暇を持て余し
蒼朔とーち
第1話 じゃがいもの皮のように薄く長い一日
暇な一日。日がな一日。
起きれば太陽が頭上に昇っていて、することがないからなんとなく動画を流し、ゲームをし、気が向いたら本を読んで、気づくと夕方。
まぶしい西日が窓越しにやってきて、一気に一日の終わりを感じる。
それから家事を片付け家族の帰りを迎え、夕食を食べ、風呂に入り、ゲームをして、寝る。
毎日同じ繰り返し。
退屈なんて言葉は半年前に過ぎた。
退屈はしのげるが、この暇はしのぐことがもはやできなくなってきた。
俺は、夕焼けが嫌いだ。
あのオレンジを見ると、その日一日の清算をさせられている気分になる。
今日やったことがあれば充足感なんかにかわるのかもしれないが、俺にとってそれは、その意味のない一日がのしかかってくるような感覚をもたらす。
むなしい。つらい。嫌悪。自己否定。
なぜ今日も一日生きてしまったのか。
そんなことが頭に浮かび、それを自覚してさらに嫌悪する。
そんなこと考えている暇があるなら現状を変える努力をしろと、頭の中で声がする。
そうして、意味もなく疲弊して夜を迎える。
一体何のために生きているのか。
自分ではもう、わからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます