第157話 二人ともハジメテ
シャワーを浴びたモエはいい匂いがした。
頭の奥がしびれるような、微かに甘いような、堪らない匂いだった。
暗いヤマトの部屋のベッドの上で二人はキスを交わし、服を脱いだ。
モエは恥ずかしいのか最初こそ胸を隠そうとしたが、またヤマトの上に乗せられてキスをしていると、自然と腕がほどけてヤマトの首や肩に触れていた。
(…可愛い。)
何度も女性を抱いてきたのに、こんなに可愛いと感じるのは初めてだった。
自分のペニスに『うひゃ!?』とするのも可愛いし、首にキスをするだけで肩が上がる事や、ベッドに倒される瞬間の女の顔など、堪らなかった。
クチュ…
「ん…!」
「…痛くない?」
モエは明らかに初体験だ。
ヤマトは女性達との雑談で『ハジメテは痛かった』『あんまり気持ちよくなかった』という本音をちょこちょこ聞いていた。…ので、モエの体に触れるのは喜びも大きかったが恐怖も伴った。
(痛い思いなんてしてほしくない。…けど。)
乳首を舐められて感じる姿や穴の濡れを指で感じると堪らない性欲が沸き上がり、困った。
上手くリードしてあげたい気持ち、彼女を労りたい気持ちと、全力で欲をぶつけたい気持ちが葛藤した。
(…指の反応は悪くないかも。
それに痛くもなさそう。…たっぷり濡れてる。
これなら入れても…大丈…夫?)
たっぷりと愛撫を重ね、準備は整った気がした。
モエはずっと甘い吐息を響かせ、クリトリスを舐められながら腰を揺らしていた。
ヤマトの指を腰を揺らすことで自分から入れている彼女に、ヤマトはついに決意した。
(問題は体位だ。…正常位は駄目だ感じない。
…バックでいくか?、…でも最初っからバックってハードル高いんじゃないか?)
「あ…んっ!、…ヤマト…気持ち…い!」
「……モエ。」
「…!」
ヤマトがギシッと覆い被さってきて、モエはドキッと目を大きく開けた。
熱い目線が繋がり、その目の意味をモエは理解した。
「……うん。」
「…じゃ、うつ伏せになって?」
「え?」
お尻を見られるのなんて恥ずかしかったが、モエは言われた通りうつ伏せに。
するとヤマトに腰を上げられて、思わず『ひゃ!?』と小さく声が漏れてしまった。
「な、なに…?」
「…首辛くない?、辛かったら肘を立てて支えて?」
「…え?、後ろから入れるの!?」
「……気持ちいいから。」
「でもでも…恥ずかしいよ!?」
「大丈夫。…慣れるから。」
ヤマトはモエの背に指を伝わせた。
その瞬間にモエは大きく喘ぎ、背が丸まった。
何度も何度も指先を伝わせていると、モエは激しく息を荒らし、鳥肌を立たせながら濡れを溢れかえらせた。
…ヌル!
「ん…!」
「…気持ちいいでしょ。」
「あ…ヤっ…ああ!」
穴の表面にペニスを擦り当てられると、入り口全体が熱くなった。
初めての快感にモエは鳥肌を立たせ喘ぎ、ヤマトは『好感触。』…とペロッと唇を舐めた。
(可愛い。…早く入れたい。)
「やんっ、や…だ!、ヤマト…!」
「……入れてほし?」
「っ、…ん、…んん!」
「ほら。言ってみ?、『入れて』って」
「いれ…て。」
「…!」
「あ…ん、…あつい…熱…い! …いれて!
