08-19 十二月二五日

「三月に武芸大会が開催される。

 其方のエントリー手続きをしておいたぞ!」


 年末のクソ忙しい最中の夕刻、デュケルアール寝室に顔を出したらネディーアール殿下にドヤ顔で宣言された。

 予算不足で中止とされていた来年の武芸大会が開催されることになったという。

 後ほど聞いたところでは、バャハーンギールとピールハンマドがそれぞれ就任祝賀会を開こうとしたが、それぞれ人が集まらず中止、というか延期。

 三月の武芸大会と一緒にして集客を図るようだ。

 予算不足程度で恒例の武芸大会が中止では帝国の威厳にもとるとかなんとか理由は付けられている。

 貴族というかカゲシンのプライドとして武芸大会を開くという。

 庶務課長は今頃頭を抱えているだろう。


「オレ、既に坊官で仮ですが代僧将ですよ。

 出場資格ないんじゃないかと」


 坊官は諸侯では大佐、代僧将は准将ぐらいだ。

 武芸大会は自護院若手の大会で、階級制限があったと思う。


「階級は超過しているが、其方は自護院二年目だからな。

 自護院一年目は出場資格がないから今年三月の大会には其方は出場していない。

 今回出られなければ永遠に機会がない。

 それを主張して認めさせた。

 其方には絶対に優勝してもらう必要がある」


 ネディーアール的にはオレが武芸大会に優勝していないのは認められないらしい。

 オレ、全く興味ないんだが。

 しかし、本人がいなくてもエントリーできるんだな。

 聞けば、上級貴族は自分でエントリーする方が稀らしい。


「そんなことで、今日も訓練に行くぞ!」


 露出過多の妙にエロい服でオレの腕を取るネディーアール殿下。

 いや、オレが強制したわけではないからね。




 あの実りがあったような無かったような話し合い以来、ネディーアールはより一層オレに引っ付くようになった。

 シノ・シマに対抗心があるらしい。

 ちなみに、例のパンツの件だが、ついでだからとアシックネールにも相談した。

 亜空間ボックスとか預言者とかの話は伏せてだが。

 そして、アシックネールまで呆然とさせた。


「前に言いましたよね。

 モーランを怒らせると面倒だと」


 赤毛のやり手女がお手上げといった感じで両手を挙げる。


「話を聞いたところでは、マンドゥールン殿が言ってきた段階で白を切るべきだったでしょう。

 バルスポラト殿に話が行ってしまってからではどうにもなりません。

 恐らく、カラカーニー様が出ても無理です。

 宗主か宰相に間に入ってもらうしか有りません」


「こんなことで宗主や宰相に借りを作れって言うのか?」


「これ、それだけの問題ですよ!」


 絶叫するアシックネール。

 モーラン、つくづく、面倒な奴らだ。


「本当に面倒が絶えませんよね。

 デュケルアール様も、・・・これ、どーしましょうか?」


 デュケルアール様寝室での行為も濃厚というか過激化している。

 デュケルアール様だが、この人、簡単に言えば凌辱系エロゲーの完堕ちしたヒロインだ。

 それが娘に英才教育を施している。


「いいですか、ネディーアール。

『あー』とか『すごーい』とかそんな言葉では殿方を充分に興奮させることはできません。

 体のどこがどのように感じているのか具体的に説明すると喜ばれます」


「××××がキョウスケの○○〇〇を受け入れて喜んでいます、とかですか?」


「それが基本ですね。

 慣れてきたら少しずつ形容詞を付けていきます」


「形容詞とは?」


「例えば今の例ですと、『淫〇雌〇ネディーアールのグチャグチャドロドロになった××××がご主人様の逞しい○○〇〇を突っ込んで頂いて嬉しくて涎を垂らしています』という感じでしょうか」


 会話がほぼ伏せ字だ。


「ご主人様と呼ぶのですか?」


「行為の間は当然です。

 私たちは殿方の有難い精液を分け与えて頂く立場です。

 常に感謝の心を持たねばなりません」


「確かに、ご主人様といった方がキョウスケの反応は良いですね」


 ・・・・・・これ、放置していていいんだろうか?

