126.アノ日~薔薇銀姫と黒猫従者~

まえがき

いつもありがとうございます。


えちえち注意です!

がっつり注意です!

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「はぁっ……はぁっ……あぁっ……!」


「んあぁぁっ、あぁんっ、んっ、んぅっ! はぁっ、はぁんっ……! ひゃんっ、んくっ、あぁぁっ……!」


 荒い吐息、肌と肌がぶつかり合う音、そして嬌声。


 部屋の小さな明かりが揺らめくだけの闇が濃いこの部屋に満ちるのは、ただ僕とアイネさんがまぐわう音のみ。


 耳をすませばマリアナさんとツバキさんが潜ませた息を吐く音や唾を嚥下する音でも聞こえたかもしれないが、身体の奥から湧き上がり続ける衝動にまさに衝き動かされ止まれない僕は、ベッドに仰向けで寝るアイネさんが仰け反るような体勢になるのも構わず、その腰を抱えてただただ己の欲望をまま快感を求め、自分が楽になりたい一心で腰を打ち付け続けた。


「はぁっ、ああぁっ、はぁんっ、んぁぁっ……! ユエさんっ、んぁぁっ! ユエさんっ……! ひゃぁっ、んっ、あぁっ、ぁあんっ……!」


 僕らの身体は汗にまみれ、明かりを反射して妖しく光る。

 腰を打ち付ける度に大きく揺れるアイネさんの胸の上で指輪が跳ね踊り、僕らの境界からは既に何度も吐き出した欲望の証がこぼれ出してきていた。


「アイネさんっ……アイネさんっ! あぁっ……ごめんなさいっ……ごめんなさいっ……! ぼくっ、これっ、止まらなくてっ……!」


 何度か頭の中がチカチカするほどの快感を得たことで頭の片隅に生まれた僅かな理性が、こんな相手のことを何も気遣わないような行為はやめるべき……もっと優しくするべきだと訴えかけてくる。

 しかしそんな理性は大きな衝動の前では無力で、行為を止めないまま口で謝ることしかできなかった。


「ああぁっ、はぁっ、んぁぁっ……! いっ、いいからぁっ……! ひぅっ、んくっ……! ユエさんは気にしなくていいからぁっ……ひゃぁんっ、もっと……ぁっ、ああぁっ……もっときてぇっ……!」


 身体を突き抜ける快感に翻弄されながらも、アイネさんはそんな僕に止まるなと、もっととせがんでくる。


「はぁっ……で、でもっ……ぁあっ……!」


「あんっ、あぁんっ、ンぁぁんっ……! ふ、ふふっ……んくっ、ユエさんが……ぁっ……そんなに必死な顔で私を求めてくれているんだものっ……! んんっ……ちゃっ、ちゃんとっ……私が受け止めるからぁっ……! わたしだってぇっ、んぁぁっ、ひと月ぶりのユエさんの……なんだものっ……! 嬉しいのっ……だからっ、ぁあぁんっ、はぁんっ……!」


 頬を強く紅潮させ、湯気が出そうなほど熱く荒い吐息を履きながら……アイネさんはそう言って淫秘にさえ見える微笑みを僕に向けてきた。


「そんなっ、ことっ、言われたらっ……あぁっ……!」


 アイネさんの口から吐き出された嬉しすぎる言葉は、きっと今の僕にとっては麻薬のようなものだ。

 耳から入って脳を蕩かせ、幸福感と快感を生み出し、もっとこの愛しい人の淫らな姿が見たい……欲望を吐き出したいという行動を加速させる。


「はぁんっ、ぁんっ、あぁっ、ぁっ、ひゃんっ……!? ユエさんっ、またっっ、んぁぁっ……中で大きくっ……! あっ、ぁぁっ、んうぅぅぅっ――――!? ひゃあああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ……!!」


