第77話 双璧
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地下四階に生息していて、現在の『拙者の回復肉煮込み』のメイン食材である、
終始、仲間を呼び続けるので、単体相手となる機会は、まずなかった。
マルくんが、『
普通に考えれば、いくら広いとはいえ、閉鎖空間のダンジョン内でそれだけ狩れば、
けれども、現実には何ら減る気配はなく、地下九階は依然として、
よく話に聞く、仮想ダンジョンマスターなる存在が、ダンジョン内のあらゆる魔物やアイテムの補充を司っているという仮説も、さもありなんと思わせられた。
魔導士としてのあたしの研究テーマにも関わるので、いつか、そのあたりの謎解きには、本腰を入れて取り組みたい。
いつかはさておき、目先の問題としては、地下九階での魔物肉集めチームの編成だ。
現状、地下九階以深に潜れる探索者の数は多くない。
現役探索者理事四十名が所属しているパーティーの内、地下十階を普通に歩き回れる
地下十一階以深に潜れる
『
ただ、『鉄塊』は、リーダーであるアイアンのギルドマスター就任により、現在、パーティーとしては活動を休止していた。
『
ただ、地下九階での
現状は、地下八階以浅で、実力の向上を図っていた。
この街の迷宮探索者たちにとって、地下九階、地下十階の突破は、巨大で分厚い二枚の壁である。
本来の試練は地下十階だが、地下九階の
探索は、行きだけではなく、帰りもある。
地下十階へ辿り着けても、帰路に、地下九階で
回復手段の三分の一ルール厳守は、常に絶対だ。
満身創痍で、先に進む行為は愚策だった。
逆を言えば、地下九階さえ消耗せずに通過できれば、地下八階で足踏みをしているパーティーが、地下十階の試練を突破できる可能性は、飛躍的に向上するはずだ。
地下八階を探索するパーティーの中には、地下九階を抜けるしんどさと実入りの悪さを聞いているため、階段を発見してもあえて地下九階へは降りずに、地下八階を探索限界と決めているパーティーもいるらしい。
『
だったら、地下九階への階段を降りてすぐのどこか適当なところなどとつまらないことを言わずに、地下九階へ降りた階段から、地下十階へ降りる階段までの最短ルートを、バリケードで閉鎖し、すべて安全地帯にしてしまう作戦は、どうだろう。
通路の曲がり角毎にバリケードを設置する行為を、一つずつ追加しながら先へ進めば、いつか、ルートはつながるはずだ。
バリケードの設置作業は、そういった足踏みパーティーと探索者ギルドの理事がやればいい。
アイアン、ごめん。また、理事の仕事が増えちゃった。
とはいえ、短期的には無償の土木仕事への従事だったが、地下十階へ安全に降りられるようになるのであれば、探索者としてもギルドとしても、収入は確実に上がるはずだ。
地下十階の試練には挑まずとも、探索場所を地下八階から地下十階に移すだけでも、大違いだ。
地下二階から地下五階の探索者が
地下六階から地下九階の探索で
地下十階を普通に歩き回れるようになると
地下十一階以上の深度に潜れる
探索者パーティーの理事以外のメンバーにも、バリケードルートの通行料代わりに、地下九階での魔物肉集めへの参加を義務付ける。
あとは、全体的に探索者の実力を底上げして、
地下九階から地上までの魔物肉の運搬を、
だったら、魔物狩りに注力してほしい。
もしくは、魔物肉運搬専用の『配達くん』の運用だ。
地下九階の安全地帯と地上を、大型の『配達くん』に往復で輸送させるのだ。
『配達くん』の数を増やせば、地下九階で積み込む係が、待ち時間なくすむだろう。
アイアンさん、『配達くん』のご注文をお待ちしています。
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