07-41 ガーベラ!

 これは、どーゆー状況だろう?

 奇跡の勝利のその深夜、クロスハウゼン司令部のテントの奥。

 クロスハウゼン家とベーグム家の話し合いの真っ最中。

 そのど真ん中で、ベーグム家新当主レザーワーリが仁王立ちになっている。

 上半身は、正装。

 直前までの御前会議そのままの姿だ。

 そして、下半身はすっぽんぽん。

 所謂、フル〇ン状態。

 あの、全裸(Z)は必ずフル〇ン(F)だが、Fは必ずしもZではないという、あの、F状態だ。

 自分でも、何言ってるのか分からんな。


 できるだけ医学的に描写しよう。

 レザーワーリは、上半身は正装で下半身には衣服をまとっていない。

 その中央部の陰茎は所謂勃起状態で上を向いている。

 そして、その陰茎の上には花がある。

 オレは花には疎いのだが、多分、姉御が言うガーベラで正しいのだろう。

 服の下に入れられていたせいか、微妙に萎れているのが変なリアリティーを醸しだしている。

 そして、多分、恐らく、パーハープス、そのガーベラの茎は陰茎の中に、尿道に差し込まれているのだろう。

 でなければ、陰茎の上に花が咲いている状況が成り立たない。

 陰茎が勃起状態だから、ガーベラの茎が素直に入っているのか、ガーベラの茎が入っているから勃起しているのか、その辺りは良く分からない。


「このガーベラは、今回の戦いの前に、厳密には最後の反撃の直前に、特に頼み込んでトゥルーミシュ殿に挿して頂いた物です!」


 クロスハウゼン家一同が呆気に取られている中でレザーワーリが話し出す。


「お恥ずかしい話ですが、私は以前から下半身にこらえ性が無く、些細な刺激で、あるいは妄想で精を溢してしまう事が少なくありませんでした」


「あんた、何、そんな、恥ずかしい事、言い出してんの!」


 スタンバトアの姉御が絶叫する。

 こちらでは、成人男性が女性以外に無駄に射精するのは禁忌、やってはいけない事の筆頭だ。


「勿論、これが最低の告白であることは理解しております。

 ですが、私の思いを、状況を理解して頂くには必要な話でもあります。

 カンナギは以前からこれを公言して憚ることがありません。

 私もカンナギを見習って、告白した次第です」


「いや、そんなことでキョウスケを見習わなくていいから!」


 なんでオレを引き合いに出すのかね。


「お断りしておきますが、私は常々、この状況を恥と考え、改善しようと努力しておりました。

 しかしながら、それでも改善しなかったのが正直なところです。

 本日の午前も、戦うトゥルーミシュ殿の雄姿に感激して下着の中をドロドロにしていたのです!」


「うん、分かった。

 分かったから、取りあえず、ズボンを穿かない?」


 げっそりとした顔の姉御が提言するが、レザーワーリはあっさりと無視した。


「かつて、国母ニフナニクス様は戦いの前に、お付きの男性騎士たち一人一人に花を挿したと聞いております。

 そして、戦いが終わった後、活躍した者から順に花を抜いてやり、射精を許したと聞きます」


「いや、それ、下賤なエロ本の与太話だから。

 史実の訳ないでしょう!」


「私は史実と聞いております。

 何とも素晴らしい、心温まる話ではないですか!」


 心温まる、ねぇ。

 レザーワーリにとっては、そうなんだろうな。


「いい加減にして!

 あんた、不敬罪で捕まるわよ!」


 怒鳴る姉御にキョトンとしているレザーワーリ。

 その後ろでは何故か挙動不審になっている龍神教の斎女様。

 そして、それを見て嘆息するバフラヴィー。

 うん、シノさんが貸してくれたあの『資料』は真実だったのだろう。


「ともかく、私は、この前例に倣うことにしたのです。

 それで、無理を言って、トゥルーミシュ殿に花を、ガーベラを挿して頂きました。

 その効果は素晴らしい物でした。

 私は、戦いの間中、一滴も精を漏らすことが無かったのです!」


 そりゃあ、その状態なら出ないわな。


「更に、魔法の効果も倍増しました。

 私は以前の数倍の魔法を放つ事が出来たのです!

