第9話 創設「俺たちの文学部」

 部屋を出た霧崎 智也(きりさき ともや)は白い本を自室に持ち込むために動いていた。

—父が帰って来たのに、まるでいないみたいな静けさに俺は驚きと同時に今しかないと変に落ち着いていた。

 なるべく足音を立てないように、慎重に廊下を進んでいく。時節、足元からギシギシと小さいが音が鳴る。それを気にする余裕は今の俺には無かった。

 父がいるであろうリビングまでたどり着く。父は椅子に座って、ノートパソコンを開いて、何かの作業をしているのかキーボードのカタカタと言う音が響く。

 俺はわざとらしく父が見える手前辺りから足音を立てて進む。

「—お、智也。ただいま」

「おかえり」

 いつもの挨拶なのに謎の緊張がある。白い本があることがバレたらどうなるか。想像もつかない。母が好きだったものでもあり、死んだものでもあるそれを父が見たら.......。—冷や汗が止まらない。

 俺はそそくさと玄関の方へ向かう。そして鞄と一緒に置いてある紙袋にひとまずホッと一息。中身も見られてないようでとりあえず今までの緊張がだいぶほぐれた。

 紙袋を鞄の中に入れて、自室にもちかえろうとしたその時—。

「—あ、智也。お父さんこれから出かけるから、晩御飯は先に食べてなさい」

 背後から声をかけられて思わずドキリとしたが「分かった」となんとか返せた。

 それから父は靴を履いて、そそくさと出て行った。

 俺は自室に戻り、鞄の中から例の白い本入りの紙袋を取り出す。

 次に今日の宿題などを取り出していると、部創設の紙が出てきた。

 この本の真相、そして父が何のためにあの特別措置を出したのか。まだまだ分からないところがある今、俺はたくさんの情報が欲しかった。—部創設のために必要な部員は4名。そして、俺はその4人と情報交換や意見交換の場を作ろうとこの用紙を先生からもらったのだ。

 明日、頼んでみるか。村井と峰はおそらく何とかなると思っている。あとは—。

「—本居だな」

 深く背もたれにもたれかかり、俺は本居をどうやって部に入れようかの作戦を考え始めた。

 —一方、その頃。智也の父は—

「—来たか」

「うぃーす、お疲れまでーす」

 彼を見ると口元がニヤッとしていた。

「どうした、何か面白いことでも?」

「あ、分かっちゃいました?...実は—」

— 電話の後の峰は —

 ツーツーとスマホから通話終了のお知らせが鳴る。

「....あ、陽菜ちゃんの電話番号聞きそびれちゃった」

 明日、学校で聞こうと考えるとどうにも引っかかる。

「....学校」

 そう、私はここ最近。学校に通っていなかった。今日なんて久しぶりに行ったら蹴られたりと散々な目にあったのに....。

「—陽菜ちゃん」

 昔、彼女に酷いことをしたのに、彼女は私に手を差し伸べてくれた。

 私は.....。

「♪~♪~」

 —着信の音が鳴り、スマホの画面を見ると....パパがいるところの警察署からだった。

— 陽菜 —

 今の私はとても気分がいい。

 昔からのもやもやの一つである。峰 咲の正体、真相、結果の3つが得られたことにより今の陽菜は上機嫌だった。

 何か本でも読もうかしらと自室の本棚を覗き込む。

 すると、奥の方に埃まみれの本があった。

 無性に読みたいと感じた私は埃まみれなんて知ったもんか!とその本を引っこ抜く。

 「あ、これ」

 埃を出来るだけ払ったその本に見覚えがあった。

 昔、1度だけ読んだあの白い本だった。

 何も考えず1ページ目を開いて、私は驚いた。

 —そこにはこう書かれていた。

 いい加減、気づきなさいよバカ!

