第11話トレードオフにある関係の問題

既婚男性と親しくすることで、その人の家族に対して罪悪感を抱くことが自然だったけど、なんだかんだ正当な理由を考えて、それをだましだまししてきた。けど、最近またふとしたことで、その罪悪感が顔を出した。

大好きな男性の正妻ともお子さんとも顔見知りで、元々ちょくちょくお話はしたりしていたけど、最近例の感染症のせいでお久しぶりになっていた。そんなことと、頂き物をしたことが重なって、正妻の素敵な笑顔や、優しい心遣いを間近で感じたとき、本当に心が痛んだ。正妻の立場にたって、本当のことが明るみに出たとき『あんなによくしてやってたのに、よくもまぁ知らないところで私たちの大事な彼をたぶらかしやがって』と思われるに違いない。もっとも、本当に正妻も人として素敵な女性で、周りから慕われて、お子さんたちの面倒見もよくて素晴らしいお母さんだと尊敬できる人なので、私を憎んで恨むというより、実際はただただ悲しみにくれて泣いていそうなイメージなので、余計に胸が痛い。

仮に私が彼と親しくなってなかったとして、別の女性がそうなっていたとしても、自分がまず彼にそういう行動を引き起こさせた第一人者にまりたくない!自分が引き金になりたくない!なんていう責任逃れしたい感も湧き上がってきて、しばらくパニクった。

私ってどうしてそんなに正しいことの規範の中から出られないのか?この気質?みたいなのは一体どこから出てきているのか。友達には散々、「皆そんなこと真面目に考えてないよ、自分が楽しいかどうかの方が優先なんじゃない?」と言われて、確かにと思うところもいっぱいあるけど、何かこう、悪いことに手を出すには正当な理由が必要だっていう感覚が抜けきれない。

『尊敬する彼に喜んでもらいたい、幸せを少しでも感じてもらえるようなことがあれば提供したい』と思う気持ちと、『あんなに人として素敵な男性が選び抜いた妻である彼女(彼の正妻)は本当に女性としても素晴らしくて尊敬する。だから大事にしたい、彼女にも私は好かれたい』という気持ちは正にトレードオフの関係だ。どちらかをとれば、どちらかは失う。どっちをとるのか。私の中では正に、私のタブー(一線を越える)を破ったとき、それが自動的に決まると思っているけど、それまで静かに眠らせてていい問題なのか…これも未解決、迷宮入り??

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