07-13 ヘロンに向かう (三)
「魔導砲部隊は、何とか形になりそうだな」
行軍五日目夕刻、魔導砲部隊の訓練を見学しながらバフラヴィーがビミョーな顔で呟いた。
「特に雨の中でも運用可能なのがいい」
現在は、結構な雨だ。
この世界の魔導部隊だが、雨になると火力が半減する。
ファイアーボールの爆発はそのままだが、延焼効果は大幅に低下するのだ。
更に、射程距離が低下する。
この世界、魔導部隊の主要、というかほぼ唯一の攻撃手段であるファイアーボールは手で投げる。
投げられるのは不安定なマナの塊だから、雨の影響を受けやすい。
つまり、早く落ちる。
ライトニングボルトは効果が上がるが、一般的魔導士だと射程距離は十メートル。
非常時の近接防御という扱い。
であるからして、雨になると不利だ。
だが、魔導砲だと雨の影響は少ない。
多少は狙いが付けにくくなるが、威力は変わらない。
「やはり、照準手は固定にした方がよさそうだな」
魔導砲だが、一個中隊、二〇〇人ちょっとに四門という編制だ。
兵員の大半が従魔導士なので、一日三回程度しか『ファイアーボール』が使用できない。
当初は、火薬に相当するファイアーボールを使用する者が照準も担当する予定だった。
だが、一日、一回か二回程度では練習にならない。
そういうことで、照準は中隊で四人、基本的には中隊長と小隊長が専門に行う形にした。
一般兵員は「火薬係」と「砲弾運搬係」に専念である。
一般兵員が、砲弾を持って魔導砲の後ろに並び、自分の順番が来たら砲弾を装填してファイアーボールを詠唱する。
その間に照準手が狙いをつける形。
照準手は一日の練習だけで何十発も経験できるので、命中率はかなり良くなった。
良くなったと言っても、元の大砲がドロナワ速成だから、知れてるけど。
一応、ライフルは切ってあるが、かなりいい加減、というか、砲弾が回転しているのが確認できたのでいいかってレベル。
綿密に計算して切っているわけではない。
回転していない物より多少は弾道が安定している程度です。
ちなみに、照準手用に聴力保護の耳当てが作られた。
一定以上の大きな音だけをカットする優れモノだ。
ちなみに、オレの発明ではなく、この世界の既存技術である。
「予想以上に訓練が順調だな」
「それは、・・・シャールフ殿下の貢献が大きい、ですか」
「あー、まあ、そうかも知れぬ、な」
微妙に歯切れが悪くなる第十一軍司令官。
「しかし、・・・この臭いは、何とかならんのか?」
かの、露出狂淫乱コンビ、いや、今は二百歳超が加わったトリオだが、相変わらずバリバリである。
移動中も同じ馬に同乗してイチャイチャ、どころかしばしば『合体』している。
露出狂の本領を発揮しているわけだ。
さぞかし周囲の評判も、・・・悪くない。
事件は行軍初日に起きた。
第十一軍の日々のスケジュールは、日中は行軍、及び行軍しながらの隊形変換訓練。
夕方に成ったら穴掘り訓練を兼ねた野営の準備。
その後、日が暮れるまで部隊訓練。
で、初日も当然、訓練だった。
魔導連隊は連隊合同で訓練を行う。
魔導砲は一応、軍事機密だし、訓練できる場所も限られるのでそうならざるを得ない。
オレも当然参加していた。
参加していたが、途中で抜け出した。
会議の為である。
軍の会議は、大隊長以上が集まる拡大会議はそう開かれないが、連隊長以上の会議は毎日行われていた。
連隊長以上でも随員を合わせれば五〇人ぐらいだから結構な規模である。
オレも連隊長、らしいので、一応参加。
会議、会議と無駄なんじゃないかとか思っていたが、実際やってみると、・・・必要なんだよな。
あれが足りない、これを壊した、それが行方不明。
携帯電話どころか、無線も有線も無い状況で四万人を動かすって大変です。
そんなことで、魔導連隊の訓練は大隊長任せ。
大隊長、ジャニベグにタイジにレニアーガー。
まあ、何とかなる、何とかしてもらうしかない。
