第5話魔天界を治める者

キエルの誕生パーティーがやってきた。

 誕生日パーティーとあって、キエルのドレスはピンクを基調として長いスカートは床に触れそうに長く、ヒールは少しのバランス感覚も許されないかのように高く細い。

 ローラは黒い服には変わりないが、今回はスーツではなくタキシードをまとっていた。もちろんボディーガードであると悟られないためだ。

「全く、誕生パーティーだというのに物騒なことだ」

天使警備隊、悪魔警備隊が厳重に会場に周りに配置された。

「狙われているのだから我慢してくださいよ」

キエルからは緊張も恐れも感じなかった。

「キエル様は怖くないのですか?」

「何がだ?」

「殺害予告が」

「こんなの珍しいことではない。幼い頃からずっと送り付けられていたさ。ただ、魔天界を治める立場になってからは初めてだがな」

「そう……ですか」

キエルがなぜあのようなイタズラ好きの性質になったのか、わかったような気がした。

少しでも忘れたかったのだ。

自分の立場から。

『これより、姫殿下きでんかの200歳をお祝いしたパーティーを始めたいと思います! お越しの皆様、ぜひお楽しみくださいませ』

来賓たちには殺害予告のことを一切、伝えていない。

パーティーを中止にしなかったのは体裁のためと犯人確保を確実にするためだった。

「天使も悪魔もそう簡単に殺せるモノではない。異変があればそく逮捕さ。ただ、私に対して、予告状そういうのを送ってるこということはそうとうな地位に位置するヤツだと思うんだ」

「……私が守りますよ」

キエルに会って初めて自分でも優しい声を出したとローラは思った。

「頼んだぞ……私のボディーガード様」

「まかせてください。キエル姫殿下きでんか






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