「くぅぅっ……!」


 気がつけばまた、アイネさんが身体を大きく跳ねさせるのに合わせ、熱い欲望と快楽の証を解き放っていた。


「……はぁっ……ぁっ、んくっ……はぁっ……! ユ、ユエさん……ステキよ……んあぁぁっ!? またっ……んあぁぁっ!?」


「はぁっ……ああぁっ……! アイネさんっ……んちゅっ……!」


「んむぅぅっ……!? んぅぅっ、ちゅるっ、ちゅっ、んぁぁんっ、ちゅむっ……!」


 しかし僕の身体はその瞬間を迎えても満たされることはなく、飢餓感にも似た衝動のまま水を求めるように上体を倒してアイネさんの唇に吸い付いた。


 舌を絡ませ、水気を含んだ音を鳴らしながら吸い取り、アイネさんの全てを自分のものにするかのように飲み込んでいく。


「れるっ、んむぅぅっ……!? んちゅっ、はぁっ、んぁぁぁっ……! ぁあんっ、ちゅっ……んんぅぅっ……!」


 それでも足りず、僕は身体の下で揺れていた柔らかく瑞々しい果実に手を伸ばし、手のひらからも彼女の体温を感じようと思う存分に揉みしだいた。


「んぁぁぁっ、はぁっ、ちゅっ、ちゅぱぁっ……! そ、そうよっ……もっと、もっとユエさんのしたいようにっ、んぁぁっ、してぇっ……!」


 絶頂直後にまた激しく全身に愛を刷り込まれたアイネさんの身体が激しく跳ね回るが、僕の背中に手を回して僕の全てを受け入れてくれていた。


「……す、すごいのね……その、えっちって……」


「……はい」


「アイネちゃん、あんなにめちゃくちゃにされても幸せそう……それに、とっても気持ちよさそう……」


 視界の端に映るマリアナさんとがツバキさんに何事かを話しかけている気がするし視線も感じるが、僕は構わず眼の前のアイネさんに夢中だった。


「はぁんっ、はぁっ、ああぁっ、ちゅっ、ちゅるっ……! ユエさんっ、いいわっ、もっと……ぁぁっ……気持ちいいのっ……!」


「あぁっ、ぼくもっ、いいですっ……もっと、もっとアイネさんがほしいですっ……!」

「ユ、ユエくんの……アレが、男の人の……」


「主様……たくましいです……」


「お、思ってたよりも大きいかも……はぁっ……アイネちゃんの中に出たり入ったりしてて……んっ……なんだか私まで……お腹の奥がキュンキュンしてきちゃうわ……んっ、んんっ……!」


「マ、マリアナ様……? (ご、ご自分で準備を始めてしまわれた……。かくいう私も……あぁっ、主様ぁっ……んっ、はぁっ……!)」


 どこか、僕とアイネさんの間以外で、湿り気を帯びた音がし始めた気がした。


「あぁんっ、ぁんっ、んんぅぅっ、んちゅっ、ちゅっ、むぅぅっ……! んはぁっ、ああぁっ……! ユ、ユエさんっ……! わたしっ、もうっ……!」


「くぅっ……ぼくもっ……またっ……!」


 その間にも激しく快感をぶつけ合う僕とアイネさんは、またその時を迎えようとしていた。


「あっ、くぅっ……!」


「ひゃぁんっ、あっ、あぁっ、んんぅぅっ!? ユエさんのがっ、またっ、出てっ……! わたし、もぉっ――――! んんぅぅぅぅぅーーーーーーっ……!!」


 アイネさんの腰の動きに負けたかのように、今度は僕のほうが先にアイネさんの中に欲望を吐き出し、それに合わせてアイネさんも大きく背をのけぞらせて身体を震わせた。


「……はぁっ……! はぁっ、はぁっ……んっ、はぁっ……」


「はぁっ……はぁっ……」


 アイネさんの身体が脱力してベッドの上に沈む。

 この上なく顔を赤くして瞳を蕩けさせながら、限界まで開いた口からは熱い吐息を吐き出している。


 僕は快感が駆け抜けてボーッとする頭でその姿を眺めながらも、脈打つ欲望がアイネさんの中に広がっていく感触に、その瞬間は収まっていた衝動がまた湧き上がってくるのを感じていた。


「はぁっ……はぁっ…………ツバキさん……」


 アイネさんは自分の体の中でまた膨れ上がっていくモノを感じたのか、自分のお腹に手を当てながら……その顔は横を向き、自身の大切なところに手をやっているツバキさんを呼んだ。


