第9話 三つ巴

 皆さん。こんにちは、作者です。


 さあ、世紀の一戦が行われようとしています。前代未聞の三つ巴の争いになります。


 リポート歴10分の私には全く展開が予測できません。


 この戦いはどうなってゆくのか?


 運命のゴングが今なりました。3者共に相手の出方を伺います。


 解説にはかつて性欲×性欲(せいよくとせいよく)により世界最強を誇った変態セイ・ヨークさんにお越しいただきました。セイさんよろしくお願いします。


 よろしくお願いします。


 セイさんはゴングがなってからの3者の睨み合いをどう見ますか?


 そうですね。3者ともに良い緊張感を持って相手を観察しているので面白い会談(しあい)が見られそうですね。中でもさすが勇者カイトウですね。巧みなフェイントで牽制していますね。


 なるほど。これはハイレベルな試合になりそうな予感がしますね。おおっとぅ、開始5分ようやく試合が動きます。


 最初に動き出したのは何と、特技人妻食いのマッド・マルクスだぁ!一体、どんな口撃を見せてくれるのかぁ‼︎初手マルクス選手。


「昨日、食べた他人の奥さんがふわふわで美味しかった」


あ〜っと、一言目からキモい国王。他人の奥さんがふわふわと聞いて顔を赤くして鼻から赤いものを垂れ流す武人ブラッド・ウルフ。


 こんな時まで自身の苦手分野の色恋への耐性をつけるべく鍛錬する皇帝。


「マルクス国王。一言目から何を言っているのですか?頭は大丈夫ですか?単純にキモいです。即刻王位を誰かに譲って消えてください。」


 ここで勇者カイトウが待ってましたとばかりにカウンター。


「それとウルフ皇帝は鼻血を拭いてください。2人とも王として威厳なさすぎます。ウルフ皇帝も正室、側室合わせて5人もお嫁さんがいるんですから慣れているでしょう?何で今更純情なんですか?」


 日頃から王と皇帝の尻拭いをさせられることの多い勇者(ちゅうかんかんりしょく)はここぞとばかりに王達をフルボッコにする。


 いやぁ、セイさん。さすが勇者ですね。


 そうですね。マルクス選手の強烈な右ストレートも見事にクロスカウンターで返しましたし日頃から精神的に鍛えられている証拠ですね。それでも倒れないマルクス選手と醜態を晒しても何も感じないウルフ選手のメンタリティーには流石の私でも驚きました。


「しょうがないじゃろう。わしの第一王子であるマッドのマッドが反応してしまうのじゃから」


 この人のメンタリティーは一体どうなっているのでしょうか?

打たれすぎて神経がおかしくなったのでしょうか?


 そうですね。一種のパンチドランカーのような症状でしょう。


 なるほど。セイさんの解説はわかりやすいですね。病気じゃなかったら正気を疑いますね。


 そうですね。そういう恐るべきレベルに達していると思われます。


「照れていない。ただ俺は。なんだ。俺は。」

とうまい言葉が出てこない鮮血帝ブラッド・ウルフ。


 下ネタになると鼻から血を吹いてしまう皇帝だから鮮血帝と恐れられている。全く恐ろしい皇帝である。


「そんなことはどうでもいいんですよ。下半身国王と鼻血皇帝。

日頃から面倒事ばかりを起こしやがって」


 心の声がダダ漏れになってきた勇者。ブチ切れまでもう少しである。だが、したたかな下半身国王は勇者のデッドラインなんぞは誰よりもキレさせてきたので熟知している。


「分かっておる。真面目に話そうではないか。今日の話し合いの議題はズバリ魔の森でのことじゃな?」

「そうです。やっとまともな話題になってくれて安心しました」


 マルクス国王は下半身がずば抜けて優秀だが、上半身もそれなりに優秀である。やりやがるぜ、下半身国王。


「そうです。魔の森の邪竜の実験により亜人の国マーラ近くの雪山が真っ二つになった件です」

「どんどん暴走しておるな。わし達には神達の強制ルールがあり種族同士の争いはほとんどできん。様子を見るしかあるまい?それでも念の為に対抗手段の確立は必須じゃな」

「そうですね。技術者達にお願いしてみます」

「今日の話はそれだけか?」

「はい。他は大したことがなさそうなのでこちらで処理しておきます」

「いつもすまんな。よろしく頼む」


 それから勇者は会議室を退出していく。勇者の姿がなくなった会議室では、「マジでやばくなかった?勇者ブチギレそうになったよ!マジでハンパねぇ‼︎漏らすところじゃった……わし。」


「ふっ。安心しろマルクス。俺は既に出ている」


 鮮血帝は小さい方を漏らしトイレットマンウルフにトランスフォーム。


 2人は刺激のなくなったこの世界において、スリルを味わうために何かないかと思案した。


 そこで2人は勇者をブチギレさせた時の怖さを思い出した。あの怖さは尋常ではなかった。2度と味わいたくない。


だからこそ2人は攻めることにした。守ることよりも攻めることが得意な2人だからこその遊び。


それから2人は勇者の怒りを引き出し、レッドラインギリギリを攻めるようになった。


これは、そんな馬鹿な王達の日常の一コマを描いた回でした。

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