人でなしの魂
「じゃあなんでだよ!?」
「事故だ。彼女の自殺の習慣は昨日まで続いていた。屋上から飛び降りた彼女の下にいたのが、偶然君であったと言うわけさ」
衝突死。君の死因はそれだよ。彼女の戯れで君は一度でも命を終えた。だからこそ、君が彼女の命を奪っても私は何も言わない。彼女にも私にも裁くことはできない。
淡々と、チツグは言葉を連ねる。理解しきれない頭の中で、しかし俺はこの根幹的な疑問を解消できていない。
「じゃあ、なんで俺は生きて、なんで俺は菊原を殺せるくらいの化け物になったんだ?」
「彼女は、死んだ直後の君に血液を飲ませた。自分の体の一部を分け与えて眷属にした。そして君は蘇り、化け物としての生を歩むことになった。ある程度強い妖怪はそんなことまでできるからね。彼女自身、苦肉の策だったんだろう」
俺は自分の手を見つめる。もう、どこにも傷はなかった。それがなんだか、悲しい気がした。
「そして今日君を殴ったのは、永遠に自分に関わらせないようにするため。全て彼女の口から語ったことだ。彼女を学校に行かせたのは私のアドバイスだ。少しは楽しい毎日を、って。これも私の罪だ。人でないモノを学校という未来ある者の場に放った、私の責任だよ」
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