 私は、トゥルーミシュ殿にガーベラを挿して貰う事で覚醒したのです!」


 尿道にガーベラ挿れられて覚醒か。

 一皮剥けた、いや剥いて貰って覚醒か。

 らしい、としか言いようがない。


「激しい戦いで死力を尽くすことにより、魔力が以前の数倍になることがあるとは聞くが、・・・。

 そうなのか?」


「はい、最後の反撃でレザーワーリ殿が放った魔法、その威力、その数は国家守護魔導士確実と思います」


 バフラヴィーの問いにトゥルーミシュが拳を振り上げて力説する。

 横のレザーワーリの数倍男らしい。

 いや、男らしいとかいっちゃいかんのか。


「その、レザーワーリ殿の魔法が大幅に向上したのは事実として、それとガーベラとは直接関係はないと思うけど」


「いえ、そんな事はありません!」

「私もそう考えます!」


 姉御の疑問に答えたのは、レザーワーリの後ろに控えていた二人だった。

 レザーワーリの弟レザーシュミド、そして第二魔導大隊長がやおら立ち上がる。


「って、あなたたちも、なの?」


「はい、私もトゥルーミシュ殿の侍女にお願いしてガーベラを挿して頂きました」

「私もです」


 ちん〇んガーベラ、上半身正装、下半身フ〇チンが三人に増えた。

 ガーベラの花が三つ、雄々しく上を向いている。

 しかし、君たち、脱ぐの早くね?

 えーと、・・・別に見たくはない。

 見たくはないんだが、何故か、見てしまうのは何故だろう?


「私は、かろうじて上級魔導士という程度でした。

 ですが、このガーベラのおかげで、守護魔導士並の魔法を放つことが出来たのです!」


「ルスタン、其方もか?」


 ベーグム第二魔導大隊長の雄姿?にバフラヴィーが驚愕する。


「うむ、バフラヴィー殿、いや、自護院の同期として助言させてもらうが、バフラヴィーよ、ガーベラの力は素晴らしいぞ!

 其方も、是非、試してみるべきだ!」


 第二魔導大隊長は、バフラヴィーと自護院の同期らしい。

 しかし、フォ〇スの暗黒面じゃないんだから。


「そ、そうなのか?」


「バフラヴィー様、絶対にしないでくださいね!」


 気圧されるバフラヴィーに姉御が絶叫する。


「私も同じです。

 このガーベラのおかげであることは明白でしょう。

 効果が無いなど有り得ません!」


 レザーワーリ弟のレザーシュミドも加わる。

 三人とも、見事にドМだな。

 しかし、オレ最近、下半身スッポンポンに縁があり過ぎる気がする。


「私は、以前から、父より『芯がない』と言われておりました。

 体に、心に、芯が無く、姿勢も気持ちも定まらないのだと。

 しかし、トゥルーミシュ殿にガーベラを挿して頂いたことで、私の体の中に芯が通ったのです!

 私は、戦場で初めてゆるぎない自信という物を体感できたのです!」


 陶酔した面持ちのレザーワーリが、熱弁する。

 その芯、ガーベラの茎、だよね。


「いや、疑問は尤もだとは思う」


 ここで、ベーグム家長老のクトゥルグ老が立ち上がった。


「実際、ガーベラを挿されたからと言って、そんなに変わるのかと、疑問に思うのは当然であろう。

 だが、実際に試してみれば、効果は歴然と言って良い!」


 そうして、またも増殖するガーベラ。

 って、あんたもかよ。

 あんた、若気の至りって歳じゃねーぞ!

 あーうん、項垂れてるのね。

 周りの毛も白いし。

 何となく、憐れみというか哀愁を感じさせる。

 しかし、こいつら、何なんだ!

 ガーベラ・カルテット?

 ガーベラ四天王?

 ガーベラテトラ?

 うん、テトラがいい。

 中途半端に強そうだ。


「あー、いや、ガーベラの効果については充分に分かりました」


 バフラヴィーは、もういい加減にしてくれ、という表情だ。


「それで、その、話し合いを急いだ理由だが、・・・」


「ですから、これを見ればお分かりだと思いますが?」


「いや、全くわからん」


 レザーワーリの言葉にバフラヴィーが素で答える。


「ですので、本日午後の反撃開始直前から、私は射精が止まっているのです。

 現在、私の体内には前代未聞の量の精が滾っております!

 これを無為に捨てるなど、マリセアの正しき教えに反する行為、天に唾成す行為でしょう。

 私はこの、大量に滾った精をトゥルーミシュ殿に捧げたいのです!

 今、この場で婚姻を認めて頂き、このまま初夜の儀をお願いしたく、ここに参上した次第」


「私も、私も同様に滾っております!

 直ぐにでも破裂しそうな程です!

 私も、トゥルーミシュ殿の侍女ガイラン・シャーナーズ殿との婚姻と初夜の儀をお願いしたく」


「私もとっくに限界を超えています!

