第2話 続く毎日の1日

今日はあろうことか、起きると日がだいぶ傾いていた。

時刻は16時。

いよいよもって、暇を扱えなくなってきた。


家族の帰宅まで時間がない。

俺は慌てて皿洗いを始めた。

風呂掃除、室内掃除、洗濯。

本当は洗濯は昼までに行いたかったのだが、すぎてしまったことは仕方がない。

脇目も振らずできるだけ早く終わることを半ば祈りながら、目の前の作業に取り組んだ。


一通り片付き、自室の椅子に腰をかける。

ふと違和感を感じ、椅子に目をやる。

すると、椅子のネジが外れそうになっていた。

きゅるきゅると軋んでいたその部分を回して締め直す。

再び座り直す。

しかし、やはり違和感がある。

なんとなく手近にあった引き出しを開いた。


そこにはどこまで続くかわからない、何色ともつかない底知れない空間が広がって

などいなかった。


木製の板でできた四角い普通の引き出しだ。

ただ、そこには見覚えのない封筒が入っていた。

10年後の自分へ。

綺麗とも汚いとも言えない、どこか拙い手書きの文字が表面に記されている。

そのまま中を見ようと口を探す。

なにやら封がしっかりされていて手指では綺麗に開けずらい。


鋏を撮りにリビングまで向かった。

ちょうどその時、玄関で鍵の鳴る音がした。

まもなく扉が開き、妹が入ってきた。

「ただいまー」

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