「ぁっ……は、はい……アイネ様……」


 アイネさんに名前を呼ばれたツバキさんの方を見ると、ツバキさんは髪をまとめていた簪を外し、最後に身に着けていた下着を取り去り……そのしなやかで均整の取れた美しい肢体を晒しながら僕の方に近づいてくるところだった。


 アイネさんともマリアナさんとも違う、全体的にしなやかな筋肉で覆われ引き締まっていながらも、しっかりと柔らかさを主張する胸や太もも。


「んっ、ぁんっ……ふ、ふふっ……ユエさん、ツバキさんを見て……大きくなってるわよ……?」


「はぁっ……はぁっ……!」


「ぁっ、あぁんっ……! ユエさんっ……またっ、んっ、あんっ、はぁんっ……まだまだっ、はげしいのねっ……! んぁぁっ!」


 存分に……今もアイネさんを味わうことを再開しながら、熱にうかされたように考えることを放棄している僕の頭は、ただ新しく現れた美しく艶めかしいツバキさんの身体に新しい快感を求めようとしていた。


「し、失礼いたします……」


「ほ、ほらユエさん……んぁっ、ぁあんっ……こっ、ここにもっ、ユエさんのことが大好きなっ、んぅっ、ぁんっ……女の子がいるわ、よっ……?」


 僕がアイネさんに向かって腰を打ち付けながら顔だけでツバキさんの方を見ていると、ベッドに上がってきたツバキさんは頬を染めながらも、膝立ちになっている僕の横に寄り添うようにした。


 アイネさんの声はまるで僕を誘導するかのようで、何も考えられない僕は言われるがままに手の届く範囲に来たツバキさんの裸体に釘付けになった。


「主様……ど、どうぞ……ご存分に、私に触れて……ください」


「ぁんっ、んっ、んんっ、はぁんっ……! ほら、ユエさんっ……?」


「ツバキ……さん……ツバキさんっ!」


「あっ、主さ――んんぅっ!? ちゅっ、ふぁっ……あぁ、あるじさまっ……!」


 湧き上がる衝動はこの新しい刺激をもたらしてくれる女性をも存分に味わおうというのか、まずはとばかりに片手で腰を引き寄せると、その唇を強引に奪った。


「んむぅっ、ちゅるっ、ぁっ、んむぅっ……!」


 僕の欲望は新しい快感にさらに気を良くしたかのように、すぐに舌を差し込んでその口内を存分に味わうが……その女性、いやツバキさんは、僕の行為を受けてギュッと目をつむって身体を縮こまらせていた。


 そのことが、過去に僕が彼女に何をしてしまったのか……何を植え付けてしまっていたのかを思い出させ……。


「ぷはっ……ぁっ……す、すみませんっ……! 僕、また……無理やりっ……」


 頭の中を満たすモヤの中でも、また少し理性というものが湧き上がってきて、僕はなんとかツバキさんの唇を解放した。


「んぅっ、ぁぁんっ、ひゃぁんっ……! ユエさんっ、ユエさんっ……ぁっ、はぁんっ……!」


 それでもアイネさんへ向かって腰を動かすことは、身体が止めてくれなかった。


「あぁっ……すみませんっ……すみませんツバキさんっ……『また、こんな僕で』っ……! でもっ、止まらなくてっ……ぁぁっ、足りなくてっ……!」


「あんっ、ぁぁんっ、ぁんっ……! ユエさんっ、あっ、あやまっちゃ、だめよっ……! んぅぅっ……! わたしがっ、ひゃぁんっ、わたしたちがっ……ユエさんにこうしてもらえるようにぃっ、したんだものっ……!」


「そうです……主様が気に病む必要はございません……。過去のことも、主様が思われるほど私は気にしておりません。それよりも……どのような形であろうと、またこの身に触れていただけるなら……それこそが私にとってはこの上なく光栄な……嬉しいことなのです……」


「ひゃんっ、ぁんっ……! ユ、ユエさんっ……ツバキさんだって、ユエさんのことが好きなのっ……! んぁぁっ、んんっ……! わたしとっ、おんなじっ……ユエさんに触れてもらうのがっ……はぁんっ……幸せなのよっ……?」


