第5話 騎士学校へ
バルベリの師事のもとルークはある程度遺物の使い方を学んだ。その一つに遺物の収納技術がある。
遺物は亜空間に収納する事ができ、遺物使いが望むと出し入れが可能である。慣れないうちは直ぐに亜空間から出したり仕舞ったりが出来なく不便であったが練習の末問題のないレベルで出し入れが可能になった。
他にも幾つか遺物共通の技術例えば身体能力の強化を学んだがルークの剣の遺物にのみ備わる能力は不明のままだった。
その遺物のみに備わる能力はその遺物があった古代遺跡に記されている事があるがルークの持つ剣の遺物の古代遺跡は崩壊が激しく能力が分からなかった。
古代遺跡の調査を王都の調査たいが行っているが調査は、ほぼ進んでいない。
バルベリとの1ヶ月に及ぶ訓練が終わりルークは王都の騎士学校へとやってきた。
騎士学校の大きな門を前に期待と不安を胸に足を踏み入れていく。
広大な敷地を事前に渡された地図を頼りに職員室へ向かい歩く。少し早い時間に訪れたせいかこの学校に通う生徒とは出会うことはなかった。
無事迷う事なく職員室に着くと直ぐにオールバックの筋骨隆々の先生が出迎えてくれた。
「お前が転入生だな。担任のマルクス ヘルムだ。これからよろしく頼む」
「こちらこそよろしくと願いします」
挨拶が終わるとマルクスはじっとルークを見つめ、そしていきなりルークの腕や足を触り始める。
「少し筋肉が足らんな」
「先生いきなりなんですか?」
「なに、これから先やっていけるか見てるんだ。筋肉が足らんな筋肉が」
ガハハと大笑いをしながらマルクスはルークの背中をバシバシと叩く。
ルークはどうしていいのか分からず苦笑いを浮かべるだけだった。
「あとルーク君、君は遺物使いだそうだが、基本的に授業での遺物の使用は禁止だよ」
授業での遺物の使用の禁止についてはバルベリからも言われていた。基礎を学ぶ為に来ているのに遺物の力を使っては意味がないし、他の学生に危険が及ぶ可能性がある為だ。
あらかじめ聞いており納得もしていたルークはマルクスに頷いた。
「これから大変だと思うが何かあればいつでも私に言ってくれ。では、教室に向かうとしよう」
いつの間にかいい時間になっていたのかマルクスは荷物持ち立ち上がりルークと共に教室へと向かった。
教室の前に着いたタイミングでチャイムが鳴り響く。チャイムが鳴り終わるとマルクスは教室に入り、ルークもその後に続いた。
教室に入ると20名程の学生が席についている。
「今日から新しい仲間が増える。挨拶を」
「ルーク ノースと言います。田舎からやってきて分からないことが多いと思いますがよろしくお願いします」
「お前ら仲良くしろよ。ルーク君空いている席に着いてくれ」
「わかりました」
ルークは返事をしてから空いている席を探しそこへ向かい歩いていく。席へ向かう道中不快な感覚がしてそちらを向くと金髪の男子生徒がこちらを睨んでいた。
不快感を感じつつも無視をして席に着くとマルクスは点呼をとりはじめた。
午前の座学の授業が終わりルークは机に突っ伏した。
ルークはほぼ授業についていけなかった。今までまともに勉強をした事のないルークにとって騎士学校の授業は難しすぎた。
ある程度は事前に覚悟して、予習をしていたが想像以上にレベルが高かった。
これから先やっていけるか不安を感じていたルークに声がかかる。
「確かルークだったよな?俺、ハラルト モーガンって言うんだ。これからよろしくな」
声のする方を見ると快活そうな笑顔をする男子生徒が手を差し伸べていた。
ルークは突っ伏していた体制から起き上がり差し伸べられていた手を握り返す。
「ルーク ノースだ。こちらこそよろしくなハラルト」
「あぁ!とりあえず、飯行こうぜ」
ハラルトに案内されて食堂に着き各々食べたい料理を注文して空いている席に着く。
食堂に入ってから疑問だったのがルーク達と同じ白い制服に混ざってポツポツと黒い制服の生徒がいる事だ。
「なぁ、黒い制服の生徒って何なんだ?」
ルークはその疑問をハラルトにぶつけた。
「黒い制服は魔法科の連中だな。魔法科は良いよな女生徒が多くて」
魔法、それは呪文や魔法陣を駆使して超常の現象を引き起こす。一般にその才能は男より女の方があるとされている。それを専門的に学ぶのが魔法科である。
「言われてみればクラスメイトの殆ど男子だったなぁ」
「そんなんだよ。クラスに女子はいるにはいるがゴリラしかいないし」
「誰がゴリラよ」
スパンっとハラルトの頭が叩かれる。叩いた人物を見るとポニーテイルをした女性とがふくれっ面をして立っていた。
片手で持っていた料理の入ったトレイをハラルトの隣の席に置いて女生徒は席についた。
「痛いな!何すんだよペトラ」
「あんたが悪いんでしょ。このバカ」
「バカとは何だバカとは。これでも成績は上位だ!」
「そういう意味じゃないわよバカ」
ハラルトと女生徒は睨み合いながら言い合いをしている。
「あの、どちら様ですか?」
彼女は眉間に皺が寄っていた顔からキョトンとした顔になり直ぐにはっとなる。
「転入生のルークだったわね。私は同じクラスのペトラ アテシュ、このバカの幼馴染よ」
幼馴染……その単語で一瞬ルークはエミリーの事を思い出して暗い気持ちになったが二人に悟られない様に直ぐに切り替えた。
「よろしく、アテシュさん」
「ペトラで良いわよ。こっちもルークって呼ぶつもりだし」
「わかったよ。ペトラ」
挨拶も終わりルーク達はご飯を食べ始めた。
食堂のご飯は量も味も大変満足する出来であり午後からの授業への活力となった。
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