番外編

あーちゃん初めて喝上げ(ナンパ)される1

現在綾と秋人は二人で手を繋ぎながら秋人の両親との待ち合わせ場所に向かっていた。


「あき、猫ちゃん可愛かったね!」


「…そうだね…あーちゃん人気者だったね


あーちゃんが何時に無く嬉しそうだな。

猫と遊ぶのはまだ許せるけどあれは許せん…。


「あーちゃんは昔から猫に好かれてたの?」


「好かれてたのかはよく分からないけど、道端にいるノア猫はよく触ってたけど逃げられたり噛まれたりされたことは無かったよ…あ、あと鳥が良く肩とか頭に乗って来てたかな。」


「でも、野良猫の大群が追いかけてきたのは怖かった…。」


外の鳥って警戒心強いから普通寄ってこないだろう…てか、野良猫の大群ってめっちゃ怖いやん…あーちゃん動物に好かれすぎじゃないか?


「そっか、それは大変だったね。怪我とかしなかった?」


「うん、最後は囲まれちゃったけど、撫でたらお家に帰してくれたよ。」


あ、やっぱり捕まったんだ…てかやっぱりあーちゃんは、少し抜けてるところがあるな。


でも、少し抜けてるあーちゃんも好きだしちゃんと撫でてあげる優しいあーちゃんも大好き、マジで尊い…。


脳内でそんな事を思われてるとは知らずに綾はニコニコしながら手を繋いで歩いていた…。


……


「あき、待ち合わせ場所まで後何分ぐらいかかる?」


「後10分ぐらいだと思うけど…疲れちゃったかな?」


「大丈夫だよ…」


「…分かった、疲れたら教えてね」


「うん。」


実はこの日綾は、秋人が昔に履いていた一番小さい靴を履かせてもらっていたが、サイズ大きくて綾の足のサイズに合っていなかった為、踵が擦れてしまっていたのである。



(…踵が凄くジンジンするけど折角あきが靴を貸してくれたのに靴擦れになっちゃったって言うのは失礼だよね…。)


(これぐらいの痛みだったら全然我慢出来るし大丈夫…。)



……おかしい。ただ疲れたんじゃ無いだろうし、でも、元気が無い…。


…あれ、あーちゃんの踵から血が出てる?…靴擦れか!!


なんで気付かなかったんだよ俺の馬鹿!!


「あーちゃん、靴擦れになっちゃった?」


「えっ、なんで?」


(何であき僕が靴擦れだって分かったのかな?…でも迷惑かけるわけにもいかないし…。)


「ううん、大丈夫だよ。」


目が泳いでるよあーちゃん、嘘が下手だね…。


「あーちゃん踵から血が出てるよ、痛いでしょう?」


「う、うん」


「ちゃんと言わないと、僕あーちゃんが痛い思いしてるのは嫌だからね。」


「うん、ごめんね」


「分かればよろしい」ナデナデッ


少しずつでも良いからちゃん僕を頼ってくれると嬉しいな。


確かこの階の近くに薬局があった筈…


「あーちゃんここの椅子で座って待っててもらっても良い?」


「大丈夫だけど、どうしたのあき?」


「この近くに薬局があるから絆創膏買ってくるよ。」


「え、大丈夫だよ。」


「いいの!絆創膏貼った方が痛く無いでしょ。僕、今絆創膏切らしちゃってるから持ってないんだよ。だからちょっとこの椅子に座って待ってて欲しいんだけど。」


「…うん、分かった。」


「良いあーちゃん、知らない人から声をかけられてもついていっちゃダメだよ。」


「うん、大丈夫だよ。ちゃんと教わったから。」


「道を聞かれても分かりませんって言ってね!」


「う、うん?」


「一応僕のスマホ渡しとくから何かあったらすぐに電話してね」


そう言って秋人は一台のスマホを綾に渡した。


「でも、僕使い方分からないよ?」


「ここのボタンを押してこの画面に出てる僕の名前をタップしたら僕と電話が出来るよ。分かった?」


「うん、分かった。」


「絶対に動いちゃダメだからねあーちゃん、じゃあ言ってくるね」


「うん、行ってらっしゃい」


「うん、」


そう言って秋人は走って薬局がある方へ走って行った。



「あきはとっても優しいな。僕こんなに迷惑かけちゃってるのに…それに僕みたいな人に話しかける人はいないと思うけどな。」


何度でも言うが綾はメチャメチャ自己肯定感が低いのだ。

綾からすれば自分は根暗で取り柄のない不細工だと思っているが他人から見ると可愛いらしい美人なのだ。


正直、人気が多い道を一人で歩いていたら確実にナンパされるレベルの顔面と体格だ。おまけに性格も天然ときた、ナンパされない理由が無い。


しかし本人にその自覚はない。



そしてあきが予想していたことが起こった。



「ねぇ君、今一人なの?」

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