第6話事件の始まり
誕生パーティーは早くも終盤にかかっていた。
「ローラ、最後のダンス時間よ」
「そうですね。今のところは何も起きて……」
ローラが言い終わる前にキエルは手を取りダンスの輪の中へ入っていった。
「考えましたね。木を隠すなら森の中。これだけ私も近くにいれば、すぐに対応できます」
「貴女はそういう風にしか考えられないのね」
キエルの言葉の意味をローラは気が付いていた。
だが、ボディーガードである以上はそういった感情など持たない。
持ってはいけない。
そう自分に言い聞かせているが、胸のポケットにはしっかりとキエルの羽を入れていた。
どこかで彼女の想いを受け止めたい自分がいることをローラは恥じていた。
「貴女、ダンス上手ね」
「これくらいできますよ」
「それは下手な私様の当てつけ?」
「キエル様も素敵なダンスですよ」
キエルに添えた手に僅かばかし力がこもった。
「腰にそんな力いれるなんて、いやらしいこと」
「バレましたか。少しでも貴女のお側にいたいのでね」
「さすが、私の旦那様……いや、妻と言うべきかしら?」
「貴女様のお望みのままで」
「それじゃあ、ローラと呼ぶ。これからも、ずっと……」
ふたりの顔が近づいていく、ダンスの最中にパートナーとキスをするのは自然なことだ。
そのとき、ローラの左耳に付けられていたインカムから連絡が入った。
殺害予告を送った犯人は1人ではなく集団であることが発覚したというのだ。
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