異世界転移してチート能力で無双しようとするやつらを討伐するギルドを作りました
浅川さん
第1話
今日はとても嫌なことがあった。
大好きだったアイドルの利根川モモモが男性アイドル(既婚者)と不倫したとの報道があったのだ。
「最悪だ。モモモたんは絶対処女だと思っていたのによりによって不倫するようなクズ野郎に引っ掛かるなんて・・・」
しかもモモモは男性アイドルの子を妊娠しているとの説も出ていた。
もう絶望しかない。僕がCDやグッズを買って貢いだ金でモモモたんは男と遊んでいたんだ。
許せないという怒りの感情は一瞬湧いたが、すぐに虚無感にとってかわった。
彼女が幸せであるならファンとしてまだ見守っていくこともできたかもしれない。でも客観的に見て、彼女の人生はいばらの道だ。CMは降板。放映予定の映画は延期。CDも発売延期でこのままではグループ脱退一直線だ。それはすなわち芸能人として、アイドルとしての死を意味する。
もう終わりだ。
この世界はおしまいだ。
僕は無意識のうちに高層ビルの最上階まで登っていた。
屋上に続く扉は施錠されていない。
この苦しさから解放されたい。その一心で歩き、屋上のふちに立つ。
空はまだ明るいが風はもう冷たい。
柵も何もない屋上のふちに立って少し冷静さを取り戻す。
このビルは確か30階建てだ。落ちたらもちろん木っ端みじんだろう。転落死したら清掃やら何やらで家族に賠償金が請求されるって聞いたことあるな…
ニュースになって「アイドルが不倫して自殺」みたいな記事が書かれるんだろうか。
それはアリかもしれないと思ったが、いやいや、そんな不名誉な死に方が一生ネットの世界に残るのは地味に嫌だなと思いなおす。
今ならまだ止められる。
振り返って屋上に戻ろうとした。結局のところまだ死にたくはない。まだやりたいこともある。だから・・・
風が吹き、視界が傾く。
あれ?どうして?
「あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
不安定な場所で体制を崩し僕の体は空中に投げ出されていた。
瞬時に両親の顔がよぎる。
死ぬ。間違いなく。
景色が高速で過ぎ去り、そして闇に包まれた。
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