で、実際、何とかなっていた、らしい、のだが、問題はシャールフ殿下がいた事である。
淫乱オトコの娘殿下、名目上は第十一軍の総司令官。
であるから、普通なら会議に出る所だが、バフラヴィーは重要会議だけで、日々の会議は出席しなくてよいとしていた。
ミッドストンでは時々参加していたのだが、参加しても十三歳の未成年だから座っているだけ。
本人も手持無沙汰で、退屈だったそうだ。
魔導部隊の訓練の方が楽しいとのこと。
ジャニベグと一緒にいたいだけかもしれないが、未成年だし、そんな物だろう。
これは他の旅団長も了解している。
で、代わりにネディーアール殿下が参加。
参加って言っても最上位の席に座って、開会と閉会を告げるだけなのだが、このお姫様、意外とこーゆーのが好きらしく面白そうに話を聞いていた。
そんなことで、オトコの娘殿下は魔導連隊の訓練場にいた。
で、訓練終了後、オトコの娘殿下が、兵士に声をかけたという。
訓練で特に頑張っていた下士官を褒めたのだ。
まあ、これは良い、というか正しい。
カゲシン公子に直々に声を掛けられたら兵士もやる気になるだろう。
だが、ここからがちょっと違った。
下士官、当然、女性である。
いかつい、いかにも軍人という、たくまし過ぎる体型の、オレから見ればガテン系のおっちゃんにしか見えない女性である。
万年男日照りで、レニアーガー曰く、中隊長クラスの男性仕官が時々ヤッてやらないと部隊が回らないが、レニアーガーでも仕事でなかったら絶対にヤリたくない容姿と清潔感を併せ持った、生物学的には女性らしい生き物である。
その、女性下士官と話したオトコの娘殿下。
何がどうしてそうなったのかは分からないが、殿下は、その下士官と直接ヤルと言い出した。
軍隊には、当然ながら高位貴族のお坊ちゃんもいる。
高位貴族のお坊ちゃんも最初は低い階級から始めるから、当然、独身女性下士官、独身女性下級士官の相手をする義務が発生する。
では、彼らがこれを行うかと言えば、まず行わない。
元々、女性過多の世界である。
高級貴族のお坊ちゃんともなれば、最上級は兎も角として、それなりの容姿の女性は簡単に手に入る。
世の中でも最底辺とされる、軍隊の独身女性など相手にしたくない。
であるから、多くの場合、金で解決する。
適当な男性に金を払って相手を任せるのだ。
最上級貴族ともなれば、警備の問題とか、衛生学的、性病などの問題もあるから、致し方ないとされている。
そういう、『常識』の世界で、最上位貴族のカゲシン公子が、一般下士官に『精をそそいでやろう』と言い出したのである。
周囲はパニックに陥った。
真っ先に止めに入ったのは第三魔導大隊長のレニアーガー。
件の女性も慌てた。
「殿下のような高貴な方が、私のような下賤の者を相手にする必要はございません。
私の醜い尻など、殿下にお見せできる物ではありません!」
そう、断った、というが、・・・。
「マリセアの正しき教えに殉じ、帝国防衛のために命を懸けている者の尻が醜いなど、あろう筈が無かろう!」
と、オトコの娘殿下が断言。
女性下士官は、更には周囲の女性兵士たちも感動で泣き崩れる。
更に、第一魔導大隊長である、ジャニベグが、「それは素晴らしいお考えです!」と賛同。
シャールフの一物を取り出して『準備』まで始めたらしい。
「私が本当に精を注いだか疑う者もいよう。
であるから、今、ここで、精を注いでやろう」
そう言って、シャールフ殿下はその場で始めてしまった。
一個大隊は一千人弱、三個大隊編成の連隊は、連隊直属部隊などもあり三千人を軽く超える。
そのど真ん中で始めてしまったのだ。
更に、そのまま中に出した。
シャールフ殿下は十三歳と言ってもクロスハウゼン嫡流。
現時点でも魔力量はかなり多く、中出しされた女性下士官は感動と快感と極度の魔力差で絶叫して絶頂して失神。
彼女は翌朝まで意識が戻らず、戻った後も下半身が麻痺したままで、一日、荷馬車の上だったという。
