第3話

まぶしさで目を一瞬つむったが、すぐに暖かい日の光を感じ、目を開けた。

そこには緑が生い茂る広大な大地が広がっていた。

遠くにはドラゴンと思われる巨大な生物が飛行している。近くにはRPGゲームに出てきそうな欧風の小さな町があり、豆粒ほどの人々で賑わっていた。

すごい、本当に異世界だし、本当に飛んでいる。

振り返ると、僕が出てきた場所は石のアーチのようなものがあるが、それはアーチに過ぎず、あの空間や元の世界に戻ることはできないようだ。

でも、僕はとても気分が高揚していた。こんな素晴らしい力があれば何でもできる。

先ほどまでアイドルの進退で一喜一憂していたのが馬鹿みたいだ。

「最高だ!」

風が気持ちいい。どこまででも行けそうだ。

僕は心行くまで初飛行を楽しんだ。

しかし、ただ飛んでいても先に進めない。どうやらここは異世界で、僕は何かするべきことがあるはずだ。

とりあえずお金がないのはまずい。やはりここはセオリー通りギルド的なところにいって

依頼をこなしてお金を稼ごう。

飛んでいる途中で見つけた町があったのでその近くまで飛び、僕は歩いて町に向かった。

町はこのあたりではそれなりに栄えている。家や商店が道の両脇に並び、広場には立派な協会のようなものもある。

人も多く活気がある印象だ。

さて、これからどうしよう。

とりあえず何かわかるかと思って、来たわけだが案の定文字が読めない。

やはりラノベや漫画のようにはいかないな…

すべてこの世界独特の言語で記載されている。当然言葉も違う。

しかも、僕は黒いベーシックなスーツに革靴といういで立ち。当然目立つ。

僕はあっという間に厳ついカッコのおっさんたちに囲まれた。

全員鎧などの防具を身に着け、何等かの武器を装備している。これが冒険者ってやつか?

「●△◆□~〇〇」

話しかけられていることはわかるが、全くわからない。

あーえっと、どうしよう。なんだかまずい気がする。

僕を取り囲んだ冒険者?たちは誰も笑ってない。にらみつけるような視線が四方から刺さる。

少なくとも歓迎されていないようだ。まあ、あからさまによそ者な僕が突然現れたら敵と思われても仕方ない。

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