第185話 空っぽのてのひら
ギリギリギリ…!!
「なあオルカ。…なんでだ?」
「クッ…う!」
「何か間違えたなら、ちゃんと説得してくれよ。」
「! ア…!!」
ゆっくりと足が地から離れた。
代わりに首への負担は倍増した。
堪らず制服はバグラーを攻撃しようとしたが、蹴りだけで肋を折られ、更にはオルカが揺さぶられ更に負担が増えてしまった。
片手でオルカの首を鷲掴み宙に浮かせたバグラーは、真顔で淡々と話しながら首を斜めにした。
「なんでお前らはすぐに俺を見限るんだ。」
「あ…ガ!」
「俺は対話しようとするのに。
なんでお前らは『そんな顔』をする?」
「ク…ッ!」
「『話しても無駄』『どうせ分かりはしない』。
なんですぐにそうやって諦めるんだよ。
人は皆違うんだからよ。…分からせてくれよ。
ちゃんと椅子に座り、向かい合い。
俺にも分かるようにその心を教えてくれよ。」
「…!」
ドッ!!
その時だった。
バグラーの背に剣が突き刺さった。
…と同時に、頭の中に声が響いた。
『オルカ王 バグラーは危険です』
「!」 (…コア!)
『この世界の人間は石です 破壊しなさい』
(!?)
バグラーは痛みにフラついたが、まだオルカを下ろさなかった。
「……いてーだろ。」
バグラーは背の剣を抜き取り、振り向き様にブン投げた。
剣は大砲のように勢いよく飛び、剣を投げた保安局副主任の頭に刺さった。
『オルカ 早く』
(何…を、言って!?)
『この世界の全ては石で出来ています
人間も 人間に見えて 人間ではないのです』
(…!)
『このままでは命に関わります
早くバグラーを壊すのです』
(そんなこと!、出来るわけ…!)
「オルカッ!!!」
「!」
聞き慣れた声にオルカは更に歯を食い縛った。
誰の声かなんて見なくても分かった。
(駄目だ来るな!、…ヤマト!!)
「…なあ。ちゃんと分からせてくれよ!?」
(どうすれ…ば!)
バグラーは危険すぎる。ヤマトと戦わせてはならない。
だがオルカは動けない。首を掴むバグラーの腕を必死に掴むことしか出来ない。
『ここまでです』
フッ…
「!」
バグラーは目を大きく開けた。
一瞬でオルカが消えたからだ。
体温はまだ掌に残っているのに、辺りを見渡してもオルカは居らず。
バグラーはそっと、まだ温かい手を見つめた。
「…なんで俺の手には、何も残らないんだ。」
…なあ。…海堂。
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