「はぁっ……ツバキ、さん……はぁっ……!」


 ツバキさんが……僕とそういうことをしたがっていたのは、常日頃からの言動でわかっていた。

 もちろん責任を取るつもりはあったけれど……あんなことをした僕が言えたものなのかとも、心の何処かで思っていた。


 それでも、その気遣いは不要だと言われてしまえば……今のどうしようもない僕には、手を出さないという選択肢はなく……せめて少しでも衝動に抗って――アイネさんに向けてそれを流しているとも言えるけど――優しくすることしかできない。


「っ……ツバキさん……その、いいんです、ねっ……? 触っても……いいですか……?」


「はいっ……もちろんでございますっ! 私は主様の僕……女であるこの身は、主様のものでございます。さぁ……んっ、ご存分に……はぁっ……」


 僕が尋ねた『手を出すぞ』という問いに、ツバキさんは頬を染めながらもとても嬉しそうに肯いてくれて……。

 さらには、僕の手を取ってその胸に導いてくれた。


「あっ……あぁっ……」


「んんっ……はぁっ……あぁ……主、さまがぁっ……私の胸をっ……ぁっ、んぅっ……!」


 その極上の手触りに、僕の弱い抵抗などすぐに消し去られてしまった。


 押し付けられた手を夢中になって動かし柔らかさを堪能して、ツバキさんの身体をピクピクと跳ねさせていく。


「はぁんっ、んっ……ぁっ……」


「んぁぁぁんっ、あぁんっ、ひゃんっ……!? ま、またっ……また大きくなったわよっ……ひゃぁんっ、んぁぁっ!」


「んぁっ、はぁっ……ふ、ふふっ……主さまっ、んっ……そんなに私の胸は、ぁっ……いいですかっ? んんっ……」


 アイネさんの言う通り、触れているだけで気持ちが良いそれに僕は興奮を増していて……。

 自身の胸に触れる僕を嬉しそうに見ているツバキさんは、身悶えながらも僕にそんなことを聞いてきた。


「はぁっ……くっ……と、とても……とってもいいですよっ……!」


 これまで、どれだけこの胸のせいで『溜まって』しまったと思っているんですか、この黒猫さんはっ……!


「この胸にっ、ツバキさんにっ……いつも困らされていたんですからねっ……! お風呂の時もっ、それからもっ……! 僕がツバキさんのことを魅力的に思っていないとでも思ってたんですかっ……!? それなのにっ、いつもっ! ……ぅぅっ、すみませんっ……勝手で……でもっ……あぁっ……!」


「ぁんっ……!? う、嬉しいですっ……ぁっ、主様っ……! そんな風に思って、んっ……いただいていたとはっ……女として見ていただけていたのですねっ……はぁんっ……!」