 一応、最初に止めたんだけど、・・・無視して続けられていますです。

 いまでは、所謂『大人のおもちゃ』も大量に導入されて、寝室内は過激になる一方。


「いや、勃起時の型を取らせていたキョウスケも同罪ですから」


 物憂げなオレに何故か呆れ顔のアシックネール。

 こちらの『大人のおもちゃ』、安物は木製だが高級品はクイルブイリ製。

 クイルブイリとは獣皮を蝋で長時間煮込んでドロドロにしたものを型に入れて成形した物だ。

 皮鎧の材料として有名だろう。

 皮の種類や蝋の配分で弾力性が調節できるので、程よい硬さと弾力を持ったシリコンゴムみたいな仕上がりになる。

 最高級品では中心部に魔獣の筋繊維が仕込まれ、魔力を流すとうねうねと動く。

 使用者側が魔力を流すのは勿論、ネディーアールのような魔力量が高い女性が使用すると本人の魔力を吸収して永遠に動き続けるという逸品だ。

 で、それを使用してこの母娘はしょっちゅう繋がっている。

 カナンでは母娘の百合行為が一般的らしいのだが、・・・毎日ってどーなんだろう?


「私、自分でもセックス好きって自負してましたけど、最近、そーでもないのかなぁって思うようになりました」


 何故か黄昏ているアシックネール。


「えーと、それは残念なのか?

 十分に標準より上だと思うが」


「でも、アレと比べると、ですねぇー」


 双頭ディルドーで繋がっている母娘を見て溜息をつく十二・七の女。


「この方面でネディーに抜かれるとは思いませんでした」


 前述のように姫様は最近とみに積極的だ。

 先日も外出先でスキンシップが足りないと怒られた。

 最近のネディーアールは儀式の出席が多いのだがそれ以外の場合は基本オレがエスコートしている。

 で、だ。


「其方、気が利かなすぎるぞ!

 何のために、このようなスリットの多い服を着ていると思っているのだ。

 さりげなくスリットから手を入れて胸を揉んだり、尻をさすったりするのが男としての義務ではないか!」


 ネディーアールの横に立っているだけで世間の目が冷たいのに、この上歩きながら尻を揉んでたらとんでもないことになると思う。

 そりゃ、少しはやってみたい気がしないでもないような感じが全く無い訳ではないが。




 周囲への影響も大きい。

 年末と言えばハトンの誕生日。

 誕生祝に何かほしい物があるかと聞いたのだ。


「十三歳の誕生日からご主人様に私のケツ穴を使ってほしいのです!」


 などと宣言されてしまった。

 あのエディゲ家謹製の『淑女の躾け方』に『口での奉仕が十分な域に達したら、次は後ろの穴』とあるらしい。


「前の方を先に経験すると、後ろでは充分な絶頂が得られにくくなるとのことです。

 後ろだけで毎回完全な絶頂を得られるようになってから前の方を開発すべきとあります」


 犯罪だよな。

 あのロリコン宰相、とんでもない本を残していったものだ。


「あー、ハトン。

 ハトンの目標は施薬院で立派な医療魔導士になることだったよな?」


「施薬院の全金徽章はほぼ目途が立ちました。

 自護院では上級魔導士以上と認定されています。

 今の私の目標はご主人様を満足させられる立派なケツ穴奴隷になることです!」


 ・・・育て方、間違ったかなぁ。


「いや、ハトンは正夫人の予定だから。

 奴隷になる必要は無いんだが」


「でも、ネディーアール様が『私は其方専用のケツ穴奴隷だ!』って叫んだときはご主人様とっても興奮しておられましたから?」


 えーと、・・・そんなこと、あったっけ?