いれてヤマト…っ、んん…!」
「っ、」
ヤマトは唾を飲み、穴にペニスの先を当てた。
モエも感触で来ると分かったのか、体をピクッと強張らせた。
ヌプ… ググ…
「~~っ、」
「! …息してモエ。」
「変な…感…じ!」
「止めるから。…ゆっくり息して。」
「う…ん。……ふぅ…はぁ…。」
「もっと。深く息して。」
緊張からか穴が急に狭くなった。
ヤマトは一端入れるのを止め、またモエの背や股の裏、腰を指先でなぞった。
声を上げる度に彼女の中がゆるんできた。
また入れられそうだったが、ヤマトは少し悩みモエの上体を起こし、胸を揉んで自分の吐息を聞かせた。
「はぁ…、…分かる?、モエ。」
「んっ!」
「…お前ん中、あったかい。」
「ちょ…、…耳元…で!」
「気持ちいい。…モエ。…好き。」
「~っ…!」
「ほら。…ぁ…入ってく。」
「ハ…、は…あ!」
「…ン!」
奥まで入る頃にはモエは欲情に飲まれていた。
初体験だというのに快感しかなく、ヤマトがくれる全てに感じて感じて気を失ってしまいそうな気がした。
ヤマトが揺らしだすと更に快感は増した。
擦れる度に穴が熱くて熱くて仕方なく、膝がカクカク揺れてしまった。
…くて。
「…!」
「あ…ヤマト……気持ち…気持ち…い。」
「っ、」 (ヤバ。)
「もっと…ヤマト。…あ、…もっ…と。」
くてっと自分の胸に頭を預け、体を仰け反らしながらそんな風にねだられ、…ヤマトの心臓も張り裂けそうな程に鳴った。
(本当にハジメテかよエロすぎんだろ!?)
「気持ちい…気持ち…い。」
「~~~っ…」
「…大好き。」
「っ!」
「大好き…ヤマト。…好き…ぁ、…ん、好き。」
『あーもーそんなに持たないぞコレ!?』
…と判断したヤマトは、彼女の言葉に遠慮なく甘えることに。
モエの首筋を後ろから右手で支え、左手で腰をホールドし、ヤマトは激しく腰を振った。
「ン"!? …ん!…あ…あ!!」
「~~~っ」
強く奥を突かれる衝撃は快感というよりも、ただ衝撃だった。
だが耳元で聞こえるヤマトの苦しそうな吐息が堪らなく感じて、モエは全身に鳥肌を立たせながらセックスを終えた。
「…大丈夫?」
「……恥ずかしい。」
「嘘つけお前~!」
「嘘じゃないもん!」
初めてのセックスは最高だった。
事後に二人でベッドに横になりイチャイチャしていると本当に結ばれたんだなと実感して、夢でも見ているような気さえした。
「…ヤマト。」
「ん?、……あ、煙草ないじゃん。」
「……浮気、…ヤだよ?」
「!」
ベッドから下りようとしていたヤマトは、モエの言葉に振り向き、キスをした。
モエはつぶらな目で必死に『ヤだよ?』と訴え続けた。
…実は彼女はヤマトが女性達と縁を切ったのを知らなかったのだ。
「バーカ。浮気なんてするかよ。」
「……じゃあもう、女の人のとこ行かない?」
「行くわけないじゃん。とっくに切ったよ。」
「… …エ!?」
「だーかーら、とっくに『もう会わない』って伝えてたんだよ。…オルカの目の前でも言ったし、不安ならあいつに聞いてみろよ。」
「ほん…ほんと!?」
「本当。……てか俺、浮気はしたことないし。」
「…!」
「…ちゃんと付き合うの、お前が初めてだし。」
「っ💖!」
良いこと尽くしだ。
モエは嬉しくて嬉しくて笑ったが、なんでか急に泣けてきてしまった。
ヤマトは煙草を取りに行こうとしていたのに、またベッドに寝転がりモエを腕に包んだ。
「…まあ、信用ないかもしれんけど。
…信じてもらうしかないし。」
「うん。…うん!」
「…お前こそ浮気すんなよ。」
「するわけないじゃん!」
「…学校で変な男引っ掛けんなよ!?」
「?、引っ掛けれるはずないじゃん。
私特待で皆より年下だし。…範囲外だよっ!」
「そんなことないのを俺が今証明しちゃってる感じなんですけどぉ~?」
「……あ、そっか!」
涙は瞬間に、いつの間にか飛んでいた。
二人は裸のままさんざんイチャつき、シャワーを浴びて寝た。
海堂が帰らなかったので、ヤマトの部屋で共に寝た。
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