エピローグ

 黄色い陽光が、この場所を包んでいる。

 そこに座る私も一緒に。

 ……ここに来られてよかったと思う。

 ここは本当に、本当にいい場所だから。

 尊いとさえ思う。

 そして、不思議な場所だ。

 満たされているのに、強い乾きもある。

 それは説明できない。夏が始まったこの空気の中に、なにか未知の物質が混ざっているような……。

 それを吸い込むたびに、私は強く求める。


 強さを手に入れた。

 そして言葉を失った。

 だから彼に届いているのか分からなくて、とてももどかしい。

 信じる心を手に入れた。

 言葉を失った。

 この不思議な場所は、たった一歩先にある。

 色づいたままの夏は、新しい思い出を待っている。

 背後の向日葵畑が、揺れて音を鳴らすたび、私は何度も振り向いてしまうのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

SFseason あべ @abe11410526

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