第10話こざかしい言い訳

人の旦那さんをとるようなことして最低。分かる。その通り。ただ、こざかしい言い訳がなぜか湧き出てきた。

言い訳1、ここが一夫多妻制の国じゃないことは不条理なこと。不可抗力。私は好きでここに生まれたわけじゃない。もし、一夫多妻制の国に生まれたなら、今私がしていることは非難されることはない。

言い訳2、今好きで親しくしている男性と出会う時期は選べないので、たまたま私が出会ったのが正妻よりも後だったわけで、もし同じタイミングか、それよりも前だったとしたら、私が正妻になれたかもしれないこと。正妻になれていたら、私が今していることに何の問題もない。

言い訳3、魅力的でひきつけられる男性に正妻がいることは必然的であり、自分の力でどうすることもできないこと。素敵な人には素敵な相手がいるなんて当たり前のこと。自分以外の人から好かれる人、つまり、多くの人を魅了する人を自分も好きになるのは自然なことで、そうなる人は明らかに少数派ではなく多数派であって、自分もそのうちの一人。よって、今自分がやっていることは自然な流れで、非難の対象にするには多すぎる、面倒、ほっとくべきであること。

言い訳4、万人うけするような素敵すぎる男性を選んでしまった正妻の自己責任だということ。私のように絶対万人うけはしないし、自分が自信をもって、自分以上に客観的に素敵な女性が相手をするとは思えないような男性を夫にしていれば、他の女性にとられるようなリスクは極めて少ない。あまりにも男性として素敵な人と結婚してしまったがゆえに、そこに群がってくるファンを追い払っていかなければならないのは、もはやその正妻のさがである。つまり、そこに群がったものの一人である私にだけ非難がおよぶのはおかしいので、私は悪くないはず。

なんでこんな理由を思いついたにかは分からないけど、これらに正面から誰かが反撃してきてくれることを少し望んでいるのかもしれない。少し自分にストッパーつけたくなってきているのかもしれない。それだけ気持ちが大きくなってきたのかもしれない。

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