テレパセリ
体は痙攣し、呼吸すらもままならない。徐々に意識が暗転し始めては、自分の体の防衛反応か、逆に意識が戻っていく。地獄と評しても温い苦痛。その反復が5分ほど続いただろうか。途端に痛みは引き、苦痛に塗りつぶされていた視界は徐々に開いていく。
「大丈夫?天見くん、おーい」
ぺちぺち、と額を軽く叩かれる。俺を見下ろしている菊原の顔が見えた。
「いやぁビックリしたよ。初めて他の人が倒れるの見たけど…ガクンって体が落ちるような感じ?私も初めての時ああだったのかなぁ」
未だ体に力が入らない。風邪の時のように、体の末端が痺れているような感じだ。
ただ、少なくとも先ほどよりかは格段に気分がいい。俺は上半身を起こす。結構な傾斜を感じるが、どういった工場だったのだろう。
「入れた、のか?」
「うん。一応侵入には成功した。“アイツ”はまだ眠ってるし、気づかれてない。で、ひとつ説明し忘れてたことがあるんだけど…」
「なんだよ」
すーっ、と菊原は大きく息を吸い込み…こちらの目を見る。何がしたいんだ、と言いかけると
『聞こえる?天見くん』
頭の中で声が響く。鼓膜を震わす音ではなく、脳内に響くような。骨伝導イヤホン…とは少し違うか。
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