だが、その効果は絶大だった。
連隊の女性兵士たちは感動と興奮で、大変なことになる。
更に、オトコの娘殿下は、「明日も訓練で頑張ったものに精を注ぐ」と言い出した。
ちなみに、初日の兵士はジャニベグの第一魔道大隊の兵士だったが、連隊の他の兵士から不平が続出。
結果、毎日二人、第一魔道大隊から一人、残りの連隊全員から一人とされたという。
オレやバフラヴィーがこれを知ったのは、全てが終わった後だった。
「褒美と言えど、カゲシン公子が数千人の前で性交に及ぶなど、破廉恥に過ぎる。
安全管理の観点からもあり得ぬ!」
バフラヴィーは、そして、ネディーアール殿下やスタンバトアの姉御は激怒したが、本人はケロっとしていた。
「九月一日の出陣式ではフサイミール宗主補殿下が宗主猊下の代理として、皆の前で女に精を注いだではないか。
褒美なのだから問題なかろう。
現に皆も喜んでいる」
そーいや、例の九月一日にはそんな話も有った。
目が点になったが。
「現実問題として、今更止められません。
実際、連隊の士気は最高に上がっています。
皆、シャールフ殿下に精を注いでもらおうと目の色を変えて訓練に励んでいるのです。
中止したら、連隊の士気は地に落ちます。
いや、それ以前に暴動が起きかねません!」
確かに、魔道連隊は異様な雰囲気である。
現場にいたレニアーガーの進言に、バフラヴィーはしぶしぶ許可を出した。
ちなみに、進言したレニアーガーだが、大隊長という『最も活躍した者』を選定する立場でありながら、三日目には自分の妻の一人をそれに選定。
「いや、この程度の役得は大目に見て頂ければ、と。
あ、勿論、妊娠して女が生まれたら私の正夫人として遇しますので」
聞けば、夫人自身が希望したという。
バフラヴィーたちは呆れかえっていた。
しかし、・・・独身女性だけでなく、既婚女性も希望なのね。
それぐらい、魔力量の多い美形のカゲシン公子に精を注いでもらえるのは魅力らしい。
オレ、まだまだこの世界に慣れないな。
それにしても、シャールフ殿下、ストライク・ゾーン広すぎないか?
ブ〇ース・ウイリスや、ブ〇ース・ディッキンソン相手でも可能って。
考えてみれば体重一四〇キロ超えの宗主や、護衛騎士団のア〇ースとかコ〇ンのお尻もこなしていたみたいだから、・・・当然か。
「内容はともかく、結果として魔道連隊の士気と練度が大幅に上昇したことは事実だ」
明日はヘロン近郊という、行軍六日目、訓練成果を眺めながらバフラヴィーは複雑な表情で鼻をつまんだ。
「シャールフだが、第一魔道大隊本部の女性士官、女性下士官には全員、手を付けたらしい」
「・・・えーと、独身女性下士官全員、ですか?」
「いや既婚者も全員だ。一般兵士もかなり手を付けているらしい」
大隊本部は小隊規模だから五十人ほど。
通常の小隊よりも下士官、下級士官の比率が高く十人を超えていたと思う。
五~六日で十人以上のブ〇ース・ウイリスを相手にしていたと。
連隊ご褒美にジャニベグや斎女殿の相手もしていたはずだから、・・・オトコの娘殿下、絶倫すぎる。
ハイアグラを大量使用しているんだろうけど、精神的にはオレの百倍タフだな。
「既婚女性にまで手を付けて大丈夫なんですか?」
「大丈夫、というか、夫が望んだ例も多いと聞く。
結果は、・・・其方も見ているだろう」
魔道連隊の士気は最高なのだが、中でもジャニベグが率いる、つまりシャールフ殿下が常駐している第一魔道大隊は異様な雰囲気だ。
殿下のためなら何時でも死ねると公言する兵士が続出。
最近では勝手に『シャールフ親衛大隊』を名乗りだした。
オトコの娘殿下は例によって毎日、馬上で合体しながら行軍しているのだが、これも周囲の兵士からは極めて暖かい眼差し、・・・いや、キラキラというかギラギラした視線で、極めて好意的に認められている、らしい。
本日の訓練の最初にはジャニベグが、挨拶した。
「明日はいよいよ、敵が待つヘロンに到着する。
