第2話 e/j
「やっとあの面倒なパーティを抜けられた。」
俺が言うのも何だがあの勇者パーティは頭のネジが何本か外れている。
大魔法使いマリアージュに加えて勇者マリーを筆頭に
剣聖アストリア、
狩人アポロン
彼らは一癖も二癖もあるような人物ばかりで対応しているこっちがまいってしまう。
勇者は無鉄砲に魔王の軍勢にツッコむ馬鹿。
魔法使いは前途述べたように音のデカい魔法を連発する。
剣聖アストリアは敵を切り刻み過ぎて血の池をすぐ作る。
狩人アポロンは綺麗殺すが罠をそのままにして立ち去ることが多い。
デメリットとしては
勇者は全治何週間に成ろうかという傷を負ってくることが度々ある。
その度に高価な薬品をふんだんに使って治していた。
魔法使いはその音から敵を呼ぶ。
今の時代、全ての音が魔法に直結する以上偵察は絶対に来る。
偵察だけならやり過ごせばいいが増援が来た時なんて絶望だ。
だから消音剤を使ったりしていた。
剣聖アストリアは血だまりを作るため、そこから疫病が発生したり、魔王軍の嗅覚強い偵察部隊が存在する。
普段俺たちは彼らを出し抜くための薬品を服にシミ付けているのだが、地面からの血の匂いを辿られては意味が無くなってしまう。
地面に浸透した血を分解してニオイ物質も全て取るのにどれだけの苦労が必要か。
狩人アポロンは弓矢や罠を現地で調達できる素材を基に作成、使用するのだがどこか抜けているというか罠をそのままにしてしまうことから、これから行軍する軍隊にも場所がわからない状況になるし、魔王軍に勇者の道が知られる。
アポロンを除き男性が俺しかいないのも心労が溜まる要因だ。
国王陛下に無理を言われてきたが我慢の限界も来ていた。
そもそも俺の作る程度の毒で魔王を倒せるとは思っていない。
なんせ劇毒と呼ばれるものを平気で酌しているような種族の集まり。
無駄な殺生もしたくはないしね。
元々現代日本で生活していた記憶があった。
基本命は大事に
それをモットーに生活がしたい。
「それで帰ってきたのか……。
そなたが居らんのではもう勇者パーティの意味がない。
この日をもって終戦案を各国に伝達しなければならんとはな。」
「何言ってんですか国王様、彼らはそもそも人間になんて興味なかったでしょうに、土地の有効活用方法だなんて、あのバカたちの国がやらかさなければ和解案だってできたでしょうに。」
「それはそうだがな。
我がアルセーヌ王国にもメンツというものがな。」
国王もこの戦争が無謀な戦いであったことは理解しているらしい。
そもそも、この国では今戦争をしている国とは別の国と国交を交えている。
魔王の種族と同じ種族が興した国と国交を結んでいる。
その際、この戦争は人間側の侵略から始まっていることが分かっている。
しかし、人間の国として襲ってくる異種族がこちらを滅ぼさんとしてくると言っているのだから、しょうがなく参加するしかなかった。
「メンツももうなにも残っていないでしょうに。
自分で吹っ掛けた敵の強大さに今頃気が付いて呆れるにもほどがありますよ。」
「ふむ……。」
この暗殺者の代表もそこまで乗り気ではなかったし、潮時と言えば潮時だろう。
なんせ、魔王を倒せる可能性をわずかに持った最後の人類とも言うべき存在を追放したのだから。
引いても良い時だ。
各国のエキスパートが見ても勝機があるのは勇者パーティだけだった。
なんせ戦場では倒せないと確実に分かっていたのだから。
他の魔王国家との取引で魔族の力は魔王城の近ければ近いほど増すことが報告に上がっていた。
魔王は侵略者ではなく防衛に特化したシステム。
こちらから仕掛けなければ特にこれと言った脅威ではない。
この国にまで届く攻撃も確認されているが、町が壊れると力が減っているとの記載が、自分たちが送り込み帰ってきた目の前にいる男からの報告書にある。
「それに、この国から軍事支援における民衆の支持率どうなってるかわかります?」
「ああ、もうわかった。
正式に話を付けといてやる。」
「ありがとうございました。」
初めから言質取るのが目的だろうに。
と王様が口を零していた。
この国は王族は選挙制で決まる珍しい国だ。
優秀な指導者に選ばれようと有言実行しなければ、すぐに王座から降ろされる。
法の番人とも呼ばれる家が100ほどあり、国民全員が王にふさわしい者を選ぶ。
他には宰相(さいしょう)なども選挙によって選ばれる。
政治は国王も宰相も行うので、国民への不満はとても少なくなる。
他の王政国家と異なり、民主国家とも異なる独自の国家として君臨するアルセーヌ王国。
彼らの価値観は独自のモノだ。
その代わり王族信仰、国民の団結力はどこの国よりも強いと言える。
なんせ、国民の未来を左右する人たちを決めるのは国民自身が一端を担い、その教育を行うのは他でもない王族なのだから。
そのかいあって、この国の識字率は15歳の時点で100%を保っていた。
周辺国では国民に甘い国と罵られているが、戦争を起こせば、自国の被害は他の国と戦争を起こすよりも大きいと思われていた。
半宗教国家に近い国は兵士が命知らずなのだ。
「して、お前は何をする。」
「そうですね、どこか辺境で薬師でもやろうかと。」
「そうか。
ならその前に騎士、マドレーヌに会ってはくれぬか。」
「マドレーヌさん?
確か、姉の友人の?」
「少々、お前に会えなくて
ストレスが溜まっているのか訓練の量が倍になっていて兵士が根を上げているのだよ。」
「訓練の量が倍になったとは存じ上げておりませんが。
それにマドレーヌさんとの接点は自分にはありませんよ。」
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メイン小説
換金スキルとショップスキルでバグ技現代無双〜無限に増える1円玉でスキルを買いまくる~
酔っぱらってダンジョン行ってたらお姉さん持ち帰りしてて朝チュンしてた件~スキル乳化の美肌ボディエステは女性冒険者を虜にする~
こちら二つもよろしければ拝読ください。
スライム道
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