マイハウスオブマイハウス!ザル警備の脳内と共に

ある意味、この男によく似合っていると言うべきかもしれない。


微妙に湿った雑草を踏み分け、そこの前に立つ。やはりどうしてこんなとこに住んでいるのか解せない。見れば見るほど悲惨な、終末戦争後に残った建物であると言われてもなんの違和感もない。


こいつが言うことを信じるならば、菊原もここに住んでいたと言うわけか。


信じられない、と簡単に言えない妙な信憑性があるのが厄介だ。

もし本当ならば、どうして菊原はこんな男と同じ屋根の下で寝食を共にしたんだ?もしや、身体を──


「あのさ」

「わかってるさ。そんなことないって言うんだろうが」

ああもう面倒臭い。そんなに分かりやすいか俺は。


「案外人が何を思っているか、なんてわかりやすいものなんだよ。相手の立場に立って考えることを心掛ければ誰でもこなせる」


相手の立場に立ってるのならば早くその口を塞いでくれ。





どうやら扉は腐れ落ちずに残っているようである。ドアの取手もボロボロでささくれ立ったものだ。無論ドアも同様なのだが蝶番自体はぴかぴか新しいものなので、どうやらそれくらいの修繕はしているらしい。



「ほら、ようこそ。これが拝み屋である私のマイハウスオブマイハウスだよ」


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