第76話 ダメダメ
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あたしってば、ダメダメだ。
しんちゃんが、いつのまにか、小料理屋をやりたがってたのも知らなかったけれど、シャインのことを、ただの『
命を預けあった仲間を、全然、理解していない。
あたしが、シャインに、誰か花街の顔役と繋ぎがつけられないか依頼した時、シャインは、一つだけ条件を提示した。
スラムから追い出される者たちに対して、何か仕事を与えられないか、というものだ。
「せめて、スラムの子供たちも定期的に『拙者の回復肉煮込み』を食べられるようにしてほしい」
それも、依頼が成功する、しないに関わらず、だ。
例え、花街の顔役と繋ぎをつけられなくても、探索者ギルドの慈善事業の一環として、スラムの子供たちへ定期的に炊き出しを行うことが条件だった。
もともと、子供好きなところはある奴だったが、街を歩くシャインの周りに群がる子供たちに、すぐ屋台の食べ物を買い与えてしまうのは、目立ちたがりで派手好きなためだと思っていた。
むしろ、そんなことしちゃ駄目よ、と、あたしなんか
本気で子供たちを食べられるようにしてあげたいと思っているだなんて、そんなの、わかるわけないじゃない。
屋台でのシャインは、へらへらと笑っているだけだったけれども、先日は珍しく真面目な顔をして言っていた。
「ぼくも、小さい頃、お腹いっぱい食べられなかったからさ。年中、腹が減っているつらさは、よくわかるんだ。そういう時は、何か悪いことをしてでも、って考えちゃう」
そう前置きして、自分の生い立ちを語ってくれた。
大体、探索者は、自分の過去を誰にも話さないし、知られたくない。
みんな、後ろめたいことの、一つや二つや、もっと沢山持っているからだ。
シャインの育ちや、故郷がどこかなんて話も、あえてしてはこなかった。
だからって、信頼しあってないわけじゃない。
むしろ、今のお互いを、尊重し合っているがゆえだ。
過去に色々あったからこそ、今がある。
命なんか、いくらだって
あたしが、
けれども、シャインが、花街の育ちだったという話は、初めて知った。
シャインは、依頼が成功する、しないに関わらず、と言っていたけれども、絶対に成功させるはずだ。
どうにかして、花街の顔役と繋ぎをつけてくれることだろう。
だったら、あたしも本気を出さないと。
あたしだって、もともと孤児だ。
幸い、うまい具合に、早い時期からカルト寺院に面倒を見てもらえたけれども、食いっぱぐれの経験がないわけじゃない。食えないつらさは、身に染みて知っている。
汚い大人になって、すっかり忘れてしまっていただけだ。
あたしってば、まったく、ダメダメだ。
スラムの子供たちが、定期的に『拙者の回復肉煮込み』を食べられるようにするにはどうしたらいいだろう?
探索者ギルドの慈善事業の一環とするからには、少なくとも、ギルドの理事会の承認がいるだろう。
まあ、そこは何とかなる。
他ならぬシャインが、理事会の理事だったし、アイアンもヨロッヅもホッシノも、花街と関係を持ちたがっている関係者だ。他の理事たちには、うまく根回しをしてくれるに違いない。
問題は、実務面。
どう料理をして、どう配るかという話だ。
それも、
『拙者の回復肉煮込み』の材料は、主に二つ
魔物肉とポーションの搾りかすだ。
どちらも、現在の最後の晩餐場で使っている分だけで限界だった。
まず、魔物肉について、現状は、現役探索者理事プラス理事長であるギルドマスターのアイアンが、持ち回りで確保している。
足りないからといって、持ち回り当番を多くすればいいというわけにはいかない。
必要なのは、そんな微々たる増加じゃなかった。
専従の魔物肉集めチームを、編成する必要があるだろう。
幸い、食用になる魔物肉を効率的に狩れる階層には、
地下九階。
地下九階への階段を降りてすぐのどこか適当なところに、バリケードで安全地帯を築く。
バリケードの一部に狭い入口をあけておき、そこから入って来た
仕留めた魔物肉は、即座にさばいて不要な部分を捨て、冷凍して、地上へ持ち帰る。
基本は、そんな流れだ。
地下五階の安全地帯への魔物侵入対策と、似た仕組みだ。
違いは、魔物の侵入を防ごうとするのか、積極的に刈り取るのか。
仕留め係と
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