3-8

 あとは後夜祭の終わりを待つのみだ。

 俺は少し遠くに、やっと太知と野中を見つけた。

 それを眺めながらぼーっと突っ立っている。

 ……ふと、隣から視線を感じて横を向くと……。

 辻井が、不思議そうな顔をしていた。


「……お前、良かったのかよ?」


「あのなぁ。そもそも俺はあいつに対して、そういう感情はないんだよ」


「そうなのか?」


「ああ」


「じゃあ、俺も野中も……勘違いしてたってことか?」


「ああ、そうだ」


 そして、太知もな。

 全員、おかしな勘違いをしたもんだ。



 最後に校長の話を聞き、生徒たちは解散となった。

 俺は校門で太知を待って、二人で帰路に着いたのだった。

 太知は何か言いたそうに、ずっとやきもきしている様子だったが。俺は、あえて何も聞かなかった。

 きっと俺が、青八木を誘わなかったことを知ったのだろう。

 そしてその理由を聞きたいのだろうと思う。


「じゃあな」


「うん……」


 道中ずっと伏目がちだった太知は、交差点を曲がって行った。

 俺もすぐに自分の家へと向かったのだった。


 ◇


 その日の、夜。

 二階への階段に、足をかける。


「おやすみなさい」


「あら、もう寝るの?まだ八時よ?」


「はい、少し部屋で休んだら……寝ようと思ってます」


「そう。……たまには早く寝るのも良い事ね。じゃあ、おやすみなさい」


「はい」


「……あっ、そうだ!」


「え?」


「明日は終業式だから、昼食が必要なのかしら?」


「ああ、そうですね……」


「分かったわ、作っておくわね」


 ありがとうございます。と言って、二階に上がった。

 少し休んでからと言ったが……、俺はすぐに電気を消して布団に入ったのだった。

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