 後ろでは何故かナユタ一族がウンウンと頷いている。


「デュケルアール様によればご主人様は殿方として帝国随一だとか。

 その様な方を満足させる体と技能を身に付けなければご主人様に愛想を尽かされてしまいます。

 一日でも早く調教を開始して頂きたいのです!」


「ハトン、良い覚悟だ。

 主様、私の誕生日は四月です。

 それで十三歳になります」


 妙な決意表明をしているハトンとそれに呼応するナユタ。

 ・・・・・・二人ともしばらくは、指での調教で妥協しました。

 完全には断り切れなかったです。


 しかし、この朝夕デュケルアール寝室に通うって環境、あきらかに良くないよなぁ。

 朝夕のお勤め、ネディーアール母娘の相手だけならともかく、筋肉捕虜の相手と妊娠処置もセットだからなぁ。

 結構大変です。

 まあ、筋肉捕虜隊の処理は順調だし、デュケルアール様の妊娠発情期間もあと半月程度だから、それまでの辛抱だ。




 実を言えば、朝夕の寝室通いを除いてもオレは結構忙しい。

 施薬院の業務もあるが、最も大変なのは自護院関係だ。

 オレ、仮ではあるが旅団長なのである。

 上は『ネディーアール旅団』を常設部隊にする方向で、現在はそのために悪戦苦闘中。

 かなりの部分をレニアーガー・フルマドーグとゲレト・タイジに押し付けてはいるが、それでも大変。

 元が急造部隊で、しかもバフラヴィーたちが分離した際に元のクロスハウゼン大隊所属兵士を連れて行ってしまったから、本当に素人集団。

 兵士は元難民で、士官・下士官も若者と老人ばかり。

 首脳陣も酷い。

 名目上のトップのネディーアール殿下はともかく、実質的なトップはオレだよ!

 オレ、軍隊なんて地球では経験ゼロだからね。

 年齢もオレとタイジは十六歳。

 レニアーガーでも先日二三歳になったばかり。

 若過ぎるなんてもんじゃない!

 至急人員を補充、首脳部は勿論、上から下まで大量に入れねばならない。

 だが、いない。

 上は自護院から好きに調達しろという。

 しかし、自護院はカゲシン三個師団が支配していた場所だ。

 現在は三個師団がカゲシンから出払っているわけで、大規模出征だったから外に出られる人員は全員出征している。

 残っているのは出征に選ばれなかった人員と、三個師団に所属していない独立系。

 上は、特に三個師団の色がついていない人間を優先して採用しろと言っているが、・・・これが難題。

 自護院で出世するとしたら三個師団のどれかに所属しなければならなかったのに、それに入らなかった、採用されなかった人間である。

 能力が足りないか、性格が偏っているのかのどちらかだ。

 玉石混合というが殆ど石ばかりの中から数が少ない玉を探す作業。

 自護院から旧ミッドストン旅団に派遣されていた、そしてカゲシンに戻ってきた人員にも声を掛けたが、大半がガーベラ師団系とのことで逃げられてしまった。

 で、有難かったのがモーラン家からの人員。

 モーラン連隊にも人族の兵士がいたのだ。

 正確に言えば、牙族と人族の混血で見た目はほぼ人族という兵士。

 こちらに来ると基本階級が上がり給料も増えるので結構な数が入った。

 なんか、ドイツ国防軍から武装SSに転籍するみたいな話だが、こちらはそんなにブラックではない、と思いたい。

 ・・・ここら辺でもモーランとは喧嘩できないんだよな。


 訓練も大変で、対魔法訓練では魔法を放つ人員が決定的に不足しているためオレがその役目を担っている。

 これは十六歳のトップという懸念を払うためでもある。

 オレとタイジとその従者、時々ネディーアール、時々センフルール勢で魔導一個中隊の代わりをやる。

 で、魔法量が過剰に過ぎると好評のような不評のような状況。

 訓練にはなるし、オレとタイジの実力を見せる事でも意味があるから、まあ、良しとしたい。

 そんなことで、日々訓練と人員面接、そして書類処理・・・はアシックネールが頑張っている。




 そんなある日、レニアーガーから相談というかお願いがあった。


「えーと、スルターグナを譲ってほしいって、本気か?

 あの腐りきった合法ロリを譲ってほしい?」


「本気です」


 レニアーガーは至って真面目だった。


「カンナギ殿、いくらなんでも自分の妻の一人に酷すぎませんか?