 「.....え」

— 本居 —

 自分の涙で汚した廊下を雑巾で拭くときは無心でやっていた。

 何も考えられなかった。痛みが引かず、ジンジン痛い。もしかしたら骨が折れてるのかもしれない。でも、動かせるからそれは無いかと思った。

 雑巾で拭き終わると、俺はそそくさと雑巾を洗濯機に入れて、自室に戻って、店主のおすすめ本を読んだ。         終わり


翌日~

 俺はあの後、店主のおすすめ本—シリーズ本でしっかり完結されていた。を読んで全て読んだ頃には朝になっていた....眠い。

 何とか自分の机までたどり着くと、頭を突っ伏して......ねr—

「—よう、本居。おはよう!」

 .....n

「—それよりさ、俺の部に入ってくれよ。頼むよう」

 .......

「—なぁ、も~と~いぃ!!」

 .....(小さく頷く)

「よっしゃぁ、それじゃお前の名前書いとくからな」

 .....これでやっとねむr

 —キーンコーンカーンコーン×2

「よぉし、朝のホームルーム始めるぞ~」

 .....覚えてろ、NoNam。

—なんか、意外とすんなり、本居の了承を得たけど.....なんで?

 それよりも身の危険を心配した方が......。(作者ですどうも)

 まぁ、いいか。次は峰と陽菜かな。

 と、そこで朝のホームルームが始まった。

—朝のホームルーム。本日出されたのは...。

1+5=?

本居:眠い

智也:6(同じ間違いはしないぞ)

陽菜&咲: イチゴ🍓(二人の大好物)


正解は......6!!


本居:眠い

智也:よし

陽菜&咲:「え、何で⁉」「ふむ、そっちか」


—昼休み—


本居はようやく安寧を手にした


一方...。

「—陽菜ちゃ~ん」「っ!だからちゃん付けはダメって言ってるでしょ!!」

「なんでよぉ、陽菜ちゃ―」「—だ~か~らっ!!ダメなもんはダメ!!」

「陽菜(イケボです)」「.....なんかヤダ」

 安寧とは...?


智也、安寧を捨てて、隣のクラスに。

 よし、今の時間なら陽菜が教室にいるはずだ。今のうちに話をつけて—

「—なら陽菜‟ちゃん”でいいよね?」「よくないわよ!」

「じゃぁ...陽菜(さらにイケボ)?」「...うっ、寒気してきた」

智也:(ポカーン)

「む、あ、霧崎くん。どうしたの?」「え、智也⁉」

そこで俺はようやく開いた口を一度閉じれた。

「あぁ、前に峰に部活入らないか?って言っただろ?どうしても峰と陽菜に入ってほしくて.....陽菜を誘いに来たんだけど....どうかn—」

「「—入る」」

 即答であった。


 こうして、俺は昼休み中に最低部員数確保が済み、担当の先生に用紙を出しに行き。峰と陽菜の二人には今日の放課後からやるからと伝えて昼休みは終わった。


—放課後—


本居、昼休み丸々寝て回復。

陽菜&咲「部活って何するのかな」「さぁ?でもなんか楽しそうね」能天気な二人


—よく寝た....。そして—

「—よし、本居。行くぞ」

......寝るためとはいえ....やってしまった。

 おとなしく連行される本居であった。


 部室は3階にある空き教室を使うと昼休み峰と陽菜に用紙を出した後伝えたから二人もおそらく来るはず....来なかった。

「・・・」「・・・」

空き教室に無言の男二人。

なぜ、女子の二人が来てないのかと言うと....。

「あ、そういえば私、今日は塾があるんだった」

「あ、私はちょっとパパのことで.....」

「え、あんたその年でパパとか言ってるの?ww」

「え、何かおかしなことがあった?」


と、二人ともそれぞれの理由で部活に来なかったわけである。

「・・・」

 気まっずぅ....何話せば.....。

「なぁ」「ん?」

「そういや、お前誰だっけ?」

智也:( ゚д゚)ポカーン

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本が亡くなった日 黒夢 @NAME0

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