第5話(パターンB)
「やったのか」
私が聞くと、ドアの陰に隠れていたマルコがガッツポーズをした。
「後頭部にばっちり入ったぜ!」
「おい、少しやりすぎだぞ。出血している」
もう一人の仲間、バイルが倒れた男の様態を確認しながら言った。
「あれ、ちょっと強かったかなぁ」
はぁとため息を吐く。
「まあいい。死にはしないだろう。簡単な手当と拘束を施して、地下牢に入れておいてくれ」
地下牢にはあらゆるスキルを無力化する呪いをかけている。
「了解。だが、今回はなんだか弱そうなやつが来たな」マルコが言う。
「ああ、少なくとも戦闘経験者ではない。身のこなしが悪すぎる」バイルも同意した。
たしかにこいつが魔王になるとは考えにくい。しかし、過去に魔王になってしまった異世界人がいたのだ。
この世界は魔王によって支配されていた。魔王は様々なスキルを使いこなし、魔物や魔族を手なずけ、世界各地で侵略戦争を始めた。そんなとき、異世界から一人の男が現れた。
彼は神の加護を受け、特殊な能力を持っていた。人々は彼を勇者として崇め、褒めたたえた。勇者は人々の期待に応え、魔王の城に乗り込んで………そして戻らなかった。
当初人々は勇者が魔王に敗北したのだと思い悲しんだ。だが真相は違った。
勇者は魔王を倒し、自らが新たな魔王となったのだ。力を手にしてその影響力に溺れてしまったのだろう。彼は新たな人類の脅威となった。
結果として魔王は以前より強力になってしまった。
しかしそんな異世界人にも致命的な弱点があったのだ。
それは
「美少女に滅茶苦茶弱い。とりわけ獣人族の少女には触れるどころか目を見ることすらできない」
という極度のコミュ障だったのだ。
おかげで新しい魔王は獣人族の女子を集めた特殊部隊に一瞬で制圧され嬉しそうな悲鳴と共に消滅した。
あの悲劇を繰り返してはならない。
その思いで、私はこのネコミミギルドを設立したのだ!
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