 同様にガイラン・マリヤムハーヌム殿との初夜の儀をお願いしたい次第であります!」


 ガイラン・シャーナーズ、ガイラン・マリヤムハーヌム、確か、二人ともガイラン家の一族で、トゥルーミシュの侍女だ。

 二人とも、ミニ・トゥルーミシュ、トゥルーミシュより若干筋肉が少なく、イケメン度が落ちる、生物学上は女性らしき生物である。


「わしからも伏して頼みたい。

 本日の奇跡の勝利で蓄えられた神聖な精を初夜の儀に捧げたいという彼らの思いを汲んで欲しい!」


 ガーベラテトラが一斉に頭を下げる。

 ガーベラのうち三つは頭を下げていないが。

 クロスハウゼン家一同は目を白黒させるだけだ。


「あ、いや、趣旨は分かった。

 少しだけ、時間が欲しい。

 相談させて欲しいのだ」


 ややあって、バフラヴィーが言葉を絞り出した。




 トゥルーミシュも呼び寄せて場を移し、クロスハウゼンだけで話し合いを始める。


「いや、あれ、認めるの?

 あの、変態一族と親戚になれって言うの?」


 スタンバトアの姉御は耐えられないという表情だ。


「だが、レザーワーリの提案は悪くない。

 現在の政治状況ではクロスハウゼンとベーグムの同盟は有効だ。

 トゥルーミシュが第一正夫人というのも理がある。

 ベーグム家内でそれなりに大事にされそうではないか」


 バフラヴィーは微妙な顔ながら、政治的な理を考えているらしい。

 確かに、大切にされるだろう。

 レザーワーリがトゥルーミシュの命令に逆らうとは思えん。


「でも、あんな変態でいいの?」


「レザーワーリ殿は宗主猊下よりはマシだと思いますけど」


 ヌーファリーンの言葉にスタンバトアが悶絶する。


「トゥルーミシュが主導権を握れそうなのも良いかと。

 我らの要請が優先されやすいとも言えます」


 ファラディーバーが意見する。


「レザーワーリだけでなく、他の者からも慕われているようだな。

 トゥルーミシュ、其方はどうなのだ?」


「ネディーアール様の言う通り、かなり大切に扱われているように思います」


 ナディア姫の言葉にトゥルーミシュが答える。


「それに、本日最後の攻勢でのレザーワーリは本物でした。

 レトコウ紛争の時のキョウスケにも劣らぬ魔法を連発していたのです。

 名門ベーグム家の、国家守護魔導士の第一正夫人に成れるという機会は逃したくないと思います」


「でも、あんな変態なのよ。

 トゥルーミシュ、ホントォォォォォォォォにあなた、アレでいいの?」


 満更でもなさそうなトゥルーミシュにスタンバトアが切れる。


「正直な所、ですが」


 トゥルーミシュがより声を潜める。


「シャールフ殿下の第二正夫人よりは、こちらの方が、・・・」


 絶句する姉御とナディア姫。

 まあ、そうだよね。

 シャールフ=ジャニベグと一緒になって、ブンガブンガだの、一列縦隊だの、輪になって盛るよりは、マシだよね。

 ちなみに、少し離れたところでは、シャールフ以下三名が、妙に感心している。


「レザーワーリ殿は一途な方だな」

「自ら花を挿れてほしいと懇願するとは、素晴らしいですな」

「中々、殊勝な男ではないか」


「トゥルーミシュが望んで、政治的にも問題ないのであれば、良いのではないか」


「まあ、決まり、ですかね」


 ネディーアール殿下とアシックネールの言葉で、レザーワーリとトゥルーミシュ、並びにベーグム家二人とトゥルーミシュ侍女との婚姻が決定した。

 まあ、オレの責任じゃない。




「それでは、改めて、婚姻の申し出を行う」


 バフラヴィーの言葉に、レザーワーリとトゥルーミシュが正面から向き合う。

 ちなみに、時間があったのにレザーワーリはフル〇ンガーベラのままだ。


「トゥルーミシュ殿」


 レザーワーリがトゥルーミシュの手を取り、正面から見つめる。


「どうか、私の第一正夫人になり、毎日、私にガーベラを挿してほしい。

 未来永劫、私の射精管理をしてもらいたいのだ。

 今後、私は、其方の許可なしには一滴も射精しないことをこのガーベラの花にかけて誓う」


 それが、婚姻の申し込みかよ!


「射精管理って、どこかの未亡人に買われた精液奴隷じゃないんだから」


 スタンバトアが両手で顔を覆う。

 隣ではネディーアール殿下の顎がガクンと落ちている。


「兄上、間違えずに一気に言えましたね」

「何度も練習した甲斐があったようです」

「うむ、立派だ」


 ベーグム一族は何故か感動している。


「喜んで、受けよう。

 死が二人を分かつまで、私が其方の射精管理を行おう!

