第8話 南ちゃんは会社に行きたくない

 朝、目を覚ますと私はベッドの上にいました。

 周りを確認すると、見慣れた寝室が広がり、カーテンの隙間からは清々しい日差しが溢れています。


「うぅ……頭、痛い……」


 ズキズキとこめかみあたりに痛みが走り、少し吐き気があります。

 これが俗に言う二日酔い……というものなのでしょうか?

 私はベッドから起き上がると、そのまま寝室を出てキッチンの方へと向かいます。

 食器棚にあったグラスを手に取ると、冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出して注ぎます。


「そう言えば私いつの間に……?」


 服装は昨日のまま、シャツにタイトスカートなのできっとお風呂にも入っていない。

 先輩と居酒屋でお酒を飲んだところまでは覚えているけど、その先がもやもやとしてなかなか思い出せません。

 ですが、しばらくの間、水を飲んでいるうちに頭が覚醒してきたのでしょうか。だんだんとそのもやもやが晴れていくと同時に私は飲んでいた水を思わず吹き出してしまいます。


「あわわわわ……お、思い出した……っ!?」


 一気に昨晩の出来事がフラッシュバックしていきます。

 先輩を酔った勢いでお持ち帰りできるのではないかというよこしまな考えから始まり、いざ玄関先まで送ってもらった後、私は大胆にも……っ!


「あああああああああ!!! 私はなんてことを……っ! もうお嫁に行けないっ!」


 私は羞恥心と後悔からまるで黒歴史を思い出した時のように壁に頭を何度も打ち付けます。

 そして、どのくらいか落ち着いたところで私は床へと崩れ落ちます。


「先輩……きっとはしたない私を見て幻滅しちゃっただろうな……」


 破廉恥で変態女かつバカな私のこと、先輩はどう思っているのだろう。

 ……会社に行きたくない––––。

 だけど、先輩からは休むなと言われてたし……。


【あとがき】

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