各自、マリセアの正しき教えを守るために、帝国のために、そしてシャールフ殿下のために、全力を尽くすよう願う!」
これに兵士全員が『シャールフ殿下のために!』と唱和したのだ。
唖然とする光景だった。
「練度が上がったのは良い。
だが、・・・少なくとも、この臭いだけでもなんとかならぬのか」
バフラヴィーが再び鼻に手をやる。
「うちの魔導連隊、『淫乱連隊』って呼ばれてるんですって。
クロスハウゼン旅団全体が淫乱旅団呼ばわりされる日も遠くないでしょう」
バフラヴィー第三正夫人ヌーファリーンが他人事のように放言する。
確かに、酷い臭いなんだよな。
シャールフ殿下は毎日、訓練に参加し、毎日、『ご褒美セックス』を行っている。
今日も多分、これから行われるのだろう。
シャールフ殿下と兵士が、ヤッているのを連隊全員で取り囲んで、見ている兵士も自分で自分を慰めながら観戦し、終わったら男性捕虜総動員で、また、ヤリまくり、というのが、ここ数日のパターンだ。
兵士たちは、期待しまくりで、既に発情状態。
魔導砲を操るシャールフを見ながら、下腹部に手を突っ込んでる兵士が多数。
つーか、ほとんど。
連隊の兵士、ざっと三千人、その八割以上が女性で、その大半が発情状態。
つまり、二千人以上の女性のあそこがドロドロで、訓練場には独特の臭いが漂っている。
こちらの女性の体液、特に陰部の液体には男性を興奮させる作用があるという。
だが、基本従魔導士かそれ以下、せいぜい正魔導士の兵士たち。
魔力量はオレの基準では微々たるもの。
一方で、清潔度は極めて低い。
結果として、訓練場に蔓延している臭いは、・・・芳しくない。
魔力量の低い男性なら興奮ものかもしれないが、オレは、・・・ありていに言って吐き気を催す状況。
どうやらバフラヴィーも同じようで、さっきからしきりと鼻をつまんでいる。
多分、消臭魔法を使っているのだろう。
淫乱連隊と言われるのも致し方ない、・・・不本意ながら。
「ヌーファリーン、其方、他人事のように言うが、このまま、これを放置しろと言うのか?」
「そうは言われましても、今更、どーしよーもないかと。
これ、もう止められないでしょう」
既に発情状態の二千人。
止めたら暴動だよな。
「ねえ、もう、不毛な会話は止めない?」
バフラヴィー第一正夫人のスタンバトアがうつろな目つきで力なく囁く。
まあ、そうだよな。
「しかし、シャールフ殿下は、女性の趣味が幅広い、幅広過ぎですよね」
オレの言葉に皆が頷く。
「殿下には、マリセアの公子として、可能な限り多くの女性と性行為を行えるよう、選り好みしないよう教育してきたのだが、・・・まさかこうなるとは」
バフラヴィー第二正夫人ファラディーバーがげっそりとした顔で呟く。
彼女の視点からでも、下級兵士と平気で交わるシャールフは些か異常なのだろう。
「そう言えば、其方、モーランの女たちに手を付けていないらしいな」
オトコの娘殿下の話と思っていたら、いきなり話題が変わった。
「モーラン家から苦情が来ている。
モーランの女たちが怒り狂っているらしい。
あと、其方、結局、ラト族の捕虜には全く手を付けなかったそうだな。
モーランとしては出発前にラト族捕虜の何人かは戦力化したかったらしい。
これも、かなり文句を言われている」
あー、それは、そうかもしれんが、・・・無理な物は無理なんだよね。
「シャールフが毎日、積極的なのに、カンナギは男の義務を果たしていないとモーランだけでなく他からも文句が出ている。
ラト・アジャイトに勝ったという其方を接待したいという貴族も少なくない」
聞けば準男爵や騎士爵からの申し出が多数来ているという。
そー言えばアシックネールも言っていたような気がする。
確か、オレ好みの女性は皆無だったと。
「確かに、数が数だ。
一人、手を付けたらそれだけでは済まぬ。
他の者もという話になる。
其方の気持ちも分らぬではない」
え、分かってくれるの?