 私も、このガーベラの花に誓う!」


 唖然としていたら、トゥルーミシュが嬉しそうに受諾していた。

 えーと、お前ら、それでいいのか?


「レザーワーリ殿、トゥルーミシュは私の親族で、侍女で、親友だ。

 トゥルーミシュを守れる頼れる男となってほしい」


 ナディア姫が横から口を添える。


「はい、必ずや!

 私は、トゥルーミシュ殿の頼れる精液奴隷になります!」


 ナディア姫の目がうつろになる。


「頼れる精液奴隷、・・・」


「ですが、ある意味、女性にとって夢のような婚姻とも言えるかと」


 意味が分からんという女性陣の中で、何故か微妙に顔を赤らめているファラディーバー。

 うん、あんたも頼れる精液奴隷が欲しいのか?


「私も、私も、ガーベラの花にかけて、頼れる精液奴隷になることを誓います!

 射精管理をお願いします!」


「私もです!

 私もガーベラの花に誓います!

 マリヤムハーヌム殿、私に毎日、ガーベラの花を挿して下さい!」


 レザーワーリの弟と一族がトゥルーミシュの侍女に誓う。

 こいつら、なんなんだ!


「あー、なんだ、一族で、そこまで、ガーベラがいいんなら、いっそ、家名を変えたらどうだ?

 ベーグム家改め、ガーベラ家ってことで」


 オレは口の中で言ったつもりだったが、どうやら音として出ていたらしい。


「家名を変える、だと?」

「伝統あるベーグムの家名を変える!」

「ガーベラ家、だと?」


 ベーグム一族が驚愕の声を上げる。


「・・・・・・・・・・・良いかもしれん」


 その中でレザーワーリが真剣な顔で呟く。

 場が沈黙する。


「私も良いと思います!」


 一瞬の沈黙の後、レザーシュミドが賛成する。


「そうですね、我らは本日の戦いで、過去の汚名を雪ぎ、新たに生まれ変わりました。

 これを機会に家名を変えるのは悪くありません!」


「うむ、ガーベラ家か。

 良い家名だ。

 我らは、たった今からガーベラ家だ!」


 配下の賛同にレザーワーリが涙ぐむ。


「うむ、この劇的な勝利に正に花を添える話だ。

 明日、師団全体に公布しよう。

 恐らく、反対はあるまい。

 いや、カンナギ、其方は実にいいことを言ってくれた!」


 感動しているガーベラテトラ。

 バフラヴィーとスタンバトアの姉御は、お前、何言ってんだという顔で睨んでいる。

 えーと、オレのせい?




「良くわかんないんだけど、これはどーゆー状況なの?」


 ゲレト・タイジが戸惑った声で聞いた。

 場はそのまま、レザーワーリたちの初夜の儀に移行した。

 男性三人が限界なのだから致し方ない。

 立会人も集められた。

 ゲレト・タイジはレザーワーリの魔法修行仲間として急遽招集された。

 ちなみに例によって例のごとく、オレの横では爛々とした眼でスケッチブックに向かうスルターグナの姿がある。

 一応、オレの夫人枠、らしい。


「レザーワーリ殿がトゥルーミシュさんを好きだったのは知ってたから、結婚は良かったと思うし、初夜の儀に呼ばれるのは嬉しいから、特にベーグム家とクロスハウゼン家という名門の初夜の儀に呼ばれるのはとっても名誉なことだけど、・・・これは、・・・その、普通、なのかな?」