 腐りきったって」


「まだ婚約者だが、・・・それもそうだな。

 撤回する」


 確かにスルターグナも役に立っていない訳ではない。

 ストレス源だが。

 カゲシンに戻ってからのスルターグナは基本オレと別行動で貸し出されている。

 魔力量的にデュケルアール寝室に入ると失神してしまうのもあるが、他での要望が多い。

 施薬院関係、彼女も全金徽章を目指しているのでそれの講義と試験もあるが、高級医薬品作製の講師依頼も多い。

 更に例の『奥書庫』がある。

 センフルール勢の『歴史的文化芸術資料』写本は未だに続いている。

 これに貸し出されているのだ。

 スルターグナの『歴史的文化芸術資料』写本能力はシマの五倍はあるという。

 代わりにセンフルール勢が自護院その他で協力する形でトレードだ。

 スルターグナ本人が写本大好きなのもある。

 そんなことで、今日も彼女はここにはいない。


「実はカゲシンに戻ったら第一正夫人が実家ごと消えていたのですよ」


 レニアーガー・フルマドーグは元貧乏貴族で、経済的に困窮していた。

 自護院で認められても士官に必要な自前の装備を調達できず、任官できなかったぐらいである。

 それで、経済援助と引き換えで七歳年上の上位貴族の出戻り娘を第一正夫人に迎え入れた。

 そんな女性だから今回の遠征にも同行していなかったのだが、カゲシンに戻ったら実家ごと消えていたという。


「実は遠縁だがエディゲ家に連なっていたみたいでして。

 本人たちは連座対象ではないと高をくくっていたらクチュクンジに粛清されてしまったそうです。

 実家を訪ねたら、使用人だけが残されて途方に暮れていました」


 ろくに会話もない形だけの第一正夫人だったから未練はないが、遣る瀬無さを感じたという。


「で、実は今、その元義実家に住んでいます」


 知らない仲ではないからと使用人たちに頼まれたそうだ。

 聞けば現在のカゲシンは空き家問題が酷いらしい。

 かなりの数の貴族が粛清、あるいは追放されたからだ。

 一族郎党が粛清された場合はろくに相続人もいない。

 空き家のまま放置すれば治安が悪化するし、使用人の雇用問題もある。

 丁度レニアーガーは出世して少し広い屋敷に移りたいと考えていたという。

 役所にお伺いしたところ、件の屋敷はそのまま彼に引き渡される事になった。


「形式上は出征期間の給与を現物で貰った事になります。

 相場の半額程度で買った形ですから私としては悪い話ではありません。

 屋敷管理に慣れた使用人たちもそのまま使えますから色々と手間が省けました」


 国の方も厄介な空き家を処分出来て支払う現金が減ったのだから良い取引なのだろう。


「そんなことで第一正夫人がいなくなってしまったわけです」


「確か、糟糠の妻がいたんじゃないのか?」


 つーか、今も横にいるよな。


「こいつは平民出身ですから、今後の社交を考えると第一正夫人はきついんです」


 レニアーガーは現在、魔道大隊長兼副旅団長だ。

 これは、結構上位の階級であり貴族としても中級以上になる。

 これぐらいになると、部下や同僚との定期的な社交、つまりパーティーを主催しなければならない。

 レニアーガーは体裁を整える事を強いられていた。


「パーティー主催とか面倒くさそうだな」


「いや、私より先にカンナギ殿が開かないとだめでしょう」


 そー言えば、女性陣がパーティーをどうするとか言っていたような気もする。

 忙しいから数か月は無理と禁止していたが。

 こちらの貴族社会では身内の結束と勢力誇示のため頻繁にパーティーが行われている。

 オレはあんまし行かないけど、行く気になれば毎晩のようにパーティーに浸ることも可能だ。

 行くだけでも面倒なのに主催とかやってらんない。

 パーティーの主催者は会場どころか食事と飲み物、接客まで自前でこなさないとならない。

 貴族はそーゆーので支出がかさむのだ。

 そして、そのパーティーを取り仕切るのが第一正夫人である。

 何処か宴会を請け負ってくれるホテルとか無いんだろうか?