 僕の言葉を聞いたツバキさんは、潤んだ瞳の端に涙すら浮かべながら嬉しそうに微笑み、尻尾を僕に絡ませてきた。


「とっ、当然じゃっ、ないですかっ……んっ!」


「んっ……!? ちゅっ、ちゅっ……はぁっ……あぁ……嬉しいですっ……んっ、ちゅるっ……!」


 僕は吸い付いて離れない胸に触れた手はそのまま、もう片方の手をツバキさんの腰に回して引き寄せ、今度は優しくその唇に吸い付いた。


 ツバキさんも僕を抱きしめ返しながら、嬉しいと言ってキスを返してくれている。


「んっ、はぁっ……良かったわね、ツバキさん……ぁっ……」


「んちゅっ、ふぁっ……はい……ありがとうございます、アイネさま……んちゅっ、れるっ、ちゅるるっ……!」


 ツバキさんはこれまで募らせた想いを込めているのか、積極的に舌を絡ませ僕の頭にその想いと快感を伝えてくる。


「はぁっ……ぅぅっ、ユエさん……その……腰が止まってるわ……入ったままなのに、これじゃあ切ないの……私にも、して……?」


「んちゅっ、はぁっ……は、はいっ……!」


「んんぅぅっ!? あぁっ、そっ、そうっ……! いいっ、はぁんっ、ぁあっ、んぁぁっ……!」


 身体を反らしてツバキさんと抱き合い舌を絡ませ胸に触れ、その状態でアイネさんの可愛らしいおねだりに応えて精一杯腰を動かしていく。


 全身がこれまでにない快感に包まれ、あっという間に僕を上り詰めさせていく。


「ひゃぁんっ、んぅっ、んぁぁんっ、ぁぁっ! ぁっ、あぁっ、ユエさんっ……ユエさんっ……! いいのっ……ステキよっ……! んんぅぅっ!」


「あぁっ、アイネさんっ……ちゅっ……そんなに、したらっ……んんっ……!」


 アイネさんの方からも腰が動かされ、相乗効果であっという間にその時を迎えてしまった。


「あっ、んぁっ、ぁっ、ふぁっ、んあぁっっ――――!? ひゃぁああぁぁぁーーーーーっ……!!」


 おねだりをしたアイネさんのほうもまた、身体の中を満たされてトロトロの顔をさらしながらビクビクと快感に身を震わせた。


「んちゅっ……あぁっ……主様の、お顔がっ……気持ちよさそうで……んっ……」


「んっ、はぁっ……はぁっ……ユ、ユエさん……はぁっ……一旦、休憩させて……」


 余韻の中でも整わない荒い吐息を吐きながら、アイネさんはそう言って身を起こすと僕とのつながりから離れた。


「んっ……ぁっ……はぁっ……ツ、ツバキさん……交代よ……」


 その時の擦れ合う感覚すら快楽を刺激する一員となったのか、それともアイネさんから欲望の証が溢れ出す様子に興奮したのか……僕の方は、またすぐに準備が整ってしまう。


「はい、アイネ様……」


 そうしていると、アイネさんが身を退かした場所に、今度はツバキさんが見を横たえて僕の方を見上げてきた。


「主さま……こ、今度は私に……お情けをいただけますでしょうか……? 私にも、いくらでも……。主様はただ私を……主様の僕である私をご存分にお使いいただければいいのです……な、何でも……してください……」


「はぁ……はぁ……ツバキさん……」


 ツバキさんまで僕のタガを外そうというのか、誘惑するかのような言葉を投げかけてくる。


 僕の中の衝動は目の前にした極上のご馳走にすぐに食いつけと……欲望を突き入れろと急かしてくるが、このままでは僕は以前と何も変わらなくなってしまう。


 微笑みながらも……ほんの僅かだけれど、ツバキさんの身体が震えていることに気がついてしまったから。


 あくまで従者として、主人の慰み者になろうという言い方をされたままでは、今度こそ僕はずっと後悔してしまうだろうから……。


「ツバキさん……僕は今から、貴女を……抱きます」


「っ……は、はい……ご存分にどうぞ……」


「でも……詭弁に聞こえるかもしれませんし今更と思うかもしれませんが……僕が抱くのはツバキさんという、1人の女の子です。従者でもなく、取り返しがつかないことをしてしまったという負い目がある相手ではなく……。僕は僕を好きでいてくれて、僕が……僕が好きな女性をただ愛するだけです……」


