告白
「あら、それはひどい。殺人は良くないよ?盗みまでは戻れるけど、人殺しは反省しても社会的制裁が止まない。それこそ忘れられるまで、なんてほぼほぼ終身刑みたいなもんだ」
少なくとも、おおよそ殺人を告白された者の態度ではない。冗談ならばまだしも、遺体が目の前にあってこうまで長々と中身のないことを語れる者などカタギではないだろう。
「まぁ、最近この町も物騒になってきたねぇ。田舎で静かでよかったのに」
身を屈めたまま、男が語り出す。
「最近、この町にヤクザが入ってきたっていう噂あるでしょ?」
俺が答えるかどうかのうちに
「アレ本当だよ。チャカ持ってこの町に潜入してきた。まぁ、明日からは安心していいよ。ターゲットを撃ち殺すから」
平然とした調子で彼は続ける。
「あ、悪いことだけじゃあない。君の友達…ツネアキくん、だっけ。その子告白されるよ。隣のクラスの、白垣ちゃんっていう、静かだけど可愛くていい娘に。ツネアキくんあっけなくフッちゃうけど」
優しいけど酷いねぇ。とおどける男。冗談のように言っているが、俺はこの男に会ったことも、学校以外の誰かにツネアキのことを話したりしていない。しかも隣のクラスの女子の名前なんて俺の預かり知らないことまでも、当然のように男は話す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます