07-32S インタールード 雨中の決意
降りしきる雨の中、ゴルデッジ侯爵アブサイードは増水したメハン川を眺めながら嘆息した。
何故、こんなことになっている?
つい数か月前まで、アブサイードは勢威に満ち溢れ、充実した人生を送っていた。
少なくない有力者から次期帝国宰相を打診されるほどだったのである。
それが、今はどうだ。
ゴルデッジ市は灰燼に帰し、息子たちは皆死んでしまった。
男子は嫡子どころか、庶子すら残っていない。
いや、どこかで誰かが生き残っている可能性は否定できない、否定したくはないが多分ダメだろう。
領地を失い、領都を失い、領民を失い、軍を失った。
諸侯としての権威の低下は目を覆うほどで、権力も十分の一以下だろう。
帝国第一軍が進発した時分には保たれていたアブサイードの気力も今やつきかけている。
現在、アブサイードが頼りとしている義理の甥、カゲシン公子バャハーンギールは味方を売って生き延びようとしている。
それで、良いのだろうか?
何度も話し合った。
何度も検討した。
何度も諫めた。
確かに、帝国軍の勝ち目は薄い。
バャハーンギールが、そして、アブサイードが生き残るのに手段を選んでいる状況ではない。
だが仮に、これで生き延びたとして、カゲシンは、帝国諸侯はバャハーンギールの宗主就任を許容するだろうか?
ゴルデッジ侯爵家の再興を許容するだろうか?
バャハーンギールの側近たち、先日ヘロン伯爵に推されたミズラ・インブローヒムなどは、問題ないと言い切る。
シャーヤフヤー公子が戦死した現在、バャハーンギールの対抗馬はいないのだと。
そうだろうか?
「総司令部から使者が来ています」
従者の言葉に我に返る。
やってきたのはカイドゥという男だった。
確か、ベーグム師団関係だったはず。
良くわからないが、員数外とかで、総司令部付になり、高位貴族相手の連絡員になるとか紹介された記憶がある。
「お伝えいたします。
我が軍は現在、雨の中、総力を挙げて反撃の準備を進めています。
ついては、ヘロン城の大型クロスボウを野戦で使用したいとの総司令官の御意向です。
ですが、ヘロン城、及びヘロン旅団を指揮する新任のヘロン伯爵が、何故か、こちらに居られると聞きました。
元々、このメハン川旧渡河点の防備はゴルデッジ連隊の任務。
一個大隊が派遣されているとはいえ、ヘロン伯爵がここで指揮を執る必要はありません。
直ちに、ヘロン城内に戻り、大型クロスボウ搬出の指揮を執って頂きたい」
アブサイードの横にいた新ヘロン伯爵、ミズラ・インブローヒムが目を白黒させる。
「いや、それは、・・・自分はここを離れるわけにはいかぬ。
自分は、ヘロン旅団は、バャハーンギール殿下の指揮下。
シャールフ殿下の指揮下ではない」
「ヘロン城内のバャハーンギール殿下には許可を頂いております」
カイドゥが命令書を指し示す。
公式には、バャハーンギールはヘロン城内に留まっている、事になっている。
新ヘロン伯インブローヒムの目が泳ぐ。
無理もない。
ベーグム師団第一歩兵連隊が予備として後方に、ゴルデッジ連隊を監視するような形で待機しているため実行されていないが、第一歩兵連隊が移動次第、メハン川旧渡河点には船橋が架けられケイマン軍が突入してくる手筈となっている。
アブサイードたちは、それと入れ替わりにメハン川を渡河し、東方に退却する予定だ。
インブローヒムがここにいるのは、それに同行するためである。
ヘロン城内に戻っては逃げられなくなる。
「ああ、私は元々、文官だ。
軍事には疎い。
搬出の指揮は其方に任せよう。
私は、ここに留まる!」
「それは、搬出任務だけでありましょうか?
これから戦いは佳境となります。
ヘロン旅団本隊に指揮官がいないのでは、話になりません」
「なら、全て任せる。
ヘロン城も、ヘロン旅団の指揮も、だ。
私は、ここの一個大隊だけ引き受けよう」
何を言い出しているのだ。
アブサイードは心の中で悪態をついた。
軍を指揮する能力も覚悟もないのに、何故、引き受けた。
前ヘロン伯爵の処刑にアブサイードは関与していない。
報告を受けた時には頭を抱えたが、過ぎた事は仕方がない。
アブサイードは、ヘロン伯爵の代理には軍人を選ぶべきだと意見した。
具体的にはベーグム師団の軍人を、だ。
少なくとも、この戦いが終わるまでは自護院に、軍関係者に任せるしかない。
所が、インブローヒムが立候補し、バャハーンギールがこれを認めてしまった。
バャハーンギールは、自分に忠実な軍指揮官が欲しかったのだろう。
インブローヒムは単に伯爵、地域諸侯という職と権威が欲しかっただけだ。
インブローヒムは、そして、バャハーンギールも、地域諸侯の責務を、軍隊指揮官の責務を理解していたとは言い難い。
「本官は代坊官、諸侯で言う所の少佐に過ぎません。
一個旅団を率いるには力不足です。
ベーグム師団、ベーグム家としてならば引き受けましょう。
如何?」
「それで良い」
インブローヒムの返答にカイドゥが頷く。
「了解しました。
ベーグム師団よりしかるべき者を選びます。
ついでにお伝えしますが、帝国軍はこれから反撃に移ります。
温存していたベーグム第一歩兵連隊も前線に移動します。
メハン川旧渡河点の防備が薄くなりますが、よろしくお願いいたします」
カイドゥが声を張り上げる。
「この雨でメハン川の水量も増しています。
ケイマン軍にここを突破されるとは思いませんが、ゴルデッジ侯爵閣下と新ヘロン伯爵閣下を信じてここを託します。
断じて、突破されぬよう、お願いしたい!」
カイドゥはそう言って去っていった。
カイドゥが去り、集まっていた者が去ったのを見極め、アブサイードは傍らの従者に声を掛けた。
従者の一人という建前であるにもかかわらず、人がいなくなった途端、アブサイードの許しもなく椅子に座った小太りの男である。
「バャハーンギールよ、敵との内通は保留だ。
ケイマンには舟橋建設を開始させても良い。
だが、こちらからの手助けは無し、だ。
ケイマンには、ベーグムに資材を取られた、雨で準備が遅れている、とでも言っておけばよい」
従者の顔が曇る。
恐らく、今直ぐにでも逃げ出したいのだろう。
この男にはこらえ性が無い。
「先ほどの男の態度を見ても、我らの内通は露見していると見て良いだろう。
仮に、帝国軍が敗北したとしても、全ての士官、全ての貴族が死ぬとは思えぬ。
何人かは生き延びてカゲシンに帰りつくだろう。
そして、我らの裏切りを言い募る」
従者の顔色が変わる。
「言わせておけばよいでしょう。
木っ端貴族の言葉など、宗主権力の前では無意味です」
「宗主就任は簡単ではない。
帝国諸侯の後ろ盾がないシャールフは兎も角、帝国内はマリセアの血統に満ち溢れている。
この戦いに参加しているタルフォート伯爵も先代宗主の弟だ。
現宗主には三人の弟がいる。
変人フサイミールは別としても、クチュクンジとユースフハーンは野望家だ。
クチュクンジは先日まで我らと同盟していたが、こうなってはどう出るか分からぬ。
ユースフハーンに至っては、協力を得られると考える方が馬鹿だろう。
カゲシンの歴史でも直系以外から宗主が立った例はある。
第二帝政、第三帝政では評判の悪い皇帝が引きずり降ろされた例もある。
味方を裏切ったと露見すれば、其方に宗主就任の目はない」
従者の男が押し黙る。
「事、ここに至っては、我らが生き延びるには、帝国軍にこの戦いで勝ってもらうしかなかろう。
それが、極めて厳しい確率の低い賭けであったとしても、だ。
自軍を裏切って生き延びたとしても、誰にも相手にされずに帝国内を流浪するのでは意味がない」
従者は沈黙した。
だが、その後のアブサイードの指示に文句も付けなかった。
「総司令部から、反撃準備の知らせが届きました。
この雨が上がり次第、敵軍が戦線中央に突破攻撃を仕掛けるのは必定。
敵の攻撃が始まったら三〇分後に反撃を開始されたい、とのことです」
「反撃はクロスハウゼン旅団が敵の突撃を食い止めたら、ではなかったか?」
「敵の突撃を止めきれるかどうか、分からない。
故に、突撃が開始されたら反撃を、との命令です」
使者の言葉にベーグム師団、新師団長レザーワーリは元々蒼白い顔を更に蒼くして頷いた。
敵の突撃が止まり、敵の士気が減衰してから、ではなく、その前。
敵の戦意がまだ保たれている状況での反撃開始。
状況は想定以上に、いや想定通りに悪い。
だが、反撃は行わざるを得ない。
それに帝国軍の、ベーグム師団の未来がかかっている。
「第一歩兵連隊を前進させろ。騎兵大隊も、だ」
幸い温存されていた第一歩兵連隊は準備万端だ。
だが、歩兵部隊だけでは反撃は成り立たない。
「魔導部隊は人員を選抜しろ。
第一魔導大隊、第二魔導大隊は勿論、師団司令部、第二歩兵連隊、第三歩兵連隊からも動ける魔導士をかき集めるのだ!
魔力の残っていない男は、精力の全てを女に注げと命じろ!
総力戦だ!」
ベーグム師団も戦っていなかったわけではない。
前面のケイマン第二軍団は午前中攻勢をしてこなかった。
恐らくはベーグム師団が早々に反撃するとの情報を得て、それに備えていたのだろう。
だが、午後からは積極的な攻勢に出ている。
ベーグム師団は、真っ向から立ち向かった。
他の帝国軍が、逐次退却して損害を軽減していたのに対し、ベーグム師団は一歩も引かなかった。
ベーグム師団が戦線を維持する事が『作戦』だったからである。
予備の第一歩兵連隊を投入することなく、第二歩兵連隊、第三歩兵連隊だけで立ち向かい、凄絶な白兵戦を繰り広げ、最後は反撃に転じ、完勝した。
敵第三歩兵師団の損害は甚大だろう。
勿論、ベーグム師団の損害も少なくない。
歩兵部隊の損耗も少なくないが、問題は魔導部隊の魔力枯渇である。
レトコウ紛争で魔導部隊に多大な損害を受けたベーグム師団は、魔導部隊指揮官、一般魔導士、共に大幅に若返っていた。
いや、若返ってしまっている。
経験不足の指揮官と魔導士たちは初の本格戦闘に、必要以上のマナと精神力を消費してしまっていた。
「どう考えても間に合いません!」
部下からの報告にベーグム師団首脳陣が頭を抱える。
「無理もありません。
多くの魔導士が事実上の初陣なのです。
皆、マナも精も尽きているのです」
新任の第二魔導大隊長が弱音を吐く。
「第一魔導大隊のファイアーボール一斉投擲は八回。
第二魔導大隊は七回だ。
計算上は、まだ数発は撃てるはずだ。
精を注いだのも精々四回であろう。
『ハイアグラ』とかいう薬はどうなったのだ」
数少ないベテランの第一魔導大隊長が厳しい顔で評する。
「正直、気合が足りぬ。
帝国とベーグムの存亡の危機なのだぞ!」
臨時相談役に就任したクトゥルグ・レザーハミドは怒りを隠せない。
「ですが、皆、限界なのです!