「ぁっ……あぁっ……そんなっ、そんなっ……! っ……これほど嬉しいお言葉はありませんっ……! ぅっ、っ……」


 僕の言葉を聞いたツバキさんは、今から抱かれると聞いて僅かにこわばらせていた顔を綺麗な笑顔に変えると、その瞳からは温かな涙がこぼれ落ちた。


「……いいですか……?」


 僕の胸にも優しい気持ちが、幸せな気持ちが広がっていくが……愛しい気持ちがあるからこそ……もう、どうしようもなく、我慢ができそうになかった。


「はいっ……来て、くださいっ……んんぅぅっ……!?」


 微笑んで僕を迎えるように両手を伸ばされ――僕はそっとツバキさんとひとつになった。


 十分な湿り気を感じながら最奥まで到達すると、身体を倒して背をのけぞらせたツバキさんを抱きしめる。


「んっ……だ、大丈夫ですか……その……」


「はぁっ……ぁっ、んっ……は、はいっ……! 主様を、またこの身にお迎えできるなんてっ……」


 痛みこそなさそうだが、きゅうきゅうと力強く締め付けられる感覚から、ツバキさんの身を相当な何かが……喜びの感情が走り抜けていることが分かる。


「んくっ……この時を……また主様と繋がれる日を……夢見ておりました……はぁっ、んぅっ……この瞬間は……女で良かったと、そう思う瞬間ですっ……」


「……同感ね」


 そっと僕に寄り添ったアイネさんも、そんなツバキさんの様子を見て微笑んでいる。

 しかし僕の心は、ツバキさんが言ってくれたことに今度こそタガを外されてしまっていた。


「ツバキさん……そんなっ、嬉しいこと言われたらっ……!」


「あぁっ……!? あっ、ふぁぁっ、はぁんっ……! あっ、あるじっ、さまぁっ……! ぁあっ、ぁんっ……そんなっ、嬉しいと思っていただけるなんてっ……嬉しい、ですぅっ……!」


 いきなり激しく肌をぶつけ合う音が響き始めても、ツバキさんはいつも凛々しくしている顔を愛しさと快感で蕩けさせながら、強く僕を抱きしめて受け入れてくれていた。


「いたくっ、ないですかっ……!? あぁっ、いいですっ、ツバキさんっ……!」


「ひゃぁんっ、はぁんっ……! だぃっ、じょうぶですっ、あるじさまぁっ……! お好きにっ、してくださいっ……! ぁっ、ぁあっ、ふぁあっ……!」


「ツバキさん……嬉しそう……。ユエさんにしてもらってるときって、私も……こんな顔をしてるのかしら……」


 突き抜ける快感に思わず身体を起こした僕に寄り添ったアイネさんは、僕と同じ目線で嬌声を上げるツバキさんの顔を見下ろしていた。


「あぁんっ、ぁんっ、はぁんっ……! あるじさまっ……ユエさまっ、ユエさまぁっ! お慕いしてっ、ぁぁんっ、おりますっ……! ひゃぁんっ、ふぁっ……!」


「ぁ、くっ……」


 蕩けた瞳で僕を見るツバキさんが僕の名前を呼ぶ。

 上体を離した僕を別の場所では決して離すまいとしているのか、包み込む力を強くしてくる。


 そんな中に僕も想いを打ち込んでいけば、驚くほど早く限界を感じ始めてしまった。


「ツバキさんっ……ツバキさんっ! いっ、いきますよっ……!」


「ふぁぁんっ、ぁっ、ぁあっ……! はいっ……! ユエさまぁっ、あぁぁっ……! きてkつ、くださいぃっ……! あっ、ぁっ、んんぅぅっ……! わ、私もっ……私もご一緒いたしますっ……! ぁっ、ああっ――――!?」


 打ち付けられる快感に身悶えしていたツバキさんが、僕らが一際深いところでつながったのに合わせて大きく背をのけぞらせ……。


「くぅっ……!」


「ふああああぁぁぁぁぁーーーーっ……!」


 僕たちがちゃんと想いを通じ合ったことを示すかのように、同時にその時を迎えた。


「……はぁっ、ぁっ、んっ……はぁっ……はぁっ……」


「ツバキさん……良かったわね……」


「はぁっ、は、はいっ……とても、幸せです……ユエ様……。はぁっ……あっ……!?」


「……すみません、まだ……」


 アイネさんと幸せそうに微笑み合うツバキさんの姿を見ていたら、この愛しい人とももっと繋がりたいという気持ちが湧いてきて……僕はツバキさんの中に入ったまま欲望を膨れ上がらせていた。


「ユエさま……はい、どうぞ……お好きなだけ……♡」


「っ――――!」


「あぁんっ……!?」


 そして、『お好きなだけ』の限界はどれくらいなのか……まだまだ僕にもわからないまま。


「わ、わぁ……こんなふうになってたのね……」


 アイネさんに見守られながら、僕はツバキさんにも欲望を吐き出していくのだった……。





――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき

お読みいただき、ありがとうございます。

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https://kakuyomu.jp/works/16817139558885411953


次回、「アノ日~お姉ちゃんとの初めて~」

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