暇を持て余し

蒼朔とーち

第1話 じゃがいもの皮のように薄く長い一日

 暇な一日。日がな一日。

 起きれば太陽が頭上に昇っていて、することがないからなんとなく動画を流し、ゲームをし、気が向いたら本を読んで、気づくと夕方。

 まぶしい西日が窓越しにやってきて、一気に一日の終わりを感じる。

 それから家事を片付け家族の帰りを迎え、夕食を食べ、風呂に入り、ゲームをして、寝る。

 毎日同じ繰り返し。

 退屈なんて言葉は半年前に過ぎた。

 退屈はしのげるが、この暇はしのぐことがもはやできなくなってきた。

 

 俺は、夕焼けが嫌いだ。

 あのオレンジを見ると、その日一日の清算をさせられている気分になる。

 今日やったことがあれば充足感なんかにかわるのかもしれないが、俺にとってそれは、その意味のない一日がのしかかってくるような感覚をもたらす。

 むなしい。つらい。嫌悪。自己否定。

 なぜ今日も一日生きてしまったのか。

 そんなことが頭に浮かび、それを自覚してさらに嫌悪する。

 そんなこと考えている暇があるなら現状を変える努力をしろと、頭の中で声がする。

 そうして、意味もなく疲弊して夜を迎える。

 

 一体何のために生きているのか。

 自分ではもう、わからなかった。

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