第8話 「目が開かない」

2021年、3月。

「みーちゃん、私最近目が開かないのよ」


いつも飲んでいる睡眠薬が朝になっても残って眠い、という事と思った私は「眠いの?少し仮眠とってみたら?」と言った。


「ううん、違うの。眠くないのに、瞼が下がってきて目が開きづらいのよ」


始めは目の事を頻繁に言うもんだから、眼瞼下垂か何かと思い様子を見てみることにした。

記録用に顔の写真も撮った。


「歳だから、瞼の上に皮が乗っかって開きづらいんだねぇ。歳はとりたくないよねぇ」そんな風に笑っていた。


この頃は、まだ誰もこれが病気の前兆だなんて知らなかったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る