第6話 暗い時間



小さいころから綾子とはずっと一緒だった。


綾子は人の悪口はいわない。


むしろ堂々と好きなことも嫌なこともその人に言うタイプ。



たくさん遊んで、笑って、語った。



将来は、きっと綺麗なお姉さん。



つまり、いい子なんだよな。



柳君も、好きになるよな。



私でも、他の誰でもなくて、綾子のことが。



よりによって?



それが受け入れがたくて切ない。



胸が、痛い。




休み時間、綾子をぼんやり見ていた。


視界には柳君もいる。



綾子が言う。





「ゆりか、もしかして振られた?」





おいおいど直球なやつだな。



え、なんで?と思わず聞き返す。



「なんとなく様子おかしいし、


いつもならもっと柳君みて嬉しそうだしね」



やれやれと言った顔で私をみる。




だって、柳君が綾子のこと好きだから振られた。



これを綾子に言ったら楽になれるのだろうか。



心が、暗くなってゆく。



怒り、嫉妬、憎しみが煽ってゆく。






「ゆり!!!」




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