「言っておくが、女の接待、女から子種の提供を求められるというのは、世間一般では名誉なこととされている。
一般の男性から見れば非常にうらやましい話だ。
多くの男性士官は、何時かは自分も接待を受けられるような、子種の提供を求められるような身分になりたいと考えている。
よって、それを拒むというのは、対象の女たちだけでなく、それ以外の女たちからも、そして多くの男性からも反感を買う行為だ」
なんとなく、分かってはいたけど、・・・改めて言われるときつい話だな。
「言っておくが、どこにいても、どこに行っても状況は変わらぬ。
魔力量が多く、優秀な男は種馬扱いなのだ」
つまり、諸侯のとことか、センフルールとかに行っても同じってことね。
「だが、現実問題として、種馬の立場としては、量が量になるとウンザリする」
「バフラヴィー様も、色々とあったのですか?」
「この夏、ネディーアールと一緒に地方巡業した時は酷かったな。
用意された宿所に入れば部屋には半裸の女性が何人も待っているのだ。
一般男性から見ればうらやましいのだろうが、毎日続くとうんざりだ」
バフラヴィーが遠い目になる。
「一つ忠告しておくが、何時までも女たちから逃れることはできぬ。
自分から動いて、状況を打開した方が良い。
数が多すぎるというのは、対外的にも理由になる。
自ら動いて、数を減らし、少しでも自分好みの女を選ぶのが良かろう」
「・・・・・・・・・選ばなかったら、どうなるのですか?」
「関係者が談合して、勝手に決められる。
一〇〇人の所を五〇人にしたから、この五〇人だけは絶対にヤれ、その内、一〇人は絶対に妊娠させろ、などと通告される。
悲惨なのは、この場合、政治的な要素だけで選定が行われる事だ。
自分の好みから完全にかけ離れた女が選ばれてしまう」
「ひょっとして、バフラヴィー様はそのような経験が、・・・」
「ああ、有る」
バフラヴィーが更に遠い目になる。
「逃げ回っていたら、ある日捕まって、関係者十数人に詰問された。
そして、一日、五人、十日間で五〇人とヤルことを強制された。
軟禁状態で、五〇人終わるまで外には出さないと言われた。
私としても有力者全員を敵に回す選択はできなかった」
バフラヴィーが更に更に遠い目になる。
「あれは、武芸大会に優勝した直後、私が十八の時だったが、・・・悲惨だったぞ。
どさくさ紛れにというか、三回結婚しての出戻りとか、三〇過ぎで未婚の行き遅れとかを妊娠させるように強制されたのだ。
思い出したくもない」
・・・地獄だな。
「それ、どうやって乗り越えたんですか?」
「まず、相手の女は、他の女たちに事前に『処理』させて、『準備万端』にさせた。
そこに、スタンバトアたちに、『固く』してもらってだな、それで、突っ込んで腰を振った。
できるだけ相手の体は触らず、顔も見ないようにして、ひたすら他の女の妄想をしながら腰を振るのがコツだ」
「・・・・・・それ、相手の女は満足するのですか?」
「幸い、魔力差が大きい場合、少しでも出せば、相手は簡単に絶頂するからな。
あと、妊娠もしやすい。
相手の魔力量が低ければ、能力の高い子は望めぬが、妊娠自体はしやすいのだ。
だが、本当に悪夢のような十日間であった。
あれに比べれば『百日行』など児戯に等しい」
背筋が凍る話とは、このことだろう。
しかし、オレの場合、対象のほぼ全員が好みからかけ離れているんだが、・・・。
これ、どーしたらいいんだろう?
幸い、モーラン旅団とは別に行軍しているから、行軍中は女たちに迫られる事は無い。
現地について、下手に対陣期間が長引いたら酷いことになりそうな予感。
アシックネールとハトンに相談する、・・・しか、ないか。
オレはまだ見ぬケイマン軍よりも、モーラン女性軍団への恐怖に包まれながら魔道砲の訓練を見学していた。
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