第2話
……なんだここは。真っ暗だ。方向感覚がわからなくなる。僕は死んだのだろうか。その割には痛みなどは無かったが。もし、死んだのであれば一生ここを漂うことになるのかな。いや、もう死んでいるのだから一生というのは間違いだ。永久にというべきか。
「おーい」
どこか遠くから声が聞こえる。空耳かと思ったがどうやら違うようだ。
「こっちこっち、もっと左だよー」
左?確かに左の方に微かな光が見える。
「誰…ですか?」
「いいからこっちに来たまえよ」
男性とも女性とも取れない声だが、誰かが呼んでいる。声のする方に歩みを進めると、
段々と周囲が明るくなり始めた。だが、明るくなっても壁や天井は見えず、足元は黒い靄で覆われている。光源がどこにあるのかもよくわからない。
やはりここが死後の世界なんだろう。そうとしか考えられない。
「まあ、概ね正しいね」
誰かが喋った。
「誰かいるんですか?」
いるとすれば閻魔様だろうか。
「いや、私はただの神だ」
誰かがそう言った。
「いやあ、なにやら死に瀕した若者が目の前にいたのでね。ちょっくら転生させて
あげようかと気まぐれを起こした次第だよ」
転生?
「そうだよ。ここではない別の世界にて新たな命を君に授けよう。そこで好きなようにやってみるといい」
そんな、いきなり別の世界と言われても何が何だか…
「嫌なら元の世界に戻してあげてもいいけど、0.2秒後には地面に激突して終わる運命だよ。どうせ死ぬならいっちょ新しいことやってみてからでもいいんじゃない?」
「でも僕は…」
「安心したまえ。君には「神のご加護」を授けよう。君は並外れた能力を持つ超越者となるんだ。その力で世界を救ってもいいし、富と名声を得てもいい。…そうだな、君には自由に飛べる魔法を授けよう」
神の声がそういうと同時に僕の体が輝き始め、体が軽くなったように感じた。
「さあ、出口はあちらだよ」
振り返ると光の道が遠くまで通じている。
「その力を使ってみるといい」
僕が空を飛ぼうと考えると体がふわりと浮き上がった。不思議な感覚だ。飛んだことなんて今までないのに、まるでいつもやっていたことのように飛び方がわかる。
僕は空中を蹴り、勢いよく飛び出した。
「奴らに気を付けてね~」
僕は加速し、そのまま光り輝く出口から飛び出した。
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