道化

「ああ、ちなみに君の学校の生徒にも、先生の誰とも僕は知り合いじゃない。いや、ここまで離したんだから君とも知り合いかな?あと」


彼は細い指を立て、こちらに向けてくる。いや、俺ではない。俺の後ろ、菊原の死体に。

「この子ともね」


やっぱり、この男はそうだ、菊原を知っている。つまり菊原の


「そう、彼女がどうしてあんなに強かったのか、私は知ってる」


彼はランタンを地面に置く。淡い光が、地面を伝って俺の足を照らした。


「あんた、菊原のなんなんだ」

「まぁ…言うなれば保護者ってとこかな。つまり君はにっくき家族殺しってわけ」


口調は明るく、口元は笑っているが、サングラスのせいで表情がいまいち読めない。

「俺をどうする?」

「そうだね、3択かな」


彼は親指、人差し指、中指を立てる。いち、とまずは親指を折り曲げた。


「君を捕まえて、警察に突き出す。そして現行犯で君は捕まり将来真っ暗。私は泣きながらテレビの取材を受けるだろうね」

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