第3話 F1

国王との謁見はその後何事もなく終わり、姉の友人との会談をするため、王城の応接室で待たされていた。

騎士の庁舎に直接赴けばいいと思ったのだが国王様の隣に控えていた王妃様が、


「いいですか、久しぶりに殿方と合う女性は準備が必要なのですよ。」


と言って待たされることになった。

いつも姉の友人に会う時は時間なんて待たすことは一切なく、堂々と来ていた気もするのだが。


姉の友人に対してそこまで印象が強くないので正真正銘、ただの姉の友人としての印象しかない。

姉は交友の広い人物では無く、引っ込み思案な性格で友達の多い方では無いし連れてきたのも、今こちらに向かっている姉の友人と呼べるアストリアさんただ一人だ。


「女性の準備が長いのはどこの国も一緒か。」


王様は苦笑いして、王妃様は口に出すのは良くないわよと制する。

勇者パーティでも女性の人々は着替える時間が長かったしね。


「シーザー様、女性に対してお小言を零すのはよろしくありませんよ。

 女性は壁に耳を持ち、窓に目を光らせているのですから、いつどこで聞かれてもおかしくありませんよ。」


国王陛下のバトラーは、愛妻家(女性の間だけ)として知られている。

もっとも彼の学生時代を知るモノは恐妻家の間違いだろうと言われている。

彼は元々男爵家の次男であったが伯爵家の三女に見初められて現在の職にありついている。


最も伯爵家の三女が熱愛しすぎて、手に入れるために手段を択ばず、束縛することをしていたと彼らのクラスメイトは語る。


「それは奥様からのお言葉ですか?」


「ええ、誠に残念ながら。」


「よく離婚しませんね。」


「離婚できないモノでしてね。」


これが貴族のしがらみという奴か。

哀愁漂わせるバトラーに自分も片足突っ込みそうで嫌だった。

今、待っているのは剣技に夢中になり過ぎて嫁に行き遅れた英雄。


彼女、マドレーヌさんを最後に見たのは何年前だろうか。

勇者パーティに入ってから大体1年とそれまでの訓練期間を合わせて2年も会っていないなと思い出していく。

俺の中でマドレーヌさんは剣に生きているから、ケガも多く、それなりに身体を診ていた。

肌には生傷も多く、大きな火傷なども出ていた。


筋肉は余りつけていないがその分局所的に発達させているので疲労をため込みやすく、その度に熱を出したり倒れたりと世話をしたものだ。

今ではスタミナを十分に身に着けて、倒れたり熱を出すことは無くなってはいる。

彼女の看病をしていたのは自分で、姉のお願いで何度頼まれたことか。


容姿だけ見れば美人と言えるのだけど、訓練も一緒に付き合わされたし、教官の表現が似合う。


決して貴族のお茶会のようなキャッキャウフフな幻想は起きなかった。


「また、訓練やらされたら嫌だなあ。」


戦闘では役に立たないが訓練だけは怠っていない。

マドレーヌさんからすれば赤子の手をひねる様だが戦闘を行えば半日は筋肉痛で動けなくなってしまう。

カバンを確認して薬のストックが問題ないことを確認する。

ドーピング薬

傷薬

超人薬

etc............


___コンコン___


薬の確認をしていると、アストリアさんが着いたっぽい。


「マドレーヌ様をお連れ致しましたがご入出をしていただいてもよろしいでしょうか。」


「どうぞ。」


メイドが扉を開け、入出したのは今まで女っ気が一切なかった女騎士とは違う。

黄色いプリンセスラインのドレスで自分を彩り、照れくさそうに顔を赤くしながら入ってきた。


「久しぶりだなシーザー。」


「マドレーヌさん、ご無沙汰しております。

 体調はいかがでしょうか。」


「凄ぶる元気だよ。

 そういうシーザーこそ勇者パーティの旅で疲れていないかい。

 今夜は私の家に泊って行かないか?」


「いえいえ、そこまで疲れてはおりませんので、それに実家にも顔を出さないといけません。

 それと……。」


「それと?」


「未婚の女性の家に行くなんて紳士の風上にも置けないことはできませんよ。」


「.......ガードが固い。おかしい、これをすればシーザーは一発で落ちるって言ってたのに。」


俺には聞こえない小さな声でぼそぼそ呟いていた。

姉に何か吹き込まれたのだろうか。


「そ、それで、シーザーは今の私の格好をどう思う?」


「どう思うと申されましてもとても健康で居て、肌も気遣っているご様子ですし、そのドレスと相まってとても美しく思いますよ。」


「そ、そうか。

 それで何だがこれからシーザーはどうする?

 勇者パーティを抜けてきたのだろう。

 他に何かする予定のことでもあるのか。

 ないなら、騎士団の専属薬師でもしないか?」


「ありがたいお言葉ですが、お断りさせていただきます。

 私は自分の店を持つことが目標なのでどこか辺境にでも店を構えようかと。」


前々から考えてはいた目標を話し、彼女と別れた。


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メイン小説

換金スキルとショップスキルでバグ技現代無双〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~


酔っぱらってダンジョン行ってたらお姉さん持ち帰りしてて朝チュンしてた件~スキル乳化の美肌ボディエステは女性冒険者を虜にする~


こちら二つもよろしければ拝読ください。


スライム道

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