二人
神様は、私たちを哀れに思ったんだろうか。それとも、ただ単純の気まぐれなのか。
私は小学校の体育館の前に立っていた。二人で体育館に入る前。
私たちがまだ仲良くなる前。私たちは時間をさかのぼったようだった。
小学生の頃に戻されるなんて、私たちが仲良くならないようにと神様が言っているようじゃないか。
そんな気がして、私は君を避けた。
かかわらない。話しても、それだけ。連絡も取らない。
つらくても続けていれば君への気持ちはなくなると思った。だって、今の私たちの関係は、友達と呼ぶにはあまりにも関係値が足りなさすぎる。多分、君は私のことなんて、気にもしていないだろう。
それがうれしくもあり、同時に悲しくなった。
そんな毎日が続き、高校生になった。相変わらず、君とは知り合いどまり。
私が君を好きなことは誰にも言えないまま、ここまで来てしまった。
違う高校に通うことになってよかったかもしれない。君を気にせずに済むから。
気になる人がいた。話しかけても、あまり話してくれない子。話してくれないから、友達にもなれない。それでも、いつも目で追いかけてしまう子。
なんで、僕とは話してくれないんだろう。ほかの子とは仲良くしているのに。僕がもっとかっこよくなれば、気にしてくれるかな。
髪型を気にしても、部活で頑張ってもあの子は振り向いてくれない。じゃあ、何がいけないんだ?知らぬ間に嫌われるようなことしたかなあ。
そもそもなんでこんなに気になるんだろう。
高校生になっても全然頭から離れないあの子。かわいい子だって高校にたくさんいる。かっこよくなろうと努力したおかげで、告白してくれた子も何人かいた。
でも、なぜだか、そこまで好きになれないんだ。好きになろうと努力してみたこともあった。付き合ったら何か変わるかと思って、付き合ったこともあった。最低かな。最低だよね。でも、君のことが頭から離れないから。
会いに行こうと思った。
今までの努力が無駄になった。あんなに、離れていようと。あんなに、仲良くしないようにしていたのに。
君の記憶に残らないようにしていたはずなのに。私も忘れようとしていたのに。
なぜ、君に会うとこんなにうれしくなるんだろう。
会わなきゃいけないような気がしたんだ。頭の中から離れない君に。会えば何かがわかると思って。
いざ目の前に君を見ると、なぜだか、胸がぎゅっとなった。
言わなければいけない言葉があった。
今度こそ言わなくちゃいけない。
気持ちを伝えられないことがとてもつらいことだと知ったから。
いつ、君に会えなくなるかわからないから。
後悔しないために。
自分の気持ちに正直になって。
―君が好きです。
君。 Scent of moon @twomoons
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