アヤカシ・イマージェンシー

「呼ばねぇ。つーか何と言うか…随分凝った名前だな、オマエ…」


チカヤマ、チツグ。何度聞いても馴染む気がしない。しかしまぁ、名乗られたからには覚えなければいけないだろう。


じゃあ、と次の疑問のために俺が口を開く。


「オマエはアイツの、菊原の保護者、なんだろ?なら、アイツのことを教えてくれ。どうして、あんなにアイツは強かったのか」


殺している身で聞くことでもないのかもしれないが、しかしこの疑問を解消するために、俺はここに来たのだ。


「そうだね、正直、私もそれを話したくてここに君を招いたんだ。お茶菓子でも、と思ったけど、急かされては仕方ない。込み入った話だから順序を入れ替えたりするかもだけど、その辺りは気にせずに」


机上に置いてあった急須に茶を注ぎ、チツグはそれを一飲みして、


「まず、彼女の正体から話そう。彼女はずばり言って、妖怪の類だ」


「妖怪?」


俺の頭のなかで一つ目小僧とのっぺらぼうとろくろ首が踊り出す。あまりに分かりやすいと言うか、幼稚な想像だが、俺は妖怪という言葉に関してそういった認識しかないのだ。

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