第45話 一筋の光は…
『僕を生んでくれて、ありがとう。』
…ここは、何処だろう。
真っ暗…ではない。
小さな光が…沢山浮いているのに……暗い。
全てがありえない程のスピードで動いていて…
息も出来ないのに…、苦しくはない。
『俺達はああならないように…制服になろうな?』
…嘘が下手だよね、ヤマトは。
昔からそうだった。…分かりやすいんだ。
何でも顔に出るし、言葉にするから。
…でもさ、本当に大切な事を隠すのは巧妙で。
僕はいつもヤマトの嘘を見抜ききれなかったね。
『時は流れ続けるんだ。』
『お前の人生はお前が決めるんだ。』
…茂さん。 …どうして?
どうして人生の決められた僕にそう言ったの…?
『呪われろ』
!
……なに? …映像が見える。
あれは…シスター? それにジルさん?
『決闘を申し込む。』
『…本気なのか姉さん。』
『冗談で決闘が申し込めると思うか。』
『ねえ…待って!、お願い!!
決闘するのならっ、せめて話を聞いてからに!?』
…あれは、ギルトさん。
……言い争ってる?
『イル、下がっていてくれ。』
『……待って…ねえ、…何か、……変よ?』
『死期でも悟ったんだろ放っとけイル。』
『本当に姉さんは容赦ないね。 ゲホッ!』
『待っ…待って、本当に。……ギル』
!? 駄目だ!!!
オルカは自分の形すら分からない空間で必死に手を伸ばした。
暗闇にぼんやりと浮かぶ映像の中のギルトに…
真っ黒な呪いが覆い被さろうとしているのが見えたのだ。
『グ…ア"…ッ!?』
『ギ…ギルト!?』
駄目だ止めて!!、お願い止めてッ!!?
映像の中、ギルトは胸を押さえ倒れ込んだ。
彼の痛みや苦しみがダイレクトに自分に伝わってきた。
そして、ギルトを案じるジルとイルの心も。
『なんとかならないの!?』
『癒しの力が発動出来ないの!!』
オルカには分かった。
イルとジルは本当は、心の深いところでは、ギルトを失いたくないのだと。
そしてそれは、茂も同じだったのだと。
…ィィ…キィイイイイイイ!!!
茂さん。僕、『譲れないもの』…見付けたよ。
茂さんの言ったように、自分で人生を決めたよ。
キイイイイイイ!!!
「僕は皆の笑顔を守りたいッ!!!」
パキン…!
オルカは法石の一部を割り、『行け!!』と映像に向かい飛ばした。
イル、ジル、ギルト。そして茂を想い、彼等を守るために。
途端に映像は消え、また真っ暗な空間に戻った。
オルカはフッと笑い、きっと大丈夫。…と不思議な空間に身を任せた。
…茂さん、どうかヤマトをお願いします。
ヤマトは器用だったり不器用だったり。
素直だったり素直じゃなかったり。
だけど、すっごく優しくていい奴なんです。
『そんなこと、茂さんは知ってるか』
そう笑い、オルカは目を閉じた。
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