薬を使っても無理な物は無理なのです!」
第二魔導大隊長が再度、抗弁する。
クトゥルグ老が激昂する。
そこに末席からレザーシュミドが割って入った。
弱冠十三歳のベーグム家三男である。
「トゥルーミシュ殿に、男性魔導士を激励してもらっては如何でしょうか?」
提案は採用された。
前線後ろの待避所では、男性魔導士たちが女性魔導士を回復させるべく、その精を放とうと懸命の努力を行っていた。
戦場ではしばしば、まとまって性交が行われる。
男性の精は女性魔導士のマナ回復に必須。
性交中の防備を考えれば、まとまって行うのが効率的である。
他人に見られるのがイヤだなどと言っていては軍人など務まらない。
今も五〇組以上の男女が交わっている。
だが、男たちの動きは鈍い。
女たちも懸命に男たちを奮い立たせようと努力しているが、反応が良いとは言い難い。
そこに師団長ベーグム・レザーワーリが激励と督促に訪れた。
本日、何回目だろうか。
新任、若干十五歳にして実績のない師団長には威厳も何もない。
よって、激励の効果も薄かった。
少なくとも、これまでは。
だが、今回は少し違った。
レザーワーリはトゥルーミシュを伴っていたのだ。
クロスハウゼン・ガイラン・トゥルーミシュ。
帝国有数と言われる母親の美貌と鍛え上げられた体躯を受け継いだ彼女は帝国内外で評判の美人であり、ベーグム家将兵にも、いや、特にベーグム家系列では熱狂的な人気を擁する。
カンナギ・キョウスケは『デビュー当時のト〇・クルーズをマッチョにした感じ』と評しているが。
「其方ら、それでも帝国の魔導士か!
マリセアの正しき教えに殉じる者か!
帝国の危機、マリセアの正しき教えの危機、ベーグム家の危機なのだぞ!
根性が足りん!」
レザーワーリに倍する声量、倍以上の迫力に、場が一気に緊迫する。
トゥルーミシュの激は止まらない。
「そこのお前、そんな腰使いで女が満足できるか!
もっと気合を入れろ!」
トゥルーミシュは封建制社会における生粋の軍人家系の生まれである。
庶子として生まれ、その後本家に迎えられたレザーワーリとは軍人としての年季が違う。
殴る蹴るが当たり前の環境で育っている彼女。
当然のように、言葉だけでなく、拳も蹴りも跳ぶ。
傍らの男の裸の尻に蹴りが入る。
そして、トゥルーミシュの踵が裸の尻に食い込んだ瞬間、男は絶頂に達した。
感極まった声を上げる男性。
一拍おいて大量の精を受け入れた女性が絶叫する。
「有難う、ございま、す」
生涯最高の射精を経験した男が陶酔しきった顔で礼を言う。
その光景は、周囲に高圧電流を走らせた。
「トゥルーミシュ様、私にも気合を入れてください!」
「私にも、私にも、気合を!」
「どうか、私の醜い尻にキツイ気合をお願いします!」
周囲の男性たちから次々に悲鳴のような懇願が沸き起こる。
その言葉に応えるように、トゥルーミシュが蹴りを放つ。
放ち続ける。
男たちの、そして女たちの嬌声が響く。
響き続ける。
トゥルーミシュは蹴り続ける。
だが、追いつかない。
傍観していた男たちも次々と行為を開始している。
二回目、三回目を希望する者も少なくない。
人手不足に、トゥルーミシュの従者二人も参戦した。
二人はトゥルーミシュの親族。
トゥルーミシュ程ではないが、それなりの美貌と筋肉量を有する。
従者二人の参加は更なる熱狂をもたらす。
トゥルーミシュたち三人による蹴りの三連発である。
「行ける、これならば勝てる、我々はまだ戦える!」
レザーワーリたちに付き従っていた第一魔導大隊長が拳を握りしめる。
「すごい!何と美しく、素晴らしい光景なのだ!
六〇年近く生きてきて、このような光景は見たことがない!」
老クトゥルグは感動に溢れる涙を拭う事すらない。
「私も、気合を入れて頂きます!
