ねじれ、ねじれ、ねじれ
ぎゅ、と菊原が俺の手を握る。これがもし、学校からの帰り道とかだったらば、俺は思春期らしく心臓を高鳴らせただろう。しかしこの状況においては、どれだけその手が温かろうと、どれだけその手が柔らかろうと、地獄へと手招く亡者の腐り落ちた掌とそう変わらないのである。もしくはバンジージャンプで背中を押すオッサンの太い腕か。
おい、待て
俺の制止の声は聞こえただろうか。いや、聞こえていたとしてもコイツは止まらない。
視界はすぐさま闇に包まれ、一切の音という音が俺の世界から消える。
それに戸惑う間も無く、頭が引きちぎれるような激痛が俺を襲った。涙が絞り出されるように溢れ、口角が下に引っ張られる。俺は立っているのか、それとも落ち続けているのかすらもわからない。外界との接続は、握られたその手のみ。
気を失いそうになる中で、俺は無意識的にそれをぎゅっと握りしめる。1秒が1分にも引き伸ばされ、1分は1時間に等しい。
頭蓋骨が捩じ切られ、脳漿を散らし、眼球は眼窩から飛び出る。んな妄想すらできてしまう。それほど痛みに強くなっているのだろうが、気を失うことを望むほどの苦しみ。
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