第7話波長が合わない問題

冷静と情熱の間。昔流行った映画のタイトルにもあるけど、ここで私が『彼』と表記している男性とは正にこんな状態。むいろやじろべえみたいな感じに近いのかな?片方が冷静なときは、片方が情熱的。そんでもって、どっちのその間にいるときもあるっていう。

これまでを振り返ってもそんな感じ。あのキスから始まる以前(約2年間)もそうだった。私が素敵ですねと彼をほめても、彼は笑うくらい。私が好意があることをいくら示しても、それ以上彼の方から距離を詰めてくるようなことは一切なかった。反対に、たまたま数人で食事をする予定が、行ける人が私と彼の二人になったことがあったときは、私の方が引いて、断ったりしていた。私は意識的に距離が縮まるような状況は避けていた。彼みたいな模範的男性が決して私みたいな凡人主婦と関係縮めるようなことしないと思ってはいたけど、自分の中でなんとなく危ない状況とか、チャンスになるような場面を作ってはいけないような気がしていた。多分、彼も彼で、『この人俺に好意があるくせに変なやつだな』と思ってたんじゃないかな。まだ聞いてみたことはないけど。

距離が縮まってからもこんな不思議なバランスの取り合い?は続いた。私が好き好き大好きー!(キモいおばさん。笑)と言っても、彼は一切便乗して同じようにはしてくれないし、私はなぜか彼が素直にこう思ってたよなどという気持ちの開示をしてくれると、『どうしたの?人が変わっちゃったみたい』などと言ってしまっていた。本とは嬉しくてありがとうと言うべきところなのに。

彼の方が情熱的になってちょっと押してくると、私はなんか怖くなっちゃうというか、紳士的な側面の印象が強すぎてからか、頭の中でエラーっぽいことが起きて自然にその流れに心身ともに任せられなくなる。

こういう状況を私は『彼とは波長が合わない』と解釈している。これが始めのうちは正直苦痛だった。気が合うというのと正反対のことと同じだったから、相手の意図が全然わからないし、ラインのやり取りなんて誤解されまくりで、本当に大変だった。でも今はこの波長の合わなさが、一線を簡単に越えることなく、穏やかに楽しい時間を過ごせる要因の一つなんかないかと思える。

赤い糸ならぬ、見えない波長?二年間はずっと合わなかった波長が一瞬だけ合致した日があのミラクル事件の日だったのかな。そこからまた波長はなかなか合致しない。近付くことはあっても、完全な一致にはまた二年かかるのかも?!ということは、二年後に私は一線を越えるっていう未来の暗示があるのか?!まさか。笑。ん?そのまさかが一回は起こってるんだよね?二回起こらないとは言い切れないのかも…なんて心に留めておこう。

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