第6話『彼』の分析〜半年経過時点〜

男性は本とに大事な女性には好きといえないらしい。その典型例が彼だ。とにかく行動でしか気持ちは確かめられない。これに今まで結構苦労したー。好きなら好きと言ってほしーと言えば引かれ、パッと見るとつまらなそーにしてるし、楽しませようと話しかければ落ち着けと言わんばかりに抑えられる。本とに難しい。この人を満足させようとすると自分が疲れる。自分の成果が目に見えて分からない以上、私も頑張ることを継続しずらい。

そんな考えからしばらく私も冷静でいられて、自分の中でほとんどこの婚外恋愛は終わったなーなんて思っていたりもした。

けど、改めて彼の言動を振り返ると意外な結論に至った。

まず、スキンシップを自分からしてこない理由。多分、自分の信用性を高めたいからだ。前に、キス以上のことを求められたときに私が引いたことがあって、その理由を彼は自分のことをまだ信用してもらっていないからだと言っていた。そこからずっと彼はそこを追求していたのかもしれない。それか、また拒絶されるのが怖くて自分から何もしないようにしていたのかもしれない。どちらにしても、スキンシップがないと決まっているのに出掛ける約束をしてくれるということは、そういうことが一切なかったとしても私との関係を続けてくれるということだと思える。これって私が本当に希望している、一線を越えない関係が継続できるってことではないか?それはそれですごい。彼はすごい。

次に、お金の使い方。さっきのこととも関係あるけど、スキンシップできないと決まっている状態、いわば男性からしたら見返りが何もない状態なのに、食事先が高級店だったりすると、やっぱり私に対する目的はそんなことじゃないのかもしれないって思える。すごい。懐が広い?というのか分からないけど、私が考えている以上に彼って偉大な人物なのかもしれない…

それから、好きとか、自分はとても好意があるからこそ言える台詞を一切言わない理由。これは分析するのがかなり難しい。ただ、いわゆる女性が言われて喜ぶことを一切言わないで、相手の女性を喜ばせたり、満足させたりできるということは、男性としてやっぱりすごいと思う。現に私はそこに対して不満ではあるものの、一緒にカラオケしただけで、めちゃくちゃ高揚するし、幸福感得られるしで大騒ぎだ。笑。女性が言われて喜ぶことを一切言わないのは、本とに最初っからで、途中からそういう態度に変わったとかではない。なので、恐らくこれまで付き合ってきた女性に対してもそうだったんだと思う。なので、過去の女性たちも自分が常に思われているかどうかの不安とは常に戦っていた状態だったんだとは思う。

以上のことから、まだまだ私の考察力が足りないながらも、『この彼はすごい』『ただものではないかも』という考えが今のところ膨らみつつある。出掛ける約束をするたびに、お店を探したり、プランを考えたり、道中どうしたら楽しんでもらえるかなど、私はかなりの労力を費やすはめになっているわけだけど、関係を保っていたいと思ってしまう。最近なんて、向こうが誠実な態度でいることが、私のいかがわしい思いの方にちょっかいをかけているようで、私の方から危ないところまで足を突っ込みたい願望にかられ始めている。そういう結果を招くのが彼の意図であったとしても、私は今もなお尊敬している。この人実に興味深い。

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