が重い。

 俺はその気だるさを押し殺して、朝食を食べていた。

 だが、母親がなにやらオロオロしているのだ。


「母さん、どうしたんだ?」

「それがねぇ、無いのよぉ~」


 その言葉を発すると同時に母親のおでこに『5:00』と制限時間が現れた!


(あの神の言う事が本当だとすれば、俺は五分後に死ぬ!?

 早く、事件の内容を聞き出さなくては!)


「何がないの!?早く言って!!」

「それがねぇ~、ドコを探しても無いのよぉ~」


 残り時間『4:30』


(聞き出す事が困難な場合どうするんだよ!)


「ごめん、母さん、時間無いんだ!何が無いか教えてくれよ!」

「無いと言えばねぇ、今日はごみの収集がないのよぉ~、お休みだってぇ~」


 残り時間『3:30』

 関係ない事を言う母親にキレそうになりながら、俺は必死に訴えた。


「いやいや、そうじゃない、何を探してたのか教えてくれよ!}

「えっとねぇ~、醤油の買い置きがドコかに行って無くなったのよぉ~」


(そんな事を事件にするなああああ!)


 残り時間『2:30』

 こんなの解決できる訳がないだろう!と、死を覚悟した。

 目を閉じて走馬灯でも見て安らかに死のう、ここで慌てた所でどうにもならない。

 そう思った時だ、目を閉じたはずが何やらレシートが脳裏に思い浮かんだ。

 商品と値段が羅列されているが、その中に醤油は無い!

 もしやと思った。


「母さん!もしかして買い忘れじゃないか!?」

「えっとぉ、昨日の買い物のレシートわぁ~」


 その時、時間は『0:10』で止まり、そのまま霧の様に消えていった。


「ホントだわぁ~、端帝はみちゃん、ありがとうねえ」


 どっと疲れた。これから学校に行く事を考えると末恐ろしくなる。

 そしてその後、母親が何故か小遣いアップを約束してくれた。

 どうやら、解決すると幸運が舞い降りるらしい。

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