「そんな訳ないでしょう!」


 戸惑った顔のタイジとその妻二人にスタンバトアがゲソっとした顔で答える。


「主従三人同時にって言うのは牙の民でも時々あるけど、新郎三人が全裸でベッドに縛り付けられているのはどーしてなの?」


「あー、三人とも限界で、自由にすると自分でしごいて出してしまいそうだから、縛ってくれと。

 本人の要望なんだ」


 オレの説明に、タイジは未だ分かった顔にならない。

 まー、オレも分からんが。


「えーと、人族でも、一般的ではないってこと?」


「断じて、絶対に、どー考えても普通じゃないから」


 スタンバトアが念を押す。


「あー、それから、その、・・・男性の大事な所がむき出しで、その、花、みたいのが付いてるのは?」


 そうね、戸惑うよね。

 聞いていいのか、迷うよね。


「ゲレト殿、あれは、ガーベラの花だ。

 今後、ガーベラ家では、これが標準となるであろう。

 つまり、ガーベラ家の風習と考えて頂きたい」


 クトゥルグ老が胸を張ってこたえる。

 ちなみにコイツも、フル〇ンガーベラのままだ。


「ガーベラ家の風習、ですか。

 それで、そのガーベラ家というのは?」


 タイジが、『白髪マンモス・ガーベラ』を正面から見ないようにしながら質問する。


「うむ、今回の戦い、ガーベラの花咲く高原で、ガーベラの花を挿して勝利を勝ち取った我らは新たな名を得たのだ。

 ちなみに、このわしも今まではベーグム家の分家としてクトゥルグを名乗っていたが、これを機会に本家扱いとなり、ガーベラの名乗りを許された。

 よって今後、わしは、クトゥルグ・レザーハミド、改め、ガーベラ・レザーハミドとなる。

 ゲレト殿もそのように呼んで欲しい」


「ははあ」


 タイジはますます分からんという顔になっている。


「それで、その、男性の大事な所に、ガーベラの花を入れるのにはどのような意味が?」


「勿論、射精管理してもらうためだ」


「射精管理!」


 タイジたち三人が絶句する。


「勿論、並の女性が相手ならば、レザーワーリもこのような申し出はしない。

 だが、トゥルーミシュ殿のような絶世の美女にならば話は別だ。

 彼女に射精管理してもらうなど男冥利に尽きるであろう!」


 タイジたち三人が救いを求めるようにスタンバトアを振り返る。

 静かに首を振る姉御。

 それを見て、なんとなく頷く三人。


「ガーベラの花が選ばれたのは、ある意味偶然だ。

 だが、ガーベラの花の力により奇跡的な勝利を得た我らにとって、ガーベラは唯一無二の存在となった。

 今後も、ガーベラ家ではガーベラの花が末永く大事にされるであろう。

 ちなみに、ガーベラへの家名変更を提言されたのは、そこのカンナギ殿だ。

 時宜に叶った素晴らしい提言だったと思う」


「あー、大体、こーゆーことにはキョウスケが係わってますよね」


 タイジが妙に納得して頷く。

 お前、オレをなんだと思ってるんだ?


「ところで、最後に、三人の新郎が、一八〇度開脚で縛り付けられているのは、何故でしょう?」


「勿論、前立腺マサージをしてもらうためだ」


 ふーん、それは、オレも知らんかった。

 タイジは真っ青になっていたが。


「こんなの、二度と見られません!」


 スルターグナは嬉しそうだが。

 だから、ハトン、君も、止めよう。




 その後の初夜の儀は、誰も知りたくないだろうから、ダイジェストで届けよう。

 まず、ガーベラが半ばまで引き抜かれ、そして、根本がきつく紐で締められる。

 そして、ガーベラが完全に引き抜かれる。

 ガーベラの茎は二〇センチ以上あった。

 続いて女性陣が男性の肛門に極太の指を突っ込み、男性陣が歓喜の絶叫。

 次に女性陣が衣服を脱ぎ棄て、男性に跨り、高速ピストン運動。

 男性三人よりも女性三人の方が体格は断然良い、筋肉量は倍以上なので、オレ的には男性同性愛行為にしか見えない。

 トゥルーミシュも他の二人も、全裸になって股間にモザイクをかけたら、どこからどう見ても男だ。

 思えば母親のライデクラートは立派過ぎる大胸筋の上に多少は脂肪の塊があった。

 だが、こいつらは、それすらない。

 考えてみればトゥルーミシュは、まだ十四歳。

 第二次性徴前なのだろう。

 身長と筋肉は、オレ以上だが。

 高速ピストンの適度な所で、根本の紐が解除され、そして男性三人が絶叫しながら射精。

 妙に長い射精で、特にレザーワーリは三〇秒ぐらい続けていたように思う。

 その後、女性三人が立ち上がり、陰部に充分な量の精液が注がれたこと誇らしげに示す。

 実に、堂々とした披露だった。

 最後に、男性三人の陰茎に新たなガーベラが挿入され儀式は終了した。

 改めて挿れる必要があるのかと疑問に思ったが、男性本人たちから『是非に』との要望という。


 儀式には、見届け人としてベーグム家、じゃなくてガーベラ家関係者も多数入っていた。

 老齢の第一魔導大隊長も入っていたが、皆、『ガーベラ家、万歳!』と唱和し、感激して泣いていた。

 クロスハウゼン側の反応は、まあ、書く必要は無いだろう。


「トゥルーミシュは、多分、大事にされるのだろう。

 それで、良いのではないか」


 バフラヴィーが、悟りの目で語っていた。




 こうして、長い一日は、・・・終わらなかった。

 もう、午前三時を回っているんだが。

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