彼は、どうにかして2話目を書き上げた。

どんな形であれ、壁にぶつかっても書き上げることを諦めなかったこと、その点においてやはり彼は才能があったらしい。

しかし、努力がなければ報われないが、努力だけで報われるのであれば全ての創作者は悩まない。

彼の作品のPV数は伸び悩んだままだった。

また、前回のレビュー者からも、

「やっぱり俺の言ったとおりだろ」

と言わんばかりのコメントが来ている。

そして彼はその境地に陥ってしまう。

「なぜ、俺は小説なんて書こうと思ったんだ」

だんだんと、何故書いてるのかわからなくなる。

辛辣な言葉に自信を失っていく。

何故書けると思ったのか。

俺は一体、

何がしたいんだ。

と。

彼は、幸運の持ち主である。

批判的であれ、まだ内容もない1話だけでも、レビューがつくのは本当に稀である。

そして、彼は一つの小さな気まぐれに残した言葉のおかげで、もう一つ大きな幸運を手にすることが出来ていた。

「初めてのSSにしては、オチもしっかりしてて良かったです。皮肉が上手く効いているいい文章でした。これからの作品が楽しみです」

そんな一つの、レビューがあった。

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