第6話帰ってきた主

ぼくの抱いた疑問に首をかしげるみんな、幸田がみんなを代表して質問した。

「ここに住んでいるのは、画家らしき男とその妻じゃないの?」

「うん、この家を見て気づいたけど、この家は絵を描いたりするところとか、絵を保管するところとかが広く、逆にキッチンや寝室がせまい。元々キノコハウスは、家というより作品を作ったりするところなんじゃないかなって思うんだ。」

「アトリエということか・・・、確かにそういう感じがするね。」

「でも、リビングにあった男と一緒にいた女性は、妻じゃないのか?」

「一緒に写っているからって妻とはいえないよ、おそらく結婚していないか、結婚したけど何かの理由で一緒にいられなくなったんじゃないかな?」

「一緒にいられなくなったって、どういうことだよ?」

「それは本人に直接聞かないとわからないよ。」

すると下から大きな声が聞こえてきた。

『だれだ!私の家に入ってきたのは!?』

「やべっ、帰って来た!」

「どうする、どうする!?」

ぼくたちは慌て出した。

「とりあえずここにかくれよう、もうそうするしかない!」

ぼくたちはこの部屋の中にかくれて、家主がここに来ないことを祈りながら身をひそめた。

しかし家主の足音は、少しずつこちらに近づいてくる。そしてついに部屋のとびらが開いてしまった。

『うおっ、お前たちはだれだ?』

ぼくたちは観念したかのようにうなだれるしかなかった。

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