トゥルーミシュ様、私にも蹴りを!三連打を!」
若い第二魔導大隊長が焦ったようにズボンを引き下ろす。
三〇分もしないうちに、魔導部隊の出撃準備が整った。
一息吐いたところでトゥルーミシュが言う。
「私もマナの補給がしたい。
レザーワーリ殿、私に精を分けてくれぬか」
トゥルーミシュの問い、勿論、レザーワーリに否はない。
「トゥルーミシュ殿、お願いがあります」
しゃがみこんだトゥルーミシュにレザーワーリが声をかける。
「私に花を頂けないでしょうか?」
「花を?」
「かつて、国母ニフナニクス様は戦いに際し、配下の男性魔導士一人一人に花を与えたと聞きます。
私はトゥルーミシュ殿から花を頂きたいのです」
小降りになった雨の中、ベーグム師団第一歩兵連隊が整列する。
選抜された臨時魔導大隊、その後ろには騎兵大隊もいる。
レザーワーリは、鎧の下に手を入れ、ガーベラの花に触れた。
戦場で調達できたのは、ヘロン高原の片隅に残っていた季節外れのガーベラの花だけである。
だが、レザーワーリにとってはそれで充分だった。
花の種類は問題ではない。
トゥルーミシュに貰ったことが大事なのだ。
レザーワーリは思う。
昨日、兄を失い、今朝早くに父を失った。
済し崩しに決まった家督相続、師団長就任。
師団長と言っても仮の物。
そもそも、この戦いの前には、ベーグム家を師団長から外すという話になっていた。
仮に生き延びたとしても、レザーワーリが師団長職を維持できる見込みはない。
そもそも戦況は絶望的。
恐らくは最後の戦い。
最後の戦いを崇拝するトゥルーミシュと共に戦いたいと願い、それは叶えられる。
つい、先ほどまではトゥルーミシュと共に戦い死ねるのなら、それで本望と考えていた。
だが今、トゥルーミシュから花を貰う。
この日、レザーワーリは初めて生きたいと願った。
生き延びるのだ。
この戦いに勝利するのだ。
戦いに勝利し、その戦果をもって師団長を、ベーグム師団を維持するのだ。
そして、新生ベーグム師団の師団長として、トゥルーミシュに結婚を申し込むのだ。
南方からは怒声、進軍太鼓の音、魔導砲の音が入り交じる。
敵第一軍団がクロスハウゼン旅団と戦っているのだ。
「時間です」
傍らに控えていた異母弟レザーシュミドが魔導時計を見て告げる。
反対側には麗しのトゥルーミシュ。
「聞け!」
レザーワーリは精一杯声を張り上げる。
「この戦いに、この反撃に、帝国の未来、マリセアの正しき教えの未来、ベーグムの未来がかかっている。
戦うのだ!
勝つのだ!
生き残るのだ!
生き残って我らの未来を切り開くのだ!
帝国のために!
マリセアの正しき教えのために!
ベーグムの、我らの未来のために!
トゥルーミシュ様のために!
行くぞ!」
この日、レザーワーリは覚醒した。
━━━戦乱は英雄を呼び、英雄は戦乱を呼び起こす。それが歴史の理とされる。帝国末期の戦乱においては数多くの英雄、豪傑、奸雄、偉人、佞人、悪人が頻出した。初代ガーベラ公爵レザーワーリもそんな出頭人の一人である。━━中略━━レザーワーリは、第四帝政末期にベーグム家の庶子として生まれた。ベーグム家は当時カゲシン三個師団と称された軍閥の一つである。━━中略━━当時のベーグム家は身体魔法の家系であった。魔力量を評価されベーグム本家に招き入れられたレザーワーリであるが、その後の成長は父親の期待にそぐわなかった。魔力の成長が悪く、更に身体能力が低かったのだ。レザーワーリはベーグム本家に入った物の、家督継承順位は兄だけでなく、叔父や従兄よりも下位に位置づけられていた。━━中略━━帝国歴一〇七九年の一連の騒乱でベーグム家は多くの一族を失う。レザーワーリはガーベラ会戦当日朝にベーグム家の家督を『暫定的に』継承したという。━━風で落ちた果実を拾う事となったレザーワーリであるが、これは彼にとっては不本意な事態であった。しかしながら、これにより彼はその才能を開花させることとなる。レザーワーリは投射系魔導士として大成したのだ。━━中略━━そのレザーワーリに投射系魔法を教授したのがKKだとされる。━━━
『ゴルダナ帝国衰亡記』より抜粋
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