第9話いい女を演じているのか問題

自分らしさを出しても大事にしてくれる人がいい。お互いに躊躇なく自己開示できる関係がいい。そうじゃなくて、自分を多少よく見せようとつくろって、相手に合わせていれば男にとって『都合のいい女』になってしまう。分かっている。私はここに来て新しい考え方をしてみようと思った。

意図的に作り出す『新しい理想の女』だ。新しいというのは自分にとって新鮮な自分という感覚に近い。理想というのは、自分にとっての理想という意味もあるけど、私は相手にとっての理想に近付ける努力をしたいという意味の方を大きくしたい。もちろん、相手の希望を聞き出した上で、それに100%応えようとすることは都合のいい女になってしまうので、そうではない。聞き出さないのだ。むしろ『彼』の場合は聞き出せない!からだ。言葉による問答が好きじゃないと分かっているので、聞き出しばかりしていたら単純に自分がうっとうしい存在に成り下がってしまうだけ。

ではどうするのか?予測するのだ。何をしたら彼は喜んで、何をしたらがっかりするのか。単純だけど、これがまた難しい。相手が例の彼だからだ。豊富ではないけど、私が今までに培ってきた男女の駆け引き実績では到底太刀打ちできない相手。もちろん波長が合わない問題も関わってくると思うけど。

例えば、強い女性が理想であって、甘えてくる女性は好まないから、私は精神的に疲れていて、本当は優しい言葉をかけてもらいたい状況でも『大丈夫!ありがとー』とだけ返事しておく。『一秒でも早く会いたいから迎えに来て』と甘えたことを言いたいとこでも、私がそっちまで行くねと我慢して、相手の効率よい待ち合わせ条件を提示する。これって正直無理して付き合ってる?ってなるところだけど、その結論をとってしまったら、この関係はあっけなく終了。それはそれでいいのかもしれないけど、終了させるのは簡単でいつでも選択できること。だったら継続する努力と、それによって学べることを取った方がよっぽど有益なのでは?という考えに至った。

彼の理想に近付けることは彼にとってプラスであること間違いないので、自分にとっても自己成長への鍵だと位置付ければウィン・ウィンの関係だし、私はそこから『新しい自分』にもなれる気がする。経験値アップもするだろうし、努力して作りあげる自分も自分のはず。たとえそこに素の自分が現れてなかったとそても、相手が喜ぶ姿を見ることが嬉しいと思う自分は偽りのない素の自分だから!なんかかっこいいこと言っているような気になっている自分に酔ったな。笑。

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