「カンナギ殿の所はアシックネール殿に任せればそつなくやってくれるでしょう。

 我が家はそういう人材がいないんです」


「それでスルターグナか」


 聞けばパーティーを主催すること自体は憧れだったらしい。


「スルターグナさんは、ルカイヤ僧都家の娘でシャイフ大僧都の養女になっています。

 私は少僧都家です。

 出世したとしても僧都がせいぜい。

 まあ、いいところかな、というのが一つ。

 以前の第一正夫人のような、うちの女性たちと没交渉というのは避けたいのが一つ。

 スルターグナさんなら、うちの女性たちと面識もありますからね。

 本人に聞いたら実家でパーティーの手伝いはしていたそうです。

 医療魔導士として優秀なのもあります。

 大隊長ともなると自前の医療魔導士は抱えておきたいですから。

 あと、何と言っても美人です。

 容姿も、声も」


 大隊長で医療魔導士が欲しいってーのは分かるな。

 スルターグナはこれでも施薬院で数人しかいない高級医薬品の作り手だ。

 そのうち全金徽章も取れるだろう。

 ただ、美人?

 声がいい?

 最近気づいたのだが、こちらでは高周波のアニメ声は珍しい。

 平民だとガラガラ声の野太い声が多い。

 空調とかないから喉に厳しい環境なのと、筋肉過多で体格が良く声帯も太いのだろう。

 アニメ声は貴族の淑女系、つまり非筋肉系に限られる。

 しかし、・・・こいつもロリコンなのだろうか?

 スルターグナを語る顔が陶酔しきってるんだが。


 夫の顔を見て慌てた『糟糠の妻』が言うところでは、オレとの縁を繋ぐためというのもあるそうだ。

 貴族社会では上司の係累を嫁に貰うのが普通である。

 つーか、それをしない場合、上司とは別派閥、敵対関係と周囲からは見做される。

 オレの場合は娘も兄弟も親族もいない。

 このような場合に、夫人の一人を譲り受けるのがあるらしい。

 へー、知らんかった。


 まあ、オレの嫁としてスルターグナの地位が微妙になっていたのはある。

 アシックネールも、そしてハトンも医療魔導士として既にスルターグナ以上だ。

 貴族との顔つなぎでもアシックネールが上。

 腐敗の進行が急激すぎるというのもある。

 何より、性交の相手としてまともにダセないというのは大きい。

 シャイフとの縁をどう考えるのか、ってーのはあるが。

 一方で、レニアーガーには、これからも色々と面倒を頼む予定。

 クロスハウゼンの指示に従ってカゲシンを離脱するとしたら彼に頑張ってもらう事になる。

 旅団の世話を押し付けて、離脱を円滑にするためにも恩を売っておいた方が良いだろう。

 何にしてもシャイフと相談する必要はあるな。

 あと、どうせならば、だが。


「レニアーガーも軍人として家を保つなら魔力量が多い嫁を貰う必要があるんじゃないか?

 スルターグナは従魔導士だぞ」


 今、彼の横にいる女性たちも魔力量は低い。


「それは、その通りですけど、魔力量の多い女性なんてそうはいません。

 成り上がりの少僧都家にそんな女性なんて来ませんよ。

 カンナギ殿ぐらいのレベルなら別でしょうが」


 レニアーガーはギリギリ上級という魔導士だ。

 組織人としては優秀だと思うが、個人の戦闘能力は低い、

 バフラヴィー他が気に掛けていた素振りはない。

 囲い込む必要があると見做されていれば七歳年上の出戻り第一夫人を貰わなくても誰かが援助していたはずだ。

 逆に言えばここでオレが恩を売っておけば後々やりやすいだろう。


「上級魔導士は難しいが、正魔導士の上の方なら世話できる女性はいるぞ。

 良かったらスルターグナと一緒に考えてもいいが」


 なんだかんだ侍女も増えたからな。

 デュケルアール侍女軍団もエディゲ家が崩壊して嫁ぎ先が見つからないって言っていたし。


「本当ですか?

 それなら、是非!

 できれば胸があまり大きくない女性で!」


 レニアーガーの女性陣を見渡す。

 全員、絶壁だった。

 ロリコンじゃなくて、貧乳派らしい。

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