第5話(仮)_パターンA
作者コメント:とりあえず書いてみたものの、滅茶苦茶話が重くなるのでコメディー調に変えたパターンBを後日投稿する予定です。
Aの方が面白そうと思う人がいればコメントや評価いただけると嬉しいです。特に要望が無ければコメディーのBで進めます。では続きをどうぞ。
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「やったのか?」
私が聞くと、ドアの陰に隠れていたマルコがガッツポーズをした。
「後頭部にばっちり入ったぜ!」
「まだ息はあるぞ。どうする」
もう一人の仲間、バイルが倒れた男の様態を確認しながら言った。
「わお、マジかよ。流石異世界人は丈夫だな。これも神の加護なのか?」
「今のうちに元の世界にお引取り願おう。妙なスキルを使われても厄介だ」
私はなるべく感情を出さないように言った。
「「御意」」
二人が倒れている男の両腕を押さえる。
私は腰に差していたナイフを抜く。転移してきたという男はもう意識が無いようだ。このまま放置してもいずれ死ぬだろうが、苦しむなら一瞬の方がよいはずだ。
私は躊躇なく彼の背中から心臓のあたりにナイフを突き立てた。
一瞬ビクンと男の体が震え、そして動かなくなる。
ああ、また命を奪ってしまった。
何度やってもこの感触は苦手だ。吐きそうになる。
ナイフを静かに抜くと、すぐに男の遺体は光はじめ、やがて消えてしまった。
こうなった転移者がどうなってしまうのか私たちは知らない。
消えてしまうので元の世界に戻ったのだと考えているが、違うのかもしれない。
何にせよ、私がこの世界に訪れる異世界人を葬っているのは変えられない事実だ。
その罪は消えない。しかしそれでもやらなければならない。
この世界は魔王によって支配されている。魔王は様々なスキルを使いこなし、魔物や魔族を手なずけ、世界各地で侵略戦争を始めた。そんなとき、異世界から一人の男が現れた。
彼は神の加護を受け、特殊な能力を持っていた。人々は彼を勇者として崇め、褒めたたえた。勇者は人々の期待に応え、魔王の城に乗り込んで………そして戻らなかった。
当初人々は勇者が魔王に敗北したのだと思い悲しんだ。だが真相は違った。
勇者は魔王を倒し、自らが新たな魔王となったのだ。
結果として魔王は以前より強力になり手が付けられなくなった。
それからも定期的に転移してくるものはいるが、それらすべてを殺害している。
強力な力は脅威となる。この世界を守るため。新たな侵略者を生まないため。
そしてその罪を背負うため、私はギルドを立ち上げた。
我々は神の介入も不正も許さない。平和は人間の手で導く。
